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翻訳コラム

COLUMN

第127回AppleとMotorola Mobilityの訴訟の続きです

2014.01.30
弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子

AppleとMotorola Mobilityの訴訟の続きです。Motorola MobilityからAppleのiPhoneがMotorolaの特許を侵害すると訴訟を提起され、ITCでAppleが勝訴、そして米国連邦巡回控訴裁判所(CAFC)でもAppleが勝訴した事件です。
CAFCの判決を読んでいますが、Motorolaの米国特許6,272,333号のクレーム12が対象になっています。このクレームを再掲します。

"A subscriber unit in a wireless communication system for controlling a delivery of data from a fixed portion of the wireless communication system, the subscriber unit comprising:
a receiver for receiving the data;
a processing system coupled to the receiver for processing the data; and
a transmitter coupled to the processing system for communicating with the fixed portion of the wireless communication system,
wherein the processing system is programmed to:
maintain an application registry comprising a list of all software applications that are currently accessible to the subscriber unit; and
in response to a change in accessibility of an application,
update the application registry; and
control the transmitter to communicate the change to the fixed portion of the wireless communication system".

翻訳

無線通信システムの固定された部分からのデータ伝送を制御する無線通信システムにおける加入者ユニットであって、
データを受信する受信手段と、
データを処理する受信手段に接続された処理システムと、
無線通信システムの固定された部分と通信する処理システムに接続された送信手段を備え、
前記処理システムは、
加入者ユニットに現在アクセス可能なすべてのソフトウエアアプリケーションのリストを備えた、アプリケーションレジストリを維持し、
アプリケーションのアクセス可能性の変化に応答して、
アプリケーションレジストリを更新し、
無線通信システムの固定された部分に対し変化を通知するように、送信手段を制御するようにプログラムされている、前記ユニット。

"a change in accessibility of an application"というフレーズの解釈が問題になっています。"a change"が1つか、あるいはそれ以上かということが争点です。
Motorolaは1つ以上と主張していますが、裁判所は1つと判断しました。1つのchangeで2つのupdate(更新)を生じさせるというのが裁判所の見解です。
つまりアクセス可能性の1つの変更が生じると、(1)アプリケーションレジストリの更新、(2)無線ネットワークの固定化された部分に対するアクセス可能性の変更の通知の更新の2つが生じます。つまりchangeは一つでupdateが2つと裁判所は解釈しています。
ここでクレームで"a"という冠詞が出てきた際に解釈について述べられています。"comprising… a"とすると、オープンクレームとなり、列挙されている以外の要素も含まれる可能性があります。
このクレームでは正に"comprising … a change"となっているので、changeは一つではないと解釈すべきですが、クレームの他の部分や明細書を見ると、一つの"change"であると裁判所は判断しています。特に明細書のFig. 4を使った説明でそれがわかるというのです。この点は来週、詳しく見ていきます。
Motorolaは、2つのchangeがあり、一つは、アプリケーションの削除などのアクセス可能性の変化であり、これによりアプリケーションレジストリが更新される、もう一つは、プッシュ通知(push notification)の無効等のアクセス可能性の変化であり、これが固定化部分に通知されるという変化があり、これがAppleのデバイスにはあり、クレームはこれをカバーしているというのです。
来週もこの判例を更に読んでいきます。あと1回で読み終わりそうです。

今週のポイント

  • Motorola MobilityからAppleのiPhoneがMotorolaの特許を侵害すると訴訟を提起され、ITCでAppleが勝訴、そして米国連邦巡回控訴裁判所(CAFC)でもAppleが勝訴した事件では、Motorolaの米国特許6,272,333号のクレーム12が対象になっている。
  • このクレームのうち、"a change in accessibility of an application"というフレーズの解釈が問題になっている。"a change"が1つか、あるいはそれ以上かということが争点である。
  • この争点では、Motorolaはchangeは1つ以上と主張しているが、裁判所は1つと判断した。1つのchangeで2つのupdate(更新)を生じさせるというのが裁判所の見解である。
    つまりアクセス可能性の1つの変更が生じると、(1)アプリケーションレジストリの更新、(2)無線ネットワークの固定化された部分に対するアクセス可能性の変更の通知の更新の2つが生じる、というのが裁判所の判断である。
  • Motorolaは、2つのchangeがあり、一つは、アプリケーションの削除などのアクセス可能性の変化であり、これによりアプリケーションレジストリが更新される、もう一つは、プッシュ通知(push notification)の無効等のアクセス可能性の変化であり、これが固定化部分に通知され、これがAppleのデバイスにはあり、クレームはこれをカバーしている、と主張している。

奥田百子

「もう知らないではすまされない著作権」(奥田百子監修、中央経済社)3月19日発売!

東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)

著書