奥田百子の米国特許制度解析ブログ
弁理士で翻訳家である奥田百子氏による米国特許制度の解説ブログ。
米国特許法、審査基準、特許事例、判例などを訳しながら、米国特許HPを
参照しつつ、解説していきます。
2011.12.03
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「日本のコミックとライトノベルが、台湾でたくさん出版されている!」というお話を前回、うかがいました。この対談を読んだ方から「知らなかった!」という声が聞こえてきましたよ。「アダルト作品の話はいつするんですか?」という質問もありましたが、まあ、おいおいということにしましょうか(笑)。 |
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今日は「イベント」についてお話ししようと思います。各種「イベント」が出版同様にたいへんさかんで、日本の「コミケ」に負けないくらいの活況を呈しています。
現在台湾で出版社が参加、または主催している大きなイベントは2つあります。1つは毎年1月か2月に開かれる「台北国際書展(Taipei International Book Exhibition、通称TIBE)」、もう1つはコミックやライトノベルの主要読者である学生の夏休み期間に開かれる「漫画博覧会」です。 |
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台湾で刊行されているコミックが一堂に会して、ズラリと。 |
ブースにはところ狭しとコミックが並ぶ
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会場ではたいへんよく売れるため、どの出版社も、いけそうなコミックをこの時期に合わせて大量に出版してきます。ほかにも会場ではオリジナルグッズを発売したり、日本からコミックやライトノベルの作家や声優を招いてサイン会を行ったりしていますよ。 |
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サイン会ですか。日本では、本をお買い上げいただくとその本にサインを、という場合が多いです。 |
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台湾でも同じですよ。サイン会に参加するためには、ちょっと値のはる特別な商品を買わなければなりません。それでも毎年、徹夜で並ぶ熱狂的なお客さんが長蛇の列をつくります。イベントに出展する出版社もここぞとばかり予算を投じて、自社のブースに趣向を凝らしてアピールします。まさしく一大イベントです。 |
いまかいまかと開場を待つ熱心なファンが長蛇の列をつくる
日本人作家のサイン会について告知する広告
会場の中はもちろん、外も盛況!
■別会場で独自の盛り上がり
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そうですね。「台北国際書展」はその名の通り、台湾の台北で開かれる本の見本市です。第1回は1987年12月15日に「中華民国台北国際書展」として、台湾中央図書館(現在の国家図書館)で開催されました。ずっと2年に1度のペースでしたが、1998年の第6回からは毎年の開催になりました。どんなふうに盛り上がっているか、実際にイベントの公式ホームページをのぞいて見てみてください。
台北国際書展公式ホームページ英語版
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1990年からは会場を台北世界貿易センターに移しています。現在まで、すでに19回を重ねました。まだまだ規模が大きくなりつつあって、すでに台湾どころかアジア全体の中でも最大の規模に達しています。 |
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本の見本市としては、ドイツのフランクフルト、イタリアのポロナ、アメリカのBEAに続く4位につけていますよ。 |
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すごいですね。コミックにしぼって見ると、どうなんですか? |
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コミックは第1回から出展されていました。2000年の第8回までは一般の本と同じように台北世界貿易センターの中で出展されていたんです。ところが、2001年の第9回になると、コミック関係の出版社のブースは手狭になってしまったために、新たに近くに建設された台北世界貿易センター2号館に移されたんですね。それ以来、もっぱらコミック、アニメ、ライトノベルが展示されているそのスペースには「動漫主題館」と名前がつきました。 |
台北世界貿易センター2号館の入り口。「動漫主題館」への入り口である
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専門のコーナーですか。ファンとしては、そのほうがうれしいんじゃないですか(笑)。 |
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そうなんです。ファンの学生や若い人たちはもちろん、コスプレイヤーなどもこぞって「動漫主題館」の方へ集まるようになってしまって、台北世界貿易センター1号館とは全く別なノリといいますか、盛り上がりを見せるようになりました。 |
■業界団体によるイベント
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「漫画博覧会」はその名の通り、コミック、ライトノベル、アニメ関係の会社だけを集めたイベントです。主要客層が学生であることを意識して、毎年、夏休みの時期に開かれています。
漫画博覧会公式ホームページ
1995年、台北新光三越デパートの催事場で第1回が開かれて以来、2011まで既に12回を数えました。そういえば、2003年の第5回は香港を中心に広がっていた「謎の肺炎」の影響で中止になったんでした。 |
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この「漫画博覧会」を主催しているのは、台湾のコミック、ライトノベル、アニメ関係の会社によって創設された「中華動漫出版同業協進会」です。
中華動漫出版同業協進会公式ホームページ
この業界の企業のほとんどはこの組織に加盟していて、役員は加盟各社の社長をはじめとするエライさんたちです。 |
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イベントの開催のほかにも、なんだかいろいろやりそうですね。 |
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そうなんです。イベントの主催のほかに、台湾で刊行されたコミック、ライトノベル、アニメの版権の保護のほか、台湾国内のコミック作家のために創作環境を整備したりしています。世界中の同業者との交流も行っていますよ。 |
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台湾のコミック、ライトノベル、アニメ業界の会社をまとめていく、なくてはならない組織なんですね。 |
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「漫画博覧会」は、まさに「コミック、ライトノベル、アニメ関係会社によるコミック、ライトノベル、アニメのためのイベント」といえますね。 |
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やっぱり、こっちのイベントも盛り上がるわけですね。 |
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イベントの内容としては、さきほどの「台北国際書展」での「動漫主題館」とほとんど同じです。同じように大盛況ですよ。 |
雑誌『週刊少年快報』(東立出版社)の裏表紙に掲載された、漫画博覧会の広告
■日本の関係者も逆進出!
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なるほど、台湾におけるコミック、ライトノベル、アニメの2大イベントというわけですね。そして各社とも、こうしたイベントを大きなビジネスチャンスとにらんでいるわけだ! |
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お客さんのほうも、「ここでしか買えないものが買える!」、「ここでしか会えない人に会える!」と期待をふくらませて会場に足を運びます。開場とともに、お目当てのグッズをめがけてブースに向けて一目散に猛ダッシュですよ(笑)。さきほどもお話ししたように、前日から大勢の人が徹夜で並びます。そして、会場ではイベントを盛り上げてくれます。 |
「ここでしか手に入らない!」その言葉にファンは弱い
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イベントの模様をテレビや新聞なども報じるんでしょうね。 |
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そうなんです。国内のマスコミはもちろん、日本の報道関係者も取材に訪れています。コミック、ライトノベル、アニメのいわば発信源である日本からは毎年、関係各社が視察に訪れていますよ。 |
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実はすでに、その例があるんです。2011年の「漫画博覧会」では、大阪の日本橋筋(にっぽんばしすじ)商店街振興組合などの団体が合同で「Japan Pop Culture Festival」というブースを出展したんです。 |
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日本橋は、「大阪の秋葉原」と言われているところですね。どんな展示をやったんですか? |
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水木しげる先生のふるさとである島根県境港市などの宣伝を行いました。毎年台湾から日本へはたくさんの観光客が出かけていきます。その中には日本のコミック、ライトノベル、アニメのファンがかなりいますから、大いにアピールしておこうということでしょうね。 |
■同人誌って、どうよ?
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ところで、日本でコミックやアニメのイベントというと、やっぱり「コミケ」なんです。ご承知のとおり、コミケは商業印刷物ではなく同人誌の展示会なんですよね。台湾での同人誌の盛り上がりは、どうですか? |
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台湾でも、盛り上がっていますよ。出版社が出展するさきほどのような大きなイベントとは別に、同人誌のイベントもいろいろと開かれています。一番大きなイベントとしては、台湾でコミック、アニメ、ライトノベルの専門誌を出版している「開拓動漫畫情報誌Frontier」主催の「Fancy Frontier」と「Petit Frontier」があります。それぞれ年に2回、合計4回開かれています。 |
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「Fancy Frontier」は主に男性向け、「Petit Frontier」は主に女性向けといったところでしょうか。一口に同人誌といっても、個々にターゲットが男性、女性と異なります。両者はそうした2つの客層をうまくカバーしわけています。 |
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むしろ、こちらのほうは日本の関係企業やサークルの出展が多いんですよ。そのため、主催者側も日本語サイトをつくって、参加を促しています。
「Fancy Frontier」と「Petit Frontier」公式ホームページ日本語版
声優さんや作家さん、ゲーム制作や音楽制作の関係者など、業界の有名人がゲストとして招かれています。会場には大きなステージが設けられていて、2日間の会期中は常時イベントでにぎわいを見せています。男性向けの「Fancy Frontier」では女性声優、女性向けの「Petit Frontier」では男性声優をゲストとして招くといった工夫を凝らしていますね。 |
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なんだか、日本のコミケよりも勢いがありそうだなあ。 |
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ただですね、日本と台湾では1つ決定的な違いがあるんですよ。 |
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日本のコミケには、アニメ、コミック、ライトノベルの出版社が積極的に参加しますね。出展企業だけでも大きなエリアを形成するほどですよね。ところが台湾の関連企業は、同人誌のイベントにはあまり熱心ではないんです。拙者、いえ私が所属している会社も、これまでは1回しか出展していません。これまで積極的に出展してきた企業といえば、グッズ販売業者やグラフィックソフトの制作会社ぐらいでしょう。これが日本との大きな違いであり、また残念な点でもあります。日本と同じように、特定の作品の同人誌に特化した小規模の同人誌イベントもありますが、これらのイベントは日本と同じように規模が小さく、関連企業の出展もありません。 |
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ふ~ん。そのあたり、何かありそうですね。あっ、そろそろ時間ですので、続きは次回。
どうですか? そのへんで一杯。 |
プロフィール
柳生十兵衛
台湾の出版社で日本のコミック作品の翻訳にあたる。コミック、ミリタリー、日本のサブカルチャー、その他多方面にわたるマルチおたく。
聞き手:松元洋一
株式会社インターブックス社主。
趣味は坐禅と合気道。二児の父。
(画像:長興寺蔵)