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翻訳コラム

COLUMN

第151回店舗のレイアウトや販売方法の保護

2014.07.17
弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子

店舗内の配置やレイアウトをどのように保護すべきか?これは特に日本では大きな問題です。日本ではまだトレードドレスが保護されておらず、商標は文字、図形、記号、色彩、立体商標そして平成26年改正で音の商標、色のみの商標が導入されるものの、内装やレイアウト、販売方法などを担当する法律が何かはよくわからないからです。
アメリカや欧州ではこのあたりの保護が進んでおり、欧州でこの度、Appleの主力店舗のレイアウトが保護されるとの判決が出ました。このニュースを紹介してくれたのは、WIREDの「Appleストアの内装に商標権:欧州で承認」(http://wired.jp/2014/07/12/apple-retail-store-patent/)です。

アメリカでは2010年にAppleの店舗の内装が商標登録されており(米国商標登録42777914号、42777913号)、内装が自他商品・サービスを十分に識別できる場合もあることを考えると、日本でもこれを明確に商標法で保護して欲しいです。もちろん保護する方法がないわけではありません。不正競争防止法の商品等表示であると主張することはできます。しかしこれは登録するという制度ではなく、この法律をもとに裁判で類似する、混同を生じさせると主張するのです。
しかしわからないのは、このAppleストアのレイアウトは、トレードドレスとして保護されているのか?ということです。アメリカで2010年に登録されたgazetteを見ると「サービスマーク」と書いてあります。これは立体商標なのか?そして今回欧州で下されたAppleストアのレイアウトの判決も立体商標なのでしょうか?
上記記事からリンクが張られている The Court of Justice of the European Union(欧州連合司法裁判所)によるpress release No. 98/14(Luxembourg, 10, July, 2014)(http://curia.europa.eu/jcms/upload/docs/application/pdf/2014-07/cp140098en.pdf)を見る限りthree-dimensional、トレードドレスのことばはありません。立体商標として登録されるのでしょう。
そもそもトレードドレスと立体商標は違うか?日本でいう立体商標は、早稲田大学の大隈重信像や不二家のペコちゃんの人形が登録例で、店舗の内装までは保護が難しいです。立体的形状ではないからです。
しかしアメリカや欧州でのトレードドレスと立体商標の違いがわかりません。ほとんど同一視してよいようです。名称はどちらであれ、他人の商品やサービスと識別できる標識であればよいのです。たとえばアメリカでのトレードドレス登録例を紹介します。これはトレードドレスが商標として登録されている例です。
ペイントのサンプルのディスプレイパネルのトレードドレスです。アメリカでこれが商標登録されています。

米国商標登録3113915号

Description of Mark(商標の記述)

The mark consists of The three dimensional trade dress of a paint sample floor display unit consisting of upper trim display panels with various photos and/or text displayed; five (5) distinctive shelving units; (i) the left corner unit is cylindrical in shape; (ii) the adjacent unit to the right is narrow and slanted (iii) the middle unit is the largest with slanted shelving; (iv) the next unit is narrow with a computer set up for the sample color matching and (v) the last unit to the right is V shaped with swiveled wired shelving; and a bottom portion of raised panels and cylindrical posts dividing each unit from the next. The lining shown in the drawing is a feature of the mark. The lining shown in the drawing is a feature of the mark.

翻訳

この商標は、表示された様々な写真及び/または文字を備えた上部の縁のディスプレイパネルから成るペイント・サンプルのフロアディスプレイユニットの三次元トレードドレスから構成される。5つの特徴的なシェルフ・ユニット、すなわち(i)左コーナーのユニットは、円筒形状であり、(ii)右に隣接するユニットは、狭く傾斜しており、(iii)真ん中のユニットは最大であり、傾斜したシェルフを備えており、(iv)次のユニットは、サンプルカラー・マッチングのためのコンピュータのセットアップを備えており、(v)右隣の最後のユニットは、回転式のシェルフを備えたV字形状であり、掲げられたパネルの底部と各ユニットを次のユニットと区切る円筒形支柱から構成されている。図示された線は、商標の特徴である。

米国特許商標ウエブサイト米国商標登録3113915号TSDRのDocuments, Drawingより掲載
(http://tmsearch.uspto.gov/bin/showfield?f=doc&state=4804:hp7ygd.2.1)

米国商標登録3113915号

ここまで読んでわかりました。「three dimensional trade dress (三次元トレードドレス)と書かれており、立体商標とトレードドレスは同じ意味で使われることがあるのです。

今週のポイント

  • 店舗内の配置やレイアウトをどのように保護すべきかは、特に日本では大きな問題である。日本ではまだトレードドレスが保護されておらず、商標は文字、図形、記号、色彩、立体商標そして平成26年改正で音の商標、色のみの商標が導入されるものの、内装やレイアウト、販売方法などを担当する法律が何かはよくわからない。
  • アメリカや欧州ではこのあたりの保護が進んでおり、欧州でこの度、Appleの主力店舗のレイアウトが保護されるとの判決が出た。アメリカでは2010年にAppleの店舗の内装が商標登録されている(米国商標登録42777914号、42777913号)。
  • 日本でも店舗の内装やレイアウトを不正競争防止法の商品等表示であると主張することはできる。しかしこれは登録するという制度ではなく、この法律をもとに裁判で類似する、混同を生じさせると主張する。
  • アメリカでペイントのサンプルのディスプレイパネルのトレードドレスが登録されている(米国商標登録3113915号)。この商標の記述(Description of Mark)を見ると、「three dimensional trade dress(三次元トレードドレス)」と書かれており、立体商標とトレードドレスは同じ意味で使われている。

奥田百子

「もう知らないではすまされない著作権」(奥田百子監修、中央経済社)3月19日発売!

東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)

著書

  • ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
  • 特許翻訳のテクニック
  • なるほど図解著作権法のしくみ
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  • 改正・米国特許法のポイント