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翻訳コラム

COLUMN

第309回どっちでもいいの?

2016.10.26
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

2文字の単語で、文字を前後入れ替えても同じ意味になる言葉、中国語にはチラホラあります。

不思議ですね。日本語にはそういう単語はあまりないと思います。でも中国語にはいくつか見受けられます。例えば:

相互
xiāng hù

互相
hù xiāng

いずれも「互いに」「相互に」という意味です。僕の勝手な印象だと最近は「相互」のほうが多く目にし耳にするような気がしますが、僕は「互相」の方に先に出会ったので、今でも頭にすぐ浮かぶのは「互相」です(笑)。

灵魂
líng hún

魂灵
hún líng

いずれも「霊魂、魂、精神」のような意味で使われる言葉ですよね。とある辞書では同じ意味と書かれていました。個人的な印象では「灵魂」のほうが多い気がしています。

このように同じ意味になるものもありますが、地域差があるものもあって、面白いです。

例えば:

地道
dì dao

道地
dào dì

これは「本場の、生粋の」というような意味の単語ですが、どうやら後者は台湾で使われる言い方らしいです。

大陸でも「道地」を使う地域があるかもしれませんが、僕は「地道」しか聞いたことがありません。でも台湾の人に「地道」というと結構笑われたりします(笑)。面白いですよねぇ。なぜこうなったのかなぁ。

大陸と台湾で字が逆に並んでいるものとして、他には「パンダ」があります。

大陸のほうではパンダのことはこう言いますよね?

熊猫
xióng māo

これ、台湾でも通じるのですが、台湾ではこういう言い方もあるそうです。

猫熊
māo xióng

この「猫熊」は大陸では僕は聞いたことがありません。手元の辞書にはどちらも出てきますけど、多分「猫熊」は台湾の言い方だと思います。

このことについて、台北市立動物園のパンダ館の中に説明を書いた看板がありました。本当かどうか分かりませんが、面白かったのでご紹介します。

この説明によると、本来は「猫熊」が妥当であるとのこと。なぜなら、中国語では前のものが後のものを修飾し、後ろのものが中心語となる、という言語習慣がありますので、「猫みたいな熊」という意味の「猫熊」のほうが妥当だというのです。

確かにパンダは、見た目は熊に近いですものね。「熊みたいな猫」というより「猫みたいな熊」のほうが妥当だと言われれば、反論はできません(笑)。

そして、中国語では昔縦書きが基本でしたが、横書きする時には右から左へと書かれていました(日本語もそうでしたよね)。

ですから「猫熊」も、右から左に「熊猫」と書かれていたのですが、その後横書きは左から右に書かれるようになって、混乱してしまったのだ、というのです。

なるほど、これを信じるなら「猫熊」のほうが正統だということになりますねぇ(笑)。

といっても、もう僕は「熊猫」で頭に定着してしまっているし、大陸では「熊猫」のほうが優勢なので、今更僕の頭の中の単語帳を「猫熊」に更新する気はありませんけど(笑)。

でも、僕の中の謎が1つ解けて、嬉しかったです。

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

著書

  • 文法から学べる中国語
  • 中国語!聞き取り・書き取りドリル
  • CD付き 文法から学べる中国語ドリル
  • 中国語検定対策4級問題集
  • 中国語検定対策3級問題集
  • ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本

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