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翻訳コラム

COLUMN

第204回ちょっと、ちょっとちょっと

2014.09.10
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

ザ・たっちのギャグではありません。今日は「ちょっと」のお話です(笑)。

日本語で「ちょっと」とか「少し」という意味を表す中国語、実はいくつかありますよね。

一下 yí xià

これは、動作の回数が「ちょっと」だというイメージ。

「下」というのは元々回数を数える単位だったようです。ですから「一下」は直訳すると「一回(いっかい)」ということになります。動作を本当に1回だけしかしないかというと、そうとは限らないのですが、「回数が少ない→ちょっと」というのは、ご理解いただけるかと思います。例えば:

看一下
kàn yí xià
ちょっと見る

これは、「看 kàn (見る)」という動作を1回する、というのが元々の意味で、そこから「ちょっと見る」という意味になります。

この表現と似ているのが、動詞の重ね型。

看一看(kàn yi kàn) or 看看(kàn kan)

動詞の重ね型は「ちょっと〜する」という意味だと習ったと思いますが、二回目の動詞は回数を表すという解釈があるそうです。つまり「看」という動作を1つ分の「看」だけする、ということです。だからニュアンスは「看一下」と似ているのです。

一点儿 yì diănr

これもよく「少し」とか「ちょっと」と訳されますよね?しかし、「一下」や動詞の重ね型とはかなりニュアンスが違います。

これは、数量が「少し」だと述べる表現です。例えば:

喝一点儿酒
hē yì diănr jiŭ
お酒を少し飲む。

この「一点儿」はお酒の量を指しているわけです。同じようなことを「喝一下酒」とも言えますが、その場合は酒を飲む動作の回数が少ない、という感じなので、「飲む」という動作に焦点が当たっているのです。ちょっとニュアンスが違ってきますよね。訳すと同じになってしまいますが(笑)。

一会儿 yí huìr

これは、時間的な表現です。よく「しばらく」と訳すので、「少し」という意味の「一下」や「一点儿」とはちょっと違うのですが、似たような意味になることもあるので、ここで述べておきます。例えば:

等一会儿!
děng yí huìr
しばらく待って下さい!

でもこの場合、日本語で「しばらく待つ」と言うのも「ちょっと待つ」と言うのも、多分そう意味の違いはないように思いませんか?

「ちょっと待って下さい!」なら中国語はこうなります。

等一下! děng yí xià
等一等! děng yi děng
等等! děng deng

でも、「待つ」という行為に数量は関係ないので、次のような表現はありません。

×等一点儿

同じような表現ですが、元の意味を知れば色々見えてくることもありそうですね。特に中国語は漢字の意味が結構根強く残っていることが多いので、注意が必要です。漢字の元の意味を意識して覚えると、楽しく覚えられるかと思います。

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

著書

  • 文法から学べる中国語
  • 中国語!聞き取り・書き取りドリル
  • CD付き 文法から学べる中国語ドリル
  • 中国語検定対策4級問題集
  • 中国語検定対策3級問題集
  • ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本