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翻訳コラム

COLUMN

第150回バーチャルな操縦画面を含んだコックピットの発明

2014.07.10
弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子

バーチャルな操縦画面を含んだコックピットの発明です。エアバスによる出願であり、6月26日にアメリカで出願公開されました(US2014/180508)。

このニュースを紹介してくれたのは、WIREDの「操縦室に窓のないジェット機、エアバスが特許申請」(http://wired.jp/2014/07/08/airbus-windowless-jet-cockpit/)という記事です。

とうとう飛行機のコックピットにまでバーチャルが導入されました。

要約の訳

「本発明は、飛行機の前方に張り出す飛行機の環境を備える外の景色を、少なくとも一人のパイロットに与える操縦のための画面を備えたコックピットを有する、飛行機に関する。」

操縦のための前記画面の少なくとも一部にはガラス面はなく、飛行機の前方に張り出す飛行機の環境を備える外の景色の少なくとも一部を表すデジタル画像の表示手段により構成される。」

ここまで読んでどんな発明かわかりました。外の景色を表示するディスプレイを備え、ガラスのないコックピットです。

従来技術の訳

「客室に沿って張り出す飛行機の前方には、コックピットが配置されており、これにより客室のサイズは一層小さくなり、収容できる乗客数や快適さが低減され、飛行機を開発する航空会社の財政的利益も制限される。

本発明は、質量に対する影響や飛行機の空気学に対する影響を大きく低減する、新規なコックピットを備えた飛行機を提供することにより、上記欠点を緩和することを目的としている。」

コメント)つまり、コックピットのために客室が狭くなり、乗客数も制限される、快適さが失われる、という従来のコックピットを備えた飛行機の問題点を解決するための発明です。

「少なくともフロントガラスの一部を通して、従来のコックピットでは、パイロットが飛行機の前方の景色を見ることができたが、本発明ではこれがバーチャルである。フロントガラスの部分はデジタル画像に置き換わっており、すなわちパイロットが見る外の景色の少なくとも一部は、飛行機のリアルな環境のバーチャルな再構成である。ガラス面の少なくとも一部をデジタル画像の表示手段で置き換えることにより、空気学を改善するし、構造を軽量化する可能性が有り、これにより機首の重量を低減できる。」

図1を見てみます。スクリーンには、外の景色の上方を見る第1のパノラマ領域2と下方を見る第2のパノラマ領域3,4があります。
図3が具体的です。

32は飛行機が辿る経路であり、飛行機の現在の経路に存在する雲などの様々な障害物を表示してくれます。
確かに前方をデジタル表示した方が安全性は高まると言えます。デジタル表示主体で目視を併用するコックピットはこれから普及するでしょうか。

今週のポイント

  • バーチャルな操縦画面を含んだコックピットのエアバスによる出願が、6月26日にアメリカで出願公開された(US2014/180508)。
  • 外の景色を表示するディスプレイを備え、ガラスのないコックピットである。コックピットのために客室が狭くなり、乗客数も制限される、快適さが失われる、という従来のコックピットを備えた飛行機の問題点を解決するための発明である。
  • 飛行機が辿る経路と、飛行機の現在の経路に存在する雲などの様々な障害物を表示してくれる。

奥田百子

東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)

著書

  • もう知らないではすまされない著作権
  • ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
  • 特許翻訳のテクニック
  • なるほど図解著作権法のしくみ
  • 国際特許出願マニュアル
  • なるほど図解商標法のしくみ
  • なるほど図解特許法のしくみ
  • こんなにおもしろい弁理士の仕事
  • だれでも弁理士になれる本
  • 改正・米国特許法のポイント