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翻訳コラム

COLUMN

第297回声域

2016.08.03
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

皆さん、お歌はお好きですか?

演歌でもオペラでも、なんでもいいですが、自分で歌うことは普段ありますか?

最近1人カラオケなんてのも流行っていると聞くので、結構皆さん歌うのお好きなんじゃないでしょうか?

ご存知の通り、中国語には四声というものがあるものですから、自分が今高い声を出しているのか低い声を出しているのか、くらいの区別はついたほうがいいです。だから音感は無いよりある方が絶対に楽です。

つまり、そんなに上手くないとしても歌うことは好きだ、という人なら中国語の習得は結構楽なはずです。でも多くの人は、その歌の技術(?)を中国語の発音に応用できていないように思います。

今日は簡単な応用方法をちょっと書いてみようと思います。

ポイント:高い声を使えるようにする


我喜欢〜〜。
wŏ xĭ huan
私は〜〜が好きだ。

この「wŏ xĭ huan」という部分、実際の発音は「2声3声軽声」となりますが、多くの人は最初の「」に惑わされたのか「3声1声軽声」と読みますよね。皆さんもそうなっていませんか?

思うに、日本語では文頭に低い音が来ることはあっても、文の途中で低い音が挟まることはほとんどなく、ましてや文の1音目で急激に高いところまで引き上げたあと、2音目で低い音を出さないといけないなんてこと、まぁ日本語にはありませんよね。だから「wo」は低いままで発音し、次は高い音になってしまう。これは正に日本語のイントネーションです。たとえば「わたしは〜〜です。」という時の「わ」は低い音、「た」は高い音になるでしょう?

ではどうすればいいか。第1音目で自分でもびっくりするくらい高いところまで、声がひっくり返るくらいまで、引きあげてみるとどうですか?

そこまで高くしたら、さすがにそれと同じ声の高さで次の「xi」を発音することはできず、低くせざるをえないのではないですかね?

日本人の中国語発音を聞いていて思うのは、どうも高い声が出せていないということです。普段抑揚のあまりない言語を話している我々は、あまり高い声で話すこともないし、文全体のイントネーションも、話し始めは低く、すぐに高くなりますが、そんなに急激ではありません。富士山の稜線のように、おだやか〜な曲線を描いているように聞こえます。つまりほとんど抑揚なしに喋れるのが日本語なのですよね。しかも自分の声域の中の低い部分を使って話している人が非常に多いと思います。

それに対して中国語は、第1声の次に第3声が来るなんて当たり前のように出てきますし、第2声がいくつも続くというようなことだって平気で起こります。あたかも万里の長城のように、激しくうねっているのが中国語なのですよね。

そうすると、我々も万里の長城のように話さなければ、中国語として聞き取ってもらえません。それには、まず高い声を使えるようにしなければ。

先ほども書いたように、我々は普段、自分の声域の中で低いところを使って話しているようなので、中国語を話す時も「我喜欢 (実際の発音は ) xĭ huan」の最初の第2声を少ししか引きあげようとしないわけです。

自分の声域の中で結構低いところで話している我々は、もうこれ以上声を低くするのは無理があります。だから、相対的にもっと高いところを使っていかないと、中国語らしい万里の長城風の発声ができない、というわけです。

というわけで、皆さん、カラオケルームで練習しましょう。高い声を使う曲をたくさん歌って、高声部を鍛えるのです!(笑)。

な〜んて。もちろんそれもいいのですが、ちょっと恥ずかしいのを我慢すれば、高い声なんてすぐ出ます。そんな超音波のようなキンキン声を使えと言っているのではありません。自分の普段使っているくらいの高さの声を「ド」として、そこから「ドレミファソラシド」と歌ってみて、上の「ド」くらいを第1声の時の高さだと思って発音練習してみればいいのです。

高い声が使えるようになると、中国語の発音はグンと楽になります。使わない手はないですよ!(というか、使わないとダメです・・・笑)

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

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