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翻訳コラム

COLUMN

第236回端午の節句

2015.04.29
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

日本だと、端午の節句と言えば新暦の5月5日ですよね。鯉のぼりを上げて、柏餅を食べて、武者人形を飾って、菖蒲湯に入ってと、色々な風習がありますね。

中国にも端午の節句はあります。中国語ではこう言います。

端午节
duān wŭ jié

そして、中国ではこういう伝統的な祭日は旧暦にのっとって行いますので、「端午节」はふつう新暦の6月ごろに行われます。

では中国では「端午节」にどんなことをするか、ご存知ですか?

まず思いつくのは、粽(チマキ)を食べることでしょうか。日本でも粽は端午の節句と関係のある食べ物ですよね。しかし、中国の粽は日本のものとはかなり趣が違います。

中国の粽は、日本の中華街などでも売っていると思いますが、日本では「中華チマキ」などと言われているようですね。中国語では次のように言います。

粽子
zòng zi

とても大きくて、中身はもち米、具としてナツメが入っているものが一般的でしょうか。最近は色々なものが具として入っているようですが。

僕が留学に行っていた頃(20数年前)は、家庭で作るのがふつうでしたが、最近はお店でも豪華なものがきれいなパッケージに入って売っていて、日本のお中元やお歳暮のように、お互いに贈りあったりしているそうです。う〜ん、バブリーな感じになってきましたね〜(笑)。

さて、どうして「端午节」に粽を食べるか、みなさんはご存知でしょうか。

中国古代の戦国時代の「楚 chŭ」の国に憂国の詩人「屈原 qū yuán」という人がいました。屈原は楚の国の政治家だったわけですが、王から追われて政界を去り、楚の将来を悲観した屈原は汨羅江(べきらこう)という川に身を投げたと伝えられています。それが5月5日だったそうです。

人々は屈原の死を悲しみ、屈原の供養のため、もしくは汨羅江の魚たちが屈原の遺体を食べてしまわぬように魚のえさとして、笹の葉で米の飯を包んで汨羅江に投げ入れたと言われています。そんなわけで、5月5日の端午節に中国では(日本でも)粽を食べるのですね。

また、人々は汨羅江に船を出して、競って屈原の遺体を探そうとしたと伝えられているのですが、これが今でも伝わっている「ドラゴンボート競走」です。日本の長崎にも伝わっていて「ペーロン」と呼ばれていますね。ドラゴンボート競走は中国語ではこう言います。

赛龙船
sài lóng chuán

「赛 sài」は「競う」というような意味です。スポーツの試合や、音楽・演劇などのコンクールのことを「比赛 bĭ sài」と言いますから、お分かりでしょう。

ところで、日本の鯉のぼりは日本独特のものですが由来は中国にあります。

中国の伝説に次のようなものがあります。

鲤鱼跳龙门
lĭ yú tiào lóng mén

中国の黄河の上流の方に「龙门」と呼ばれる場所があり、そこは滝のような急流があるそうです。ここを鯉が飛び越えてさらに上流に行くことができれば、その鯉は龍になる、という伝説があるのです。

日本では、その鯉のように、自分の息子が力強く育ってほしいという願いをこめて鯉のぼりを掲げるのだそうです。

ちなみに、この「鲤鱼跳龙门」の伝説から、日本語の「登竜門(とうりゅうもん)」という言葉ができたそうです。

日本の言葉や風習は、ホントに中国から来たものが多いですね。中国語能力の向上に直接は結び付きませんが、こういう文化的背景を知っておくことも必要ですし、何より楽しいですよね。中国人とのたわいない会話のネタにもなるので、色々仕入れておくといいと思いますよ〜。

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

著書

  • 文法から学べる中国語
  • 中国語!聞き取り・書き取りドリル
  • CD付き 文法から学べる中国語ドリル
  • 中国語検定対策4級問題集
  • 中国語検定対策3級問題集
  • ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本

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