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翻訳コラム

COLUMN

第192回母音uがポイントかも

2014.06.18
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

中国語を教えさせていただくようになって10年くらいになります。

中国語ってやはり発音が命で、最初はどうしても発音練習ばかりで面白くないんですよね〜。でもここをおろそかにすると、あとで発音を矯正するのは大変なので、発音が重要だということだけはよく分かっていただくように力説しています(笑)。

ところで、中国語の発音の中で、一番難しいのは何だと思いますか?

難しい発音、たくさんありますよね。声調も慣れるまでは難しいでしょうし、有気音や無気音も日本人にとっては不思議な発音ですよね。巻舌音も結構めんどうです。母音も e なんかはなかなか安定しない人が多いです。

でも、実は u の母音、これが実は一番難しいのではないかと僕は思っています。

この発音を説明する時、多くの先生方は「唇をもっと丸めて!」としかおっしゃらないような気がしますが、実は口の中が広く縦に開いていなければこの母音は出ません。

ちょっと皆さん、u の発音をしてみてください。

この時、奥歯を噛んでいませんか?

噛んでいたらアウトです。上と下の奥歯はしっかり離れていなければなりません。

ちょうど日本語の「オ」を言う時くらいに口の中を広く縦に開けて、その広さを保ったまま唇を丸めると、中国語のuの音になると思います。

さて、この u ができていないと、uを使う重母音にも影響が出てきたりします。

たとえば「hua」。

この綴りのせいで、多くの人が「フア」みたいな発音をしてしまいます。

でも日本人が「フ」という時、多くの場合口の中が狭いせいもあり、喉から出てきた息が唇に当たってしまうので f のような音に聞こえてしまうのですね。ここはやはり大きく口の中を縦に開けて発音しなければ。そのために、いっそ「ホ」というように僕は言っています。つまり

「ホワ」

みたいに言うのです。そうすると中国語らしくなります。だいたいhの子音の後にuから始まる重母音がくっついた時は「ホ」と言ったほうがいい、と思ってください。例えば「花 huā ホワ」「坏 huài ホワイ」「欢 huān ホワン」「黄 huáng ホワン」

さて、ところで「对」という字は duì と読みますよね。

でもこの発音の母音、本当は「ui」ではありません。「ui」という二重母音なんてテキストに出て来ませんよね。でも実際には「 ui 」というピンインが出てきます。

実はこれは「uei」という三重母音なのですよね。ご存知だと思いますが。なぜか子音がくっつくと、「e」が消えてしまうのです。

ですから、 dui のような発音が出てきたら、僕は必ず「これは本当は d + uei でしたよね。ですからちょっとだけ[エ]のような音を意識して発音してください」と言っているのですが、残念ながらなかなかそれっぽい発音にならない人が多いのです。

つらつら考えてみるに、どうやら最初のuの音がちゃんと出来ていないからだと最近気づきました。

u の音を発音する時に、きちんと口の中を縦に広く開けていると、その直後にiを言おうとすると結構口の動きが激しいです。それを滑らかに動かそうとすると、勝手に「エ」のような音が介在するのですね。その程度でいいのです。無理に「トゥエイ」って言おうとしなくてもいい。むしろその前のuの音をしっかり正しくおこなうことのほうが大切だったのです。

dun なんかも同じですね。本当は d + uen ですが、これも u の音をしっかりすることでかなり改善されるはず。

そう考えてくると、中国語の発音の中でもっとも難しく、しかも大きなポイントとなるのは、実は u の母音なのですね。意外なところに落とし穴がありましたね〜(笑)。

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

著書

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