翻訳コラム

COLUMN

第492回年末年始の話など

2021.05.12
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

先日某所で授業をしたとき、テキストに中国の正月の過ごし方などが紹介されていました。そこで、今日は、多少季節外れではありますが、正月の話などしてみたいと思います。

ご存知のように中国では新暦ではなく旧暦のお正月(春節)を盛大に祝います。春節の時には使ってみてくださいね。

除夜

日本語では「除夜の鐘」という時くらいしか使わない語彙ですが、意味するところは「大晦日の夜」ですね。中国語では:

除夕
chúxī

この日の「夕刻」、現在の年齢(数え年)が「除かれ」て、夜が明けると新しい年齢になります。だから“除夕”と言うのだとか。

“除夜chúyè”という言い方も辞書には出ていますが、個人的には“除夕”の方がよく耳にするような気がします。

また、“除夕晚上”という言い方を時々聞くので、“除夕”は夜だけではなく大晦日の1日を指すこともあるようです。大晦日のことは他に“大年三十dànián sānshí”とよく言いますね。こちらもついでに覚えておくといいかもしれません。

“守岁 shŏusuì

これは何の事だか分かりますか?「歳を守る」って何でしょうね。

歳、つまり年齢が変わるのを見守る、というふうに読めばいいのでしょうか?これは大晦日の夜に寝ないで新年を迎えることを言います。ご存知の通り、数え年では新年になると全員一斉に1つ歳を取ります。その歳の変わり目を見守ろうということなのでしょうね。

数え年

直接年末年始と関係あるわけではありませんが、数え年は新年を迎えると1歳加算されるので、年末年始の語彙として紹介してみます。中国語で数え年のことはこんなふうに言います。

虚岁
xūsuì

なんかマイナスイメージの“虚”という字を使うなんて、意外ですよね。

そもそも数え年ってご存知でしょうか?若い人はもう知らないかも?

まず、生まれた時に0歳ではなく1歳とします。そしてその後最初の新年の時に2歳になり、その後は新年を迎えるごとに1歳ずつ加算されていきます。

それに対して満年齢は、ご存知の通り生まれた時は0歳。次の誕生日で1歳。その後誕生日を迎えるたびに1歳ずつ加算されていきます。

つまり、数え年は満年齢より1~2歳上になるのですね。そんなわけで、ちょっと実際の年齢と違う“虚岁(実体のない歳?)”というような言い方をするのだそうです。

ちなみに満年齢のことを中国語ではこう言います。

周岁
zhōusuì

「一周年」とかいう時の「周」という字の使い方と同じですから、分かりやすいのではないでしょうか?

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

著書

  • 文法から学べる中国語
  • 中国語!聞き取り・書き取りドリル
  • CD付き 文法から学べる中国語ドリル
  • 中国語検定対策4級問題集
  • 中国語検定対策3級問題集
  • ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本