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翻訳コラム

COLUMN

第312回ピンインどおりに聞こえない

2016.11.16
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

中国語を習う時、僕たちの指針となるのは、やはり辞書。辞書は中国語という大海原を越えていくために必要不可欠な羅針盤のようなものです。

しかし、発音に関しては、辞書通りに発音されていない単語も、結構あるような気がします。

以前もこのメルマガでご紹介したことがありますね。「うなぎ」のことを中国語では「鳗鱼」と言いますが、辞書では「mán yú」となっているのに人々は「màn yú」と発音している、とか、鍼灸や指圧などで言う「つぼ」のことを中国語では「穴位」と言いますが、辞書では「xué wèi」となっているのに人々は「xuè wèi」と発音している、など、意外とたくさんあります。

今日は、その後気がついたものや、以前からおかしいなぁと思っているものなどを更にご紹介します。

味噌(みそ)

日本の味噌のこと、最近はそのままの漢字を使って「味噌」と言うことが多いようなのですが、この発音がちょっとおかしいのです。この字の正しい発音を1文字ずつ辞書で調べると、こうなっています。

味噌
wèi cēng

でも、実際の中国人たちの発音をよ〜く聞いてみると、こう聞こえます。

wèi zēng

そう、2文字目を「zēng」と発音しているようなのです。

しかも、あろうことか(笑)、字まで「zēng」に合わせて(?)こう書く人がいます。

味增
wèi zēng

これが、勘違いのレベルならまだ納得するのですが、先日NHKのテレビ中国語講座の録画を見ていてひっくり返りそうに驚きました(大袈裟)。

日本のラーメン屋さんでの中国語の会話シーンが出て来て、そこで「みそ」という単語が出て来たのです。すると、そこでははっきり字幕に「味增」と書かれており、もちろん発音も「wèi zēng」と言っていたのです!発音だけならまだしも、字まで「增」になっているとは!!

更に小さな字で「※『味噌』とすることもあります」なんて書かれていたのです!つまり、「味噌」と書く方が珍しいみたいなニュアンスですよね(笑)。

え〜?中国語では「味增」と表記することを認めちゃったのでしょうか?

中国人にこの件について尋ねてみると、「wèi cēng」という発音は汚い気がする、ということなので、僕たち外国人にはもう1つ分かりませんが、どうやら「wèi cēng」は中国人にとって生理的に受け付けない音のようですね。だったら仕方ないですが(笑)。

前边

qián bian

辞書とかテキストとかでは、「边」は軽声で書かれていますね。でも僕にはこれはやっぱり第1声っぽい音でしか聞いたことがない気がします。

「后边 hòu bian」とか「右边 yòu bian」とか「左边 zuŏ bian」とかは軽声で発音している人が多いように思うのですが、「前边」はどうでしょう。僕は軽声で発音している人にはあまり会ったことがないような気がしています。

だから僕も第1声で慣れてしまっていて、「qián biān」と読んでしまいます。皆さんはどう思われますか?

打算

この単語、「〜するつもりだ」「〜する予定だ」というような意味の助動詞ですが、この単語の発音、実は最近変わりました!

僕の持っている辞書などを見ると、この単語の発音は次のように書いてあります。

打算
dă suan

そう、「算」の字は軽声で表記されるのです。

え〜?でも僕の耳には、この単語はかなりはっきりと「dă suàn」と発音されているように聞こえるのですがねぇ、と思っていたのですが、なんと!なんと!(笑)

中国で最も権威があるとされる『现代汉语词典』(商务印书馆)の第6版(最新の改訂版)で、この単語の発音として「dă suàn」が認められたのです!

あ〜、スッキリした(笑)。

こういう単語が増えてくるといいですよね〜。羅針盤たる辞書が信じられないとなると、不安感が増しますのでね。

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

著書

  • 文法から学べる中国語
  • 中国語!聞き取り・書き取りドリル
  • CD付き 文法から学べる中国語ドリル
  • 中国語検定対策4級問題集
  • 中国語検定対策3級問題集
  • ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本

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