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翻訳コラム

COLUMN

第210回「等」とか「以上・以下」

2014.10.22
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

ご存知の通り、僕はいちおう中国語で飯を食っているわけですが、いまだに色々と分からないことや不思議なことがあります。いつも不思議だなと思っていることを今日は2つほどご紹介します。

日本語でも、いくつかモノを列挙する場合、こんなふうに言いますよね。

りんご、みかん、バナナ等、どれもほんとに安い!

こう言った場合、この話者の目の前に広がっている果物は、りんご、みかん、バナナ、以上3種類だけではない気がします。他にも色々あるのだけど、とりあえず目に付いた3種類だけを挙げて、その他のものは「等」という字で表しているわけです。

ですから、次のような言い方は、ちょっとおかしい気がしますよね?

日本、アメリカ、中国、韓国、ロシア等5カ国。

日本語なら、「等」という以上、列挙した5つの国のほかにも該当国があるはずなのに、直後に「5カ国」と言っているわけで、日本語としてはおかしいです。ですから日本語なら次のように言わなければならないですよね。

日本、アメリカ、中国、韓国、ロシア、以上5カ国。

ところが、中国語は次のように言えるようです。

日本、美国、中国、韩国、俄罗斯等五个国家。
Rìběn、Měiguó、Zhōngguó、Hánguó、Éluósī děng wŭge guójiā

我々日本語ネイティブとしては、とても不思議な言い方ですよねぇ。中国語の「等」は「など」というより「〜といった」というほどの意味なのかもしれません。

以上、以下

翻訳をしていると、時々このような表現に遭遇します。

六十分及六十分以上为及格
liùshí fēn jí liùshí fēn1 yĭshàng wéi jígé
(直訳)60点および60点以上を合格とする

この日本語訳、ちょっと日本語としてはまどろっこしいですよね。僕はたいていこういう場合は「60点以上を合格とする」と訳しています。

日本語で「60点以上」と言えば、「60点」も含みますよね?ところが、中国語ではそのあたりが曖昧らしいのです。

ふつうの日常会話であれば、日本語同様「六十分以上」とだけ言えばいいらしいのですが、より正確さが必要な場面では上のように言わなければならないそうです。

また、「以下」は、日本語だとその数を含みますよね?例えば「20歳以下」というと、20歳も含んでいると思います。

中国語ではこれまた不明瞭らしいのですが、一応「以下」の場合はその数を含まない傾向にあるそうです。つまり日本語の「未満」に相当するわけですね。これはちょっと、我々日本語ネイティブには要注意です。

こういう場面に出会ったら、必要な場合はちゃんと相手に確認しなければなりませんね。

「等」、「以上」、「以下」は日本語と同じ形ですし、意味も非常に似通っているのですが、実は微妙に違っているのですねぇ。形も意味も全く同じ単語なんて、実はほとんど無いのかもしれませんね。

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

著書

  • 文法から学べる中国語
  • 中国語!聞き取り・書き取りドリル
  • CD付き 文法から学べる中国語ドリル
  • 中国語検定対策4級問題集
  • 中国語検定対策3級問題集
  • ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本

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