奥田百子の米国特許制度解析ブログ
弁理士で翻訳家である奥田百子氏による米国特許制度の解説ブログ。
米国特許法、審査基準、特許事例、判例などを訳しながら、米国特許HPを
参照しつつ、解説していきます。

【第1回】 米国特許庁データベースにアクセスする

2011.06.22

日米特許摩擦、ビジネスモデル特許ブームなど、プロパテントの米国によって、日本の特許制度はこれまで大きな影響を受けてきました。

日米審査ハイウエイなど、今後も我が国と密接に関連していく米国特許を知るために、まず米国特許庁Webサイトから概観してみましょう。 

 

1 米国特許商標庁(United States Patent & Trademark)のWebサイト

 まず、米国での特許出願を受付、その出願を審査し、オフィスアクション(office action)を発行し、特許を発行する機関が米国特許商標庁(US PTO)です。

米国特許制度を知るには、USPTOのWebサイトを閲覧することが一番の勉強となります。

ここには米国特許に関する情報が溢れています。

 

 US PTOのWebサイト(http://www.uspto.gov/)を開いてみましょう。

検索エンジンで”USPTO”入力しただけでこのWebサイトがヒットします。

 

 トップページは、“Patents”、 “Trademarks”、“IP Law & Policy”と大きく3つの欄に分かれています。

 


* 参考知識

特許(patent)、商標(Trademark)は、知的所有権(Intellectual Property)を構成する大きな柱となる知的なアイディア、財産です。

この他に、著作権(copyright)、意匠(design)も加わり、これらが大きな柱となって知的所有権を構成しています。

 

 米国の特許制度では、意匠は”design patent”として特許に含まれます。

これに対し我が国では、特許と意匠は全く別の制度となっています。

なお、意匠は、物品のデザインであり、例えばコーラの瓶の形は意匠の対象となります。

 

 商標は商品、サービスの名前であり、商標をもとに消費者は、ある会社の商品を他者の商品と区別して購入することになり、いわば商品の識別標識というべきものです。

例えば“DELL”、 “IBM”などは、パソコンの商標です。


 

 以下、主に米国の特許制度を説明していくので、US PTOのWebサイトのトップページ "Patents”の欄を詳しく見ていくことになります。

 

 

2 Patent Process(特許手続)

 US PTO WebサイトのPatent →Patent Processをクリックしてみましょう。

フローチャートで特許取得の流れが記載されています(http://www.uspto.gov/patents/process/index.jsp)。

 

 米国特許取得までのプロセスは、調査(search)→出願(filing an application)→審査(examination)→特許発行(issuance of patent)に大きく分けることができます。

 

 “Patent Process”の中で最初の、“Has your invention already been patented ? ” (貴方の発明は既に特許されていますか?)をクリックすると、サーチ画面が出てきます。

調査(search)には、以下の3つがあります。

①US Patent Full-Text and Image Database (PatFT)

②US Patent Application Full-Text and Image Database (AppFT)

③Patent Application Information Retrieval (PAIR) System

 

①PatFTと②AppFT

PatFTは、特許後の発明を検索します。

これに対し、AppFTは、特許される前の発明、つまり特許出願を検索します。

 

 この両方に、”Quick Search”、 “Advanced Search”、 “Number Search”があります。

 

 US PATENT&TRADEMARK OFFICE

 

 例えば、”Title”(発明の名称)に”communication device”(通信装置)というterm(用語)を含んだ米国特許出願を検索するには、”AppFT”の”Term 1”に”communication device”と入力し、”Field 1”のプルダウンメニューで”Title”を選びます。

その結果、”communication device, communication system, reception method and communication method”(通信装置、通信システム、受信方法及び通信方法)が検索されました。

20110126072という番号が付いており、これが後ほど説明する出願公開番号です。

 

 Term は2つまで入れることができます(Term 1, Term 2)。

 ”Field”のプルダウンメニューには、”Abstract”(要約)、 “Claims”(請求項)、 “Description/Specification”(明細書)の他、“Inventor Name”(発明者名)もあり、発明者名を特定して、その人の出願を全て検索するというサーチもできます。

 “All Fields”というメニューもあり、出願書類全体から検索する指定もできます。

 “Number Search”は、特許番号と出願公開番号から検索するものです。

PatFTは、特許後の検索であり、”Patent Number Search”であり、”AppFT”は、特許出願中の検索であり、”Publication Number Search”です。

”Publication”とは「出願公開」の意味であり、特許出願日から18ヶ月経過後に出願内容が公報(official gazette)に掲載されます。

この特許公報を検索するものです。

出願公開には出願公開番号(publication number)が付いており、これをもとに検索するのがAppFTの”Publication Number Search”です。

 


*参考知識

出願公開の条文

35USC 122C: Confidential status of applications; publication of patent applications –Patent Laws-

 “… each application for a patent shall be published, in accordance with procedures determined by the Director, promptly after the expiration of a period of 18 months from the earliest filing date for which a benefit is sought under this title. At the request of the applicant, an application may be published earlier than the end of such 18-month period”.

(訳)

米国特許法122条 出願の秘密状態、特許出願の公開―特許法

「各特許出願は、特許庁長官が規定した手続に従い、本法により利益を求める最先の出願日から18ヶ月経過後に速やかに、公開されるものとする。出願は、出願人の請求により、当該18ヶ月の期間の末日より早く公開される場合もある。」

 

 米国は、長年、諸外国の中では珍しく出願公開制度を採用しておらず、特許が発行されるまで出願内容は秘密にされていました。

しかしこれでは、突然、特許が浮上するサブマリン(潜水艦)特許の弊害があるため、2000年に出願公開制度が導入されました。


 

 それでは、”Patent Number Search” を行ってみましょう。

 

 USPTO PATENT FULL TEXT AND IMAGE DATA BASE

 

“Pat FT”の”Number Search”に”6329919”と入れてみます。

これはある特許番号です。

その結果、この特許公報が出てきます。

 

 アメリカで話題になった”system and method for providing reservations for restroom use”(トイレ使用の予約システム及び方法)の特許です。

このようなアイディアまで、アメリカでは特許になるのだとかなり、話題を呼びました。

飛行機で乗客がトイレ使用の予約が請求できるシステムや方法の発明です。

公報を少し読んでみることにします。

 

(次回に続く)

 

今週のポイント

・米国特許には、実用特許(utility patent)、意匠特許(design patent)、植物特許(plant patent)の3種類がある。

・米国特許取得までの大まかな流れは、調査(search)→出願(filing an application)→審査(examination)→特許発行(issuance of patent)である。

・米国特許は、出願公開されたものも含め、米国特許庁Webサイトで調査することができる。公開番号や特許番号だけでなく、”Abstract”(要約)、 “Claims”(請求項)、 “Description/Specification”(明細書)の他、“Inventor Name”(発明者名)の用語から検索することもできる。

・Patent Application Information Retrieval (PAIR) Systemにより、出願番号から検索することもできる。

・米国では2000年に出願公開制度が導入された。

今週のポイントアンダーライン

 

プロフィール

奥田 百子
  • ■ 氏名
    奥田百子(おくだ・ももこ)
    ‐株式会社インターブックス顧問‐
  • ■ 自己紹介
    東京生まれ
    翻訳家、執筆家、弁理士
    大学卒業の翌年、弁理士登録
    2005年~2007年に工業所有権
    審議会臨時委員
    (弁理士試験委員)
  • ■ 現在の仕事
    翻訳業、執筆業
  • ■ 著書
    「特許翻訳のテクニック」
    「なるほど図解著作権法のしくみ」
    「国際特許出願マニュアル」
    「なるほど図解商標法のしくみ」
    「なるほど図解特許法のしくみ」
    「こんなにおもしろい弁理士の仕事」
    「誰でも弁理士になれる本」
    以上、中央経済社

ブログ内検索

バックナンバー

弁理士の皆様のパーソナルブランディングを支援

特許翻訳サービス

翻訳会社インターブックス