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翻訳コラム

COLUMN

第346回微妙な違い

2017.07.26
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

皆さんご存知のように、日本語の漢字音は基本的に1つの字につき訓読みと音読みの2種類の読み方がありますが、中国語は基本的に1つの字につき1つの音しかありません。しかし、中には2つ以上の読み方を持つ漢字もあります。こういうのを「多音字 duō yīn zì」と呼びます。例えば:

乐(楽)
…「楽しい」というような意味の時
yuè…「音楽」という意味で使われる時

长(長)
cháng…「長い」という意味の時
zhăng…「成長する」とか「年長」とか「責任者(例:部長)」という意味の時


xíng…「行く」「進める」というような意味の時など
háng…「列」「業種・職業」というような意味の時など

以上のような字の場合は、2つの読み方が結構違うのであまり混乱しないと思いますが、子音や母音は同じで声調だけが違うという場合も結構あります。例えば:


hăo…「よい」というような意味の時
hào…「好き」というような意味の時

「hăo」はよく出てくるのでご存知でしょうが、意外と「hào」は知られていなかったりしますね。例えば「爱好 ài hào (趣味)」「好客 hào kè (客好きだ)」といった言葉で出てきます。


zhōng…「中央」というような意味の時
zhòng…「当たる、的中」というような意味の時

これも、「zhōng」と読む場合が非常に多いのですが、「zhòng」も結構出てきます。例えば「中毒 zhòng dú (毒にあたる、中毒になる)」とか「中奖 zhòng jiăng (くじに当たる)」などがありますね。


kàn…「見る」「読む」というような意味の時
kān…「見張る」「見守る」というような意味の時

これも前者「kàn」はよく出てくるのでご存知でしょうが、実は第1声で読むことがあります。その場合はただ見るという意味ではなく「見張る」「見守る」という意味です。日本語で「ちょっとトイレ行ってくるからこのカバン見てて」と言われると、ただ見ているだけではなく見張っていなければなりませんね。そんなことを中国語で言いたい時は「kàn」ではなく「kān」と言わなければなりません。あと、例えば「留守番をする」ことは「看家」と言いますが、この時も発音は「kān jiā」です。気をつけたいですね。

以上のものは第3声と第4声、第1声と第4声の違いで、声調に敏感であればほぼ確実に聞きとれるし、言い分けるのも慣れれば大丈夫だと思いますが、次の場合は非常に微妙だなといつも思うのです。


chăng
cháng

この字はほとんどの場合「chăng」と読みますが、量詞として使う場合は「chăng」の場合と「cháng」の場合に分かれます。

「chăng」と読むのは、スポーツの試合や演劇や映画、試験などの回数を数えるのに使います。例えば:

例文1
今天我有两场考试。
jīn tiān wŏ yŏu liăng chăng kăo shì.
今日わたしは試験が2回ある。

そしてもう1つの音「cháng」の場合は、雨や雪や雷やその他災難など、ある程度の長さの経過をたどる現象の回数を数える量詞です。例えば:

例文2
下了一场大雨。
xià le yì cháng dà yŭ
大雨がひとしきり降った。

正直、量詞は読む時にあまり強調しませんし、聞いている限り両者にそんなに違いを感じたことがありません。そもそも第3声と第2声は結構似て聞こえますしね〜。それに例文1の場合などでは、「场」の次の字(「考」)が第3声の字なので事実上はこの「场」も第2声に変調してしまいます。そうなると、第2声の「场」との区別がなくなってしまいますよね?

果たして本当に中国人はこれらをキチンと使い分けているのかな???

ずっとそんな疑問を持ちながら、なかなか機会がなく中国人に確かめられなかったのですが、、、先日ちょうどある文書の中に「场」という量詞が出てきたので、近くにいた中国人2人に疑問をぶつけてみました。

すると、、、

なんとその中国人たちはこの「场」という字が「多音字」であることを知りませんでした(笑)。いっぱい説明してやっと「ああ、そう言えばそうかな?」という感じだったのです。

「こんな細かいところまでキチンと発音し分けているんだな〜」と感心するようなことも多々ある中国語ですが、「场」という量詞に関しては、そんなに気にしなくてもいいみたいですね(笑)。もちろん、しっかり区別して発音し分けられるように勉強しておけば、カッコイイですけどね!

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

著書

  • 文法から学べる中国語
  • 中国語!聞き取り・書き取りドリル
  • CD付き 文法から学べる中国語ドリル
  • 中国語検定対策4級問題集
  • 中国語検定対策3級問題集
  • ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本

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