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翻訳コラム

COLUMN

第153回You TuberであるMichelle Phan

2014.07.24
弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子

You Tuberといわれる人がいるそうです。You Tubeに繰り返しアップロードしてくれる人です。確かにインターネット、ブログは今日、重要なメディアの一つであり、テレビ、新聞、雑誌と同様に瞬時に不特定多数人に情報を伝えることができます。
しかもテレビ、新聞等は特定の人しかこれに登場することができませんが、インターネット、ブログは誰でもがすぐに利用することができます。テレビでスターになるには運と努力が必要であるし門戸は狭いのですが、インターネット、ブログを利用することは誰でもできます。そこからスターになるにはまた運と才能が必要なのでしょうが。
Michelle PhanというYou Tuberの著作権侵害の話です。このニュースを紹介してくれたのは、Gigazineの 「人気YouTuberが著作権違反で訴えられ、約1500万円の損害賠償を請求される」という記事です(http://gigazine.net/news/20140723-youtuber-sued-copyright/)。You Tuberということばもここで知りました。
"Barbie Transformation Tutorial"( https://www.youtube.com/watch?v=J4-GRH2nDvw&hd=1)というバービー人形のようになるメーキャップ方法を教えるビデオをアップロードして人気を博した人です。確かに5,510万回以上の再生回数です。
しかしスターになることには責任も伴います。Michelle Phanが著作権侵害であるとして訴えられ、15万ドルの損害賠償を請求されました。他人の楽曲をビデオの中で使っていたからです。
You Tubeで他人の音楽を流してしまうと公衆送信に当たります。これで思い出したことがありますが、日本では平成24年著作権法改正により、写り込みが許されるようになりました。例えば猫の動画を撮ってYou Tubeにアップロードした、たまたま後ろにミッキーマウスのポスターが貼ってあった、という場合にこれをディズニーの著作権侵害とはしないように、写真や映像に映り込んでしまったものは著作権侵害とはならないのです。音楽についても同様で、動画を撮影して、たまたま後ろでテレビやラジオがオンになっていて、音楽が入ってしまった、という場合も著作権侵害とはなりません。
Michelle Phanさんもこのような主張ができないかというと、それはダメです。映り込みには「分離不可能」「付随性」という要件があり、映り込んでしまった他人の著作物は、自分が撮影したものと分離できない、自分の撮影に付随するものであることが必要です。
効果音として用いる他人の著作物もやはり著作権侵害になります。
Ultra Recordsが訴えたそうですが、他人の楽曲を録音してアップロードするのとは異なり、効果音として使ったのですが、それでもやはり著作権侵害ですね。このビデオでMichelle Phanは多大な人気を得ていますが、これは主体はMichelleのメークアップ方法のビデオによるもので、他人の音楽による寄与は少ないとの主張くらいはできそうです。

今週のポイント

  • Michelle PhanというYou Tuberが著作権侵害であるとして訴えられ、約15万ドルの損害賠償を請求された。他人の楽曲をビデオの中で使っていたからである。
  • You Tubeで他人の音楽を流すと公衆送信に当たる。
    日本では平成24年著作権法改正により写り込みが許されるようになった。例えば猫の動画を撮ってYou Tubeにアップロードした、たまたま後ろにミッキーマウスのポスターが貼ってあった、という場合にこれをディズニーの著作権侵害とはしないように、写真や映像に映り込んでしまったものは著作権侵害とはならない。音楽についても同様で、動画を撮影して、たまたま後ろでテレビやラジオがオンになっていて、音楽が入ってしまった、という場合も著作権侵害とはならない。
  • 映り込みには「分離不可能」「付随性」という要件があり、映り込んでしまった他人の著作物は、自分が撮影したものと分離できない、自分の撮影に付随するものであることが必要である。
  • 効果音として用いる他人の著作物もやはり著作権侵害になる。

奥田百子

「もう知らないではすまされない著作権」(奥田百子監修、中央経済社)3月19日発売!

東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)

著書

  • ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
  • 特許翻訳のテクニック
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