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翻訳コラム

COLUMN

第218回ウーロン

2014.12.17
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

ウーロン茶、皆さんも当然ご存知の中国茶ですよね。僕も大好きです。

ウーロン茶、漢字で書くと「烏龍茶(乌龙茶 wū lóng chá)」となりますね。この「乌龙」の部分、時々ウーロン茶とは全然関係の無いところで見かけるんですよねぇ(笑)。

先日ネット上を徘徊していると、こんな言葉を見ました。

「昨天法网冠军颁奖典礼出现了一个小乌龙。」
Zuótiān făwăng guànjūn bānjiăng diănlĭ chūxiàn le yí ge xiăo wūlóng.
(昨日フランスのテニスの大会の表彰式で小さな「烏龍」が起こった。)

内容を読んでみると、優勝した人が受け取るべき優勝カップが、間違って準優勝の人に渡されてしまったというのです。

ふ〜ん。こういうことを「烏龍」って言うのか〜。オッチョコチョイな事件のこと、とでも言いますか。

他にもこんな言葉がありましたよ。

「此事很快被证实是乌龙事件。」
Cĭshì hěn kuài bèi zhèngshí shì wūlóng shìjiàn.
(このことは、すぐに「烏龍」事件であることが証明された。)

内容はこうです。ある女性の有名スポーツ選手と男性の有名スポーツ選手の熱愛報道があったのですが、それが根も葉もない噂でしかなかったというのです。

なるほどね〜。オッチョコチョイな勘違いという感じでしょうか。

他に、有名なところでは、サッカー用語にも出てきますよね。

乌龙球
wū lóng qiú

これは、いわゆる「オウンゴール」のことだそうです。サッカー選手が試合中に、自分のチームのゴールにボールを蹴り入れてしまうことですね。

これもオッチョコチョイな行為ではあります。

ちょっと「烏龍」という言葉について調べてみると、実はこれには民間の物語が影響しているようです。

日照り続きのとき、庶民が祈祷師を読んで雨乞いをしてもらったのですが、降雨させる「青龍」が来るはずが、火を吐く「烏龍」が出てきてしまったというのです。そこで、「大事なところで要らないことをする」という意味で「烏龍」という言葉が使われるようになったのです。

なるほど、そういうところから「オウンゴール」のことを「乌龙球」と言ったり、オッチョコチョイな(やらなくてもいいのに余計なことをするような)事件のことを「乌龙」と言ったりするのですね〜。

他にも、「St.Trinian's」というイギリスの映画の中国語タイトルがこうなっていました。

新乌龙女校
xīn wū lóng nǚ xiào

この映画、不良ばかり集まる女子高が閉校の危機を乗り越えるような内容だそうですが、ハチャメチャな喜劇だそうです。これを「乌龙女校」と名づけちゃうところが、素敵です(笑)。

そして、最後にもう1つご紹介しましょう。これは皆さんちょっと考えてください。日本のマンガのタイトルです。

乌龙派出所
wū lóng pài chū suŏ

「派出所」は日本語と同じで、派出所という意味です。

タイトルに派出所という言葉が付く日本のマンガ、思いつきますか?

そう。「こちら葛飾区亀有公園前派出所」いわゆる「こちかめ」です(笑)。

すごいですね。「こちかめ」を「乌龙派出所」と名づけるなんて、名訳だとは思いませんか?

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

著書

  • 文法から学べる中国語
  • 中国語!聞き取り・書き取りドリル
  • CD付き 文法から学べる中国語ドリル
  • 中国語検定対策4級問題集
  • 中国語検定対策3級問題集
  • ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本

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