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翻訳コラム

COLUMN

第251回カラスと犬

2015.08.12
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

中国の都市部にはあまりカラスがいないそうです。

中国人たちが一時ネットで話題にしていたそうです。日本の都市部ではどこでもカラスがたくさんいるのに、中国の都市部ではカラスは見ないと。

そして、その原因は大気汚染じゃないか、ということで、日本に対して感心している人もいたとか。そうなんですかねー。

僕は、日本の都市部でカラスが多いのは、単に生ゴミがイッパイあって餌に事欠かないからではないかなーと思いますが(笑)。

中国でカラスがいないのが大気汚染のせいだという意見については、伊藤はあまり説得力がないような気がしています。僕が留学していた1989年当時は、まだそんなに大気汚染が問題にはなっていなかったと思いますが、当時からカラスってあまり見なかったような気がしますから。

カラスは、中国語ではこう言います。

乌鸦
wū yā

この2つの字、いずれも日本語の訓読みは「からす」です(笑)。つまり、同じ意味の漢字を並べて単語を作っているのですね。

カラスのように、日本ではよく見かけるのに中国では見かけないもの、結構ありますねぇ。

例えば犬。

中国の街中では見かけないような気がします。

中国では犬は食材だから野良犬はいないんだ、という話を聞いたことがあります。本当なのかどうなのか分かりませんけどね(笑)。

犬は中国語ではこう言いますよね。


gŏu

犬は、中国では、最近でこそペットで飼う人も増えているようですが、伝統的にはあまりいいイメージがないようです。数年前のことですが、北京のある食堂でこんな張り紙が出されて話題になりましたよね。ご存知でしょうか。

本店不接待日本人、菲律宾人、越南人和狗。
Běndiàn bù jiēdài Rìběnrén、Fēilǜbīnrén、Yuènánrén hé gŏu.
うちでは日本人とフィリピン人とベトナム人と犬はお断り。

わざわざ「狗(犬)」を出しているところが味噌です(笑)。日本人、フィリピン人、ベトナム人が犬と同列だということを表しているのですね。そしてその「犬」は、中国では「こびへつらう人、悪人の手先、裏切り者」のイメージだそうです。

さすがにひどいということで批判が集中し、この張り紙はすぐにはがされたようですけど(苦笑)。

犬と言えば、こんな言葉もありますね。

狗杂种
gŏu zá zhŏng
直訳:犬の雑種

これ、罵り言葉です。文化大革命のことを描いている映画、ドラマ、小説などで時々見かけます。山崎豊子の『大地の子』の中でも、主人公「陸一心」(中国在留日本人孤児)が文化大革命で日本人であることを批判されますが、その時もこの言葉が叫ばれています。

犬って中国では本当に悪いイメージなのですねぇ。まぁ、日本でも元々はそんなにいいイメージのある動物ではありませんから、同じですけどね。

ただ、今では中国でも犬をペットとして飼う人が増えてきているようですから、これで犬のイメージも上がるかな?(笑)

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

著書

  • 文法から学べる中国語
  • 中国語!聞き取り・書き取りドリル
  • CD付き 文法から学べる中国語ドリル
  • 中国語検定対策4級問題集
  • 中国語検定対策3級問題集
  • ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本

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