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翻訳コラム

COLUMN

第157回コロンビアの大学生の著作権問題

2014.08.28
弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子

前回に引き続き、海外での著作権に対する強烈な思い入れのニュースです。コロンビアのある大学生が、他人の論文をウエブ上で文書を共有できるScribdに掲載してこの論文を共有したことで、著作権侵害として訴えられたというニュースです。著作権侵害となれば最高8年の禁固刑になるそうです。このニュースを紹介してくれたのは、Gigazineの「他人の論文をネットで共有したことにより大学生が禁固8年+罰金の危機」(http://gigazine.net/news/20140822-student-may-be-jailed/)です。これは著作権侵害に果たしてなるのでしょうか?
この学生が論文を共有した相手は正確にはわかりません。しかしリアルな世界で単に友達に見せただけでは著作権侵害ではありません。Scribdに掲載すると本当に著作権侵害になるのでしょうか?インターネットにアップロードしたと同様に公衆送信になるというイメージでしょうか。確かに他人の論文をScribdであれインターネットに許可なく掲載することは著作権で問題になり得る、という感覚は持つことは必要でしょう。
しかしfair useで認められるという考えはないのでしょうか。アメリカ著作権法でいうと、fair useによりresearch目的の利用は著作権侵害になりません。もちろん研究目的だからといって何でも認められるわけではありません。しかしここでは許されない範囲の著作物の利用なのでしょうか。研究目的であってもなくても、リアルの世界で論文を研究目的で見せ合うだけであれば、問題になりません。
しかしScribdで共有したことにより、公衆送信に近い形となり、多数の人々が共有し得ることを問題にしているのでしょう。
この事件以外でも、ウエブ上で行われたがゆえに、リアルの世界では問題にならないことが問題になることがあります。ウエブはそれだけ危険なツールです。なぜなら不特定多数人に閲覧される可能性が常にあるからです。
米国著作権をざっと見たところ、shareが違法であるという規定は見当たりません。しかしこれはコロンビア著作権法の問題です。やはりこれはScribdで行ったことを問うているのでしょう。
日本でも電子書籍の海賊版を差し止めるための出版社の権利である電子出版権が創設されていますが、電子出版だからこそ海賊版対策が議論されました。ウエブというとすぐ著作権を念頭に置かなければなりません。

今週のポイント

  • コロンビアのある大学生が、ウエブ上で文書を共有できるScribdに他人の論文を掲載したことで、著作権侵害として訴えられた。著作権侵害となれば最高8年の禁固刑になる。
  • これは文書をScribdで共有したことにより、公衆送信に近い形となり、多数の人々が共有し得ることが問題であると考えられる。

奥田百子

「もう知らないではすまされない著作権」(奥田百子監修、中央経済社)3月19日発売!

東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)

著書

  • ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
  • 特許翻訳のテクニック
  • なるほど図解著作権法のしくみ
  • 国際特許出願マニュアル
  • なるほど図解商標法のしくみ
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  • 改正・米国特許法のポイント