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第311回形容詞の話

2016.11.09
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

今日は中国語の形容詞の話をしたいと思います。

そもそも、形容詞って、ご存知ですよね?物事の性質、状態、属性を表す言葉、と説明されますが、日本語だと「〜い」で終わる言葉ですね。「白い」「かわいい」「美しい」などが形容詞です。

日本語には形容動詞というものもあり、これも形容詞と働きは同じですね。「〜だ」で終わる言葉です。「静かだ」「きれいだ」「滑稽だ」などが形容動詞です。これは形の上で「〜い」では終わっていないので、日本語では形容詞とは別に「形容動詞」という品詞を立てなければならなかったわけですが、機能としては形容詞と同じです。

中国語にも形容詞はあります。でも日本語のように形で判断できませんので、機能で判断するしかありませんね。

さて、中国語の形容詞ってちょっと面白いことがあります。それは、単独で述語として使われる場合は比較のニュアンスが入ってしまっているのです。

つまり、例えば「彼は(背が)高い」と言いたい場合。

他高。
tā gāo

とやりたくなるかもしれませんが、これでは、「彼の方が(背が)高い」というような、誰かと比べているニュアンスが言外に出てしまうのです。

それを消すためには、何か程度の副詞を前につけなければなりません。「非常 fēi cháng」とか「真 zhēn」などですね。

でも、そんなに強調したいわけでもない場合、つまり単に「彼は背が高い」という事実を淡々と述べたい時に「非常 fēi cháng」は使いたくありませんよね。そんな時に使えるのが、「很 hěn」です。

これは辞書で調べると「とても」というような意味が書いてある場合が多いですが、強く発音しない限りはほとんど意味がありません。しかし、これを形容詞の前に置くと、形容詞の「比較のニュアンス」が消えるのです。だから、これを形容詞の前に置いて

他很高。
tā hěn gāo

こういうふうにして初めて「彼は背が高い」という意味になるのですね。

逆に、比較のニュアンスを出したい時は、程度の副詞をつけてはいけません。例えば「彼と君とどちらのほうが背が高いの?」と尋ねられた時の答えで「他很高。」と言ってはいけません。意味は伝わるでしょうが、なんだか違和感が半端無い感じです(笑)。こんなときは、堂々と(笑)、「他高。」と言えばいいのです。

テキストによっては、「形容詞の前には『很』をつける」というように機械的に書いてあったりしますが、比較のニュアンスを消すためにつけるのであって、比較のニュアンスを出したい場合は、つけてはなりません。気をつけてくださいね。

形容詞でもう1つ、意外と知られていないことがあります。

中国語の形容詞述語文は、過去形にできません。というか、過去形にしなくていいのです。現在形と同じ表現でいいのです。

生徒さんに作文を書いてもらうと、よく

我很高兴了。

と書いてあったりします。日本語で言うと何になるのか尋ねると、「とてもうれしかったです。」というつもりなのだそうです。

あ〜なるほど!動詞の後ろにつける「完了の『了』」を形容詞の後ろにつけているのですね!

でもこれは間違いです。単にこんなふうに書けばいいのです。

我很高兴。
wŏ hěn gāo xìng

「了」は過去を表すわけではありません。あくまで「動作の完了」を表す言葉なので、性質、状態、属性を表す形容詞に「了」をつけることはできないのです。

日本人としては、過去のことを作文に書いていて「楽しかったです」と過去形にするところを中国語で過去形にできなければ、なんだか物足りないというか、間の抜けた感じがするかもしれませんが、慣れてくださいね(笑)。

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

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