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翻訳コラム

COLUMN

第239回若いのが得かどうか

2015.05.20
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

数年前から大学で中国語を教えさせていただいています。

最初、最近の大学生ってどんな様子かなぁと内心ドキドキしていたのですが、この大学の学生さんたちは、まぁ比較的真面目で大人しくていい子たちでした。安心しました〜(笑)。

それまでは、伊藤の教えていた生徒さんは、若くても20代後半の社会人。一番上の人は70代というような感じでした。だから、10代に中国語を教えるのは、初めての経験だったのです。

僕自身が学生だった時、やはり語学は若いうちが勝負だと思っていました。若くないと覚えるのが大変だろうと。どこかで「新しい語学をやるには25歳までに始めなければ」等と聞いたことがありまして、こんな根拠の無い言葉(?)に踊らされて、ちょっと急いでドイツ語やフランス語やインドの古い言葉を勉強したものです。どれもモノになっていませんが(笑)。

さて、教える立場にたって、生徒さん達の様子を見つつ、語学は若い方がいいのかどうか、色々考えてみました。

暗唱

中国語を教える際、僕はよく暗唱をやってもらいます。僕自身も最初は暗唱地獄だったので(笑)、生徒さんにも味わってもらっています。まぁ僕なんかはとてもとても優しい先生だと思うので(笑)、地獄にはなっていないと思いますが。

社会人のみなさんにも暗唱をお願いするのですが、実はあまり期待していません。お忙しい人が多いせいか、やっておいでにならない人が結構多いのです。正直ちょっと残念なのですが、自分が別の言語を勉強することを考えてみると、やはり大変だろうなと思いますので、できる範囲でお願いしています。

一方、大学生に暗唱をさせると、中国語に全く興味なさそうな学生でも、ソコソコこなしているようです。これには正直びっくりしました。社会人だとなんとか暗唱していても発音がメチャクチャという人も多いのですが、大学生は発音もまぁまぁという人が半分以上いるようでした。若い時って本当に、音を素直に受け入れられるのでしょうねぇ。

やる気

圧倒的に社会人の方がやる気があります(笑)。大学生のほうはというと、まぁ色々なのですが、単位のために仕方なく、という人が多いようです。中には熱心な生徒さんもいないことはないのですがね〜。

社会人のみなさんは、自分で興味をもって勉強し始めたり、仕事で使うのでどうしても必要という人ばかりなので、授業中の反応もすこぶる良いのです。大学だと、暖簾に腕押しというか、無反応のことも多く、時として張り合いがありません(苦笑)。

経験値

社会人と大学生を比べると、当然ながら社会人のほうが経験値が高いです。経験値は当然高い方がいいとされることが多いですよね。しかし、これがですね、意外と諸刃の剣なのです。

社会人は色々な経験を積んでいるので知識量も多いです。また他の言語を勉強してかなり話せるようになっている人もいるので、自分なりの語学学習法を持っている人もいるようです。

その経験値を上手く活かして中国語をドンドン習得していく人もいるのですが、逆に「過去の栄光」に浸ってしまって謙虚に中国語を受け入れることができず、「こんなはずじゃなかったのに、中国語はうまく行かないな〜」と思って途中で嫌になってフェイドアウトしていく人も結構いらっしゃいます。

その点、大学生たちにとっては、中国語は多くの人にとって初めての「英語以外の外国語」で、自分なりの語学学習法も確立していないし、その他の知識もそんなには多くないので、とにかく目の前にあるものを受け入れて飲みこんでいくしかないのです。

語学習得には、実はそういう「盲目的な愚直さ」というのが必要な場面も多いのです。特に入門期はそうです。

そういう意味では、大学生のほうが有利かもしれません。

但し、経験値を上手く活かせるなら、社会人のほうが断然有利ですが。

要するに

大学生と社会人というふうに区切って比較してきましたが、やはり全体的にみて大学生のほうが語学学習には向いていますね。但し、それは「学生だから時間がある」「経験値が足りないので謙虚に受け入れて行かざるを得ない」というような、いわば消極的な理由からです。

もし、今までの経験や知識にとらわれずに謙虚に言語現象を受け入れ、経験や知識を活かせる部分は積極的に活かす、というふうにできれば、それが最強だと思います。そしてそれが出来得るのは、社会人です!

このメルマガの読者は社会人が多いと思いますが、どうか皆さん、謙虚に、そして大胆に語学学習を進めてくださいね。応援しています!

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

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