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翻訳コラム

COLUMN

第350回どう訳せばいいかな

2017.09.06
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

中国語の単語の全てが日本語の単語と1対1で対応しているわけではない、ということは、多分皆さんもご存知ですよね?

例えば“天气 tiān qì"という単語は、日本語に訳す時「天気(てんき)」と訳せば大体うまくいきます。でも次のような文ではどうでしょうか。

天气越来越冷了。
tiān qì yuè lái yuè lěng le

この文の“天气 tiān qì"を「天気(てんき)」と訳してみるとどうでしょう。

「天気が段々寒くなってきました。」

変ですよね〜(笑)。日本語の「天気(てんき)」は、晴れなのか曇りなのか雨なのか雪なのかという、天候を指す言葉ですが、寒いか暑いかというような気温については守備範囲外です。でも、中国語の“天气 tiān qì"は天候だけでなく気温についても言えるのです。こんな時は敢えて訳さなくても、「段々寒くなってきました。」でいいのだろうと思います。

とまあ、こんなふうに、日本語に訳す時にどう訳すべきか困る言葉って結構たくさんありますね。

他にも、僕は以前“洗澡 xĭ zăo"という単語をどう訳したらいいか迷っていました。辞書などを見るとたいてい「入浴する」というようなことが書いてありますが、日本語話者は多分「入浴する」と聞くと浴槽につかっているイメージを思い浮かべるのではないでしょうか?しかし中国人には浴槽につかって温まるというような習慣はあまりありませんよね?だから、「入浴する」とか「お風呂に入る」と訳していいものかどうか、僕はいつも迷っていたのです。

そこである時、思い切って中国人に聞いてみました。するとその中国人にとっては“洗澡xĭ zăo"とはシャワーを浴びるというイメージだと言ったのです!

やはりやはり!(笑)

それ以来、僕は思い切って「シャワーを浴びる」というように訳すようにしています。

“洗澡 xĭ zăo"の“澡"には「身体を洗う」というような意味があるようですね。だから、やはり“洗澡 xĭ zăo"には「お湯につかってリラックスする」というようなイメージはないのだろうと思います。日中両国の文化の違いを考えて翻訳・通訳しないと、こういうちょっとした所で齟齬が生じてしまうことがあるという例ですね。

そして、“洗澡 xĭ zăo"と同じように初級のテキストなどにも出てくるくせに訳しにくい単語があります。それは・・・

商场
shāng chăng

某テキストが、この単語に「デパート」という訳語を与えていました。でも“商场 shāng chăng"と聞いてイメージするのは、僕の中では決してデパートではありません。確かに、1つのお店だけの店舗ではなく、何店舗も入っているところを指すので、デパートと訳して絶対間違いとは言いにくいですが、でもそんなに高級なイメージでもない気がするんですよね〜。

最近、ある中国人の先生がこの単語について話しているのを小耳にはさみました(笑)。彼女曰く、“商场 shāng chăng"はイオンとかイトーヨーカドーのようなイメージとのこと。なるほど!じゃぁ「ショッピングセンター」とでも訳すのが一番ピッタリなのかな?と思った次第です。

さて、他にもあります。次の単語が僕の中で一番困っている単語かな?(大袈裟)

小吃
xiăo chī

これ、いつもどうやって訳そうかと思いつつ、答えの出ないままになっています(笑)。

たいていの辞書やテキストでは、よく「軽食」と訳してあるのですが、日本語の「軽食」という言葉に対する僕のイメージは、洋風の感じですかねぇ(笑)。サンドイッチとか?

“小吃"という中国語はサンドイッチも含むかもしれませんが、やはり“小吃"と言えば“包子 bāo zi"や“烧卖 shāo mai"のような点心類とかのイメージでしょうか。あと、おやつに食べるスナック類も“小吃"と呼ばれたりするようです。

そうですね。麻婆豆腐や青椒肉絲のようなガッツリ食事という感じではないものが“小吃"なので、「軽食」には違いないですよね。でもどうでしょう。どうしても言葉の持つイメージが違いすぎて、“小吃"を「軽食」と訳す気がしません。

「点心(てんしん)」と訳すのがいいのかな?でも「点心(てんしん)」はどんな日本人でも知っているような常識的な語彙と言えない気もするし、多分、字を見ないで音だけで「てんしん」と聞いた時にピンとくる人は結構少ない気がします。というわけでいつも迷っていて答えが出ません。

「屋台料理」?屋台でないところで売ってることもあるしな〜。

「小皿料理」?これで皆さんピンと来るかなぁ〜。それに串刺し状態で売っているものもあるからなぁ。。。という感じです(苦笑)。

何かいいアイデアがあったら教えてくださいね。

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

著書

  • 文法から学べる中国語
  • 中国語!聞き取り・書き取りドリル
  • CD付き 文法から学べる中国語ドリル
  • 中国語検定対策4級問題集
  • 中国語検定対策3級問題集
  • ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本

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