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翻訳コラム

COLUMN

第148回トレードドレスについての話です

2014.06.26
弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子

トレードドレスについての話です。平成26年商標法改正により、サウンドマークや色彩のみからなる商標が出願できるようになりますが、トレードドレスの導入は今回は見送られたようです。アメリカではすでに保護されており、導入が期待されています。
トレードドレスとは商品の包装、パッケージのほか販売方法のようなものまで含み、これが商標として認められれば、商標登録できるようになります。しかし難しいのは、商品の機能を保護してしまう可能性があります。商品の機能からくる当然の形状にまで独占権が与えられると、他社の商品との識別ができない、出所表示にならないという問題があります。
Wal-Mart Stores Inc. v.s. Samara Brothers Inc.の判例では、ペンギンの形をしたカクテルシェーカのような最も特異な製品デザインでさえ出所を識別せず、製品をより使い勝手良く、人目を引くように意図されている、という現実に消費者はほとんど常に気付いている、と判断されました。

アメリカで登録になったトレードドレスの例を示します。ペイントを販売する際のフロアディスプレイのトレードドレスです(米国商標登録3113915)。

Description of Mark

The mark consists of The three dimensional trade dress of a paint sample floor display unit consisting of upper trim display panels with various photos and/or text displayed; five (5) distinctive shelving units; (i) the left corner unit is cylindrical in shape; (ii) the adjacent unit to the right is narrow and slanted (iii) the middle unit is the largest with slanted shelving; (iv) the next unit is narrow with a computer set up for the sample color matching and (v) the last unit to the right is V shaped with swiveled wired shelving; and a bottom portion of raised panels and cylindrical posts dividing each unit from the next. The lining shown in the drawing is a feature of the mark. The lining shown in the drawing is a feature of the mark.

翻訳

商標の記述

この商標は、表示された様々な写真及び/または文字を備えた上部の縁のディスプレイパネルから成るペイント・サンプルのフロアディスプレイの三次元トレードドレスから構成される。5つの特徴的なシェルフ・ユニット、すなわち(i)左コーナーのユニットは、円筒形状であり、(ii)右に隣接するユニットは、狭く傾斜しており、(iii)真ん中のユニットは最大であり、傾斜したシェルフを備えており、(iv)次のユニットは、サンプルカラー・マッチングのためのコンピュータのセットアップを備えており、(v)右隣の最後のユニットは、回転式のシェルフを備えたV字形状であり、掲げられたパネルの底部と各ユニットを次のユニットと区切る円筒形支柱から構成されている。図示された線は、商標の特徴である。

米国商標登録3113915号
米国特許商標ウエブサイトTESSで検索した米国商標登録3113915号TSDRのDocuments, Drawingより掲載
(http://tmsearch.uspto.gov/bin/showfield?f=doc&state=4804:hp7ygd.2.1)

USPTO上記サイトのSpecimen(http://tsdr.uspto.gov/documentviewer?caseId=sn78545251&docId=SPE20050114100933#docIndex=14&page=1)で見ることができます。

ランハム法43条(a)には、登録されていないトレードドレスについて侵害を主張する者は、そのトレードドレスがfunctional(機能的)でないことを主張する責任を負うことが規定されています。 上記のような販売方法が出所表示機能となる、機能的でないなどの立証は容易ではなく、トレードドレスの登録要件をどう定めるか、既存のトレードドレスとの調整をどうするかなど問題が山積しており、商標としての保護はまだまだ難しいでしょう。

今週のポイント

  • 平成26年商標法改正により、サウンドマークや色彩のみからなる商標が出願できるようになるが、トレードドレスの導入は今回は見送られた。アメリカではすでに保護されており、導入が期待される。
  • トレードドレスとは商品の包装、パッケージのほか販売方法のようなものまで含み、これが商標として認められれば、商標登録できるようになる。しかし商品の機能からくる当然の形状にまで独占権が与えられると、他社の商品との識別ができない、出所表示にならないという問題がある。
  • Wal-Mart Stores Inc. v.s. Samara Brothers Inc.の判例では、「ペンギンの形をしたカクテルシェーカのような最も特異な製品デザインでさえ出所を識別せず、製品をより使い勝手良く、人目を引くように意図されている、という現実に消費者はほとんど常に気付いている」と判断された。
  • アメリカで登録になったトレードドレスの例として、ペイントを販売する際のフロアディスプレイのトレードドレスがある(米国商標登録3113915号)。
  • ランハム法43条(a)には、登録されていないトレードドレスについて侵害を主張する者は、そのトレードドレスがfunctional(機能的)でないことを主張する責任を負うことが規定されている。
  • 例えば販売方法が出所表示機能となる、機能的でないなどの立証は容易ではなく、トレードドレスの登録要件をどう定めるか、既存のトレードドレスとの調整をどうするかなど問題が山積している。

奥田百子

「もう知らないではすまされない著作権」(奥田百子監修、中央経済社)3月19日発売!

東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)

著書