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翻訳コラム

COLUMN

第152回ホンダのスーパーカブ立体商標登録から考える

2014.07.24
弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子

このたび日本でホンダのスーパーカブの立体商標が5月に登録されました。審査では二輪自動車の形状を普通に用いられる方法で表示するに過ぎないとして、商標法3条1項3号で拒絶されました。
いずれの特徴も二輪自動車の機能を高め、美感を惹起させるものであるから、拒絶されるというものです。結局は審判で使用による顕著性が認められ、登録されました(商標登録5674666号)。 この審決を読んで思い出したことがあります。以前にもこのブログで話したWal-Mart Stores v.s. Samara Brothersの事件です(Wal-Mart Stores, Inc. v. Samara Brothers, Inc. 529 U.S. 205 (2000))。Samara Brothersが子供服のハートや花、果物のアップリケで飾った子供服を製造販売していました。Wal-Martはそのサプライヤに対し、Samara Brothersの製品の写真を送り、サプライヤは少し改変を加えた子供服を販売し、争いとなったものです。
最高裁で争点となったのが、製品のデザインとパッケージの違いです。機能性からくるデザインは保護されません。この判例ではおもしろい例が挙がっています。
Coca-Colaのボトルは、コーラを飲んで瓶を捨てる人から見ればパッケージであるが、ボトルコレクターから見れば、製品そのものであり、缶よりも伝統的なガラスの瓶から飲む方が粋だと考えて、ガラス瓶に入ったコーラを買う者から見れば、製品自体の一部である。
製品のデザインと製品のパッケージであるトレードドレスを区別するのは難しい例として挙がっています。
この解釈は、デザインを気にせず単にコーラを飲めればよいと思っている消費者にとっては、コーラの瓶はパッケージであり、これによりペプシなど他の製品の区別することになるが、瓶のコレクターなどデザインに重きを置いている者から見ればこれはデザインであり、識別標識とはなっていないという意味でしょう。つまりコーラの瓶をデザイン自体と見てしまう者にとっては、パッケージではなく製品自体、あるいはその一部なのです。
このように見る者により観点が異なるので、コーラの瓶ひとつをとってみても、これがパッケージなのか、製品自体なのか判断が難しいということです。
デザイン自体を保護するには、もっと意匠制度を活用したらどうでしょう。アメリカでもデザイン特許があります。これは活用されていますが、日本では特許出願に比べると意匠出願は10分の1です。しかし平成26年改正により意匠国際出願の規定も整備されるので、これを機にもっと意匠制度を見直して欲しいです。

今週のポイント

  • 日本でホンダのスーパーカブの立体商標が登録された。審査では二輪自動車の形状を普通に用いられる方法で表示するに過ぎないとして、商標法3条1項3号で拒絶された。
  • いずれの特徴も二輪自動車の機能を高め、美感を惹起させるという理由で拒絶されたが、審判で使用による顕著性が認められ、登録された。
  • この審決を読んで思い出すのは、Wal-Mart Stores v.s. Samara Brothersの事件である(Wal-Mart Stores, Inc. v. Samara Brothers, Inc. 529 U.S. 205 (2000))。
  • この事件の最高裁では、製品のデザインとパッケージの違いが争点のひとつとなった。機能性からくるデザインは保護されない。
  • Coca-Colaのボトルは、コーラを飲んで瓶を捨てる人から見ればパッケージであるが、ボトルコレクターから見れば、製品そのものであり、缶よりも伝統的なガラスの瓶から飲む方が粋だと考えて、ガラス瓶に入ったコーラを買う者から見れば、製品自体の一部である、というのが製品のデザインと製品のパッケージであるトレードドレスを区別するのは難しい例として、この事件の最高裁判例で挙がっている。
  • デザイン自体を保護するには、もっと意匠制度を活用すべきである。アメリカでもデザイン特許がある。これは活用されているが、日本では特許出願に比べると意匠出願は10分の1である。しかし平成26年改正により意匠国際出願の規定も整備されるので、これを機にもっと意匠制度を見直して欲しい。

奥田百子

「もう知らないではすまされない著作権」(奥田百子監修、中央経済社)3月19日発売!

東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)

著書