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翻訳コラム

COLUMN

第290回悶える?

2016.06.08
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

当然ご存知でしょうが、日本語と中国語は共に漢字という文字を使います。

おかげで我々日本語ネイティブは、中国語を勉強する場合、他の国の人々に比べてかなり有利です。僕が留学していた時も、中国語研修クラスのレベル分けテストで上位のクラスに振り分けられた学生はほとんど日本人。中にもちろん西洋人や中東の人なんかもいるわけですが、日本人以外の人はたいてい、どんなにペラペラしゃべれていても下の方のクラスに入ることになります。それは、レベル分けテストが主に筆記テストだけなので、漢字が書けないと下のクラスになってしまうのですね。

日本人の場合、習っていない単語でも日本語の知識で意味が分かってしまったり、中国語を書く時も日本語の単語をそのまま簡体字にして書いてみると偶然正解になったり、ということがあり、上のクラスに入れられてしまうことがあるのですね。

だから、我々にとって漢字は強い味方です。でも、逆に我々の足をすくう敵でもあります。同じ漢字でも意味が全然違う、もしくは似ているけどちょっと違うということがあるわけです。

今日は、日本人が足をすくわれるものをちょっと紹介しようと思います。

行く

A:早上八点见面,可以吗?
zăo shang bā diăn, kě yĭ ma
朝8時に会うというので、いいですか?

B:
xíng

この「行」という言葉を中国語初心者の人に訳してもらうと、時々「行きます!」と言ってくれます(笑)。

残念ながら、中国語の「行」という字に「行く」という意味はありません。これは「OK!」とか「いいです」「わかりました」「大丈夫」という時に使う言葉ですね。よく使うので、皆さんすぐ間違えなくなりますが、久しぶりに見るとまた引っ掛かる人がいますので、皆さんも気をつけてくださいね。

悶える

友人でロシアに留学していた人がいます。

彼女がロシアに行っていたのは、確か1990年代。もうずいぶん前のことです。当時ロシアはソ連崩壊直後で、食糧なども豊富ではなく、街には中国からの輸入品が結構あったそうです。

そこで彼女たち日本人留学生は、よく中国のカップ麺を食べていたのだそうです。

カップ麺の作り方なんてそんなに難しくありません。お湯を入れてしばらく待てば食べられるようになるわけで、作り方なんかいちいち見なかったそうですが、ある時ふとその作り方を読んでみたそうです。

上でも書いたように、そのカップ麺は中国製です。つまり、作り方は中国語で書いてあるわけです。そこに、どうもこんなふうに書いてあったようです。

・・・盖上盖子闷三分钟。
gài shang gài zi mēn sān fēn zhōng

これを見て、日本人留学生たちは大笑いしたそうです。だって「蓋をして三分間悶える」というふうに読めたからです(笑)。

早く食べたい〜〜!まだできないのか〜〜〜!と悶える図が目に浮かんだのでしょうね。確かにそう思うと笑える説明です(笑)。

でも実はこの「闷 mēn」には「蒸らす」という意味があります。つまり「蓋をして三分間蒸らす」と書いてあったのですよね。

まぁこの場合は「悶える」でも「蒸らす」でも、大きな失敗にはつながりませんからいいですけどね〜(笑)。

他にもイッパイありますよね。やはり中国語は日本語とは違う、全く別の言語だと思って、知ってる漢字も知っていると思いこまず、謙虚に覚えていくことが大切だと思います。

自戒もこめて、改めて謙虚に中国語を勉強していきたいものですね。

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

著書

  • 文法から学べる中国語
  • 中国語!聞き取り・書き取りドリル
  • CD付き 文法から学べる中国語ドリル
  • 中国語検定対策4級問題集
  • 中国語検定対策3級問題集
  • ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本

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