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翻訳コラム

COLUMN

第355回結果補語の否定形

2017.10.11
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

前回結果補語の話をしましたが、もう少し結果補語の話をしようと思います。

動詞と結果補語との結びつきはかなり強いようで、「動詞+結果補語」の組み合わせで一つの動詞のようにふるまいます。ですから“了"がつく時は「動詞+結果補語」の後ろにつきますし、目的語は「動詞+結果補語」より後ろに置かれます。間に挿入したりはしません。例えば:

我写错了一个字。
Wŏ xiěcuòle yí ge zì.
私は1文字書き間違えました。

この例では“写(書く)"という動詞に“错(間違う)"という結果補語がくっついている例ですが、“了"も目的語(“一个字")も“写+错"の後ろに置かれています。

よく使われる組み合わせについては、一つの動詞として辞書に出ている場合もあります。例えば僕の持っている辞書には“看见 kànjiàn"という単語が出ていますが、これは「看(見る)」という動詞に「见(感じ取る)」という結果補語がついた形です。

しかし、「動詞+結果補語」で一つの動詞のようにふるまうと言われているにもかかわらず、否定の形は“不"ではなく通常“没(有)"を使うというのです。

ふしぎ〜!

まぁ、確かに「動作を行った後の結果を補う」のが結果補語の機能ですから、必然的に既に起こったことを言うことが多いですしね。過去の動作を否定する場合は“没(有)"を使って否定するわけですから、「動詞+結果補語」の文の否定文に“没(有)"を使うというのは、確かにそうなんだろうなとは思うのですが、、、でも過去のことを言っていない場面で結果補語を使うことだってあるわけですよね。例えば:

我常常说错话。
Wŏ chángcháng shuōcuò huà.
私はよく言い間違えます。

これは過去のことではないですよね〜?でもこれを否定すると“不"は“常"の前に置いて“我不常说错话。"となるでしょうから、直接“说错"を否定しているわけではありません。はっきり「“不"+動詞+結果補語」となることはないのでしょうか?

あれこれ考えたのですが、どうもないようですねぇ。

まず、普通の動詞を“不"で否定している“我今天不去学校(私は今日学校に行きません)。"に習って、同じような文を「動詞+結果補語」を使って作文してみようと試みました。例えば「私は今日この本を読み終わりません。」

???我今天不看完这本书。???・・・

中国語もさることながら、日本語もやはりおかしいですね(笑)。こんな場合は多分こういうのが普通でしょうか。

我今天看不完这本书。
Wŏ jīntiān kànbuwán zhè běn shū.
私は今日この本を読み終わることができません。

そう、可能補語にするのですね。

次に、“找到(見つける、見つかる)"で見てみましょう。日本語でまず考えてみると、「見つけない」という否定形はどんな状況で使うかというと、何か事情があって「俺はそんなもの見つけないぞ!」という意志を感じる表現だなと思います(それでも苦しい感じですが…笑)。「見つからない」なら普通の表現ですね。でもこれは、「みつかりましたか?」という質問に対する答えとして使うと思いますので、中国語にすると“不"ではなく“没(有)"を使って“没(有)找到(見つかっていない)"になると思います。もしくは、「どうしても見つけられない」という意味であれば“怎么也找不到"と可能補語の形にするでしょうね。

というわけで、どうも本当に「“不"+動詞+結果補語」という形は出てこないようです…が、実は例外があります。仮定のニュアンスを表すフレーズでなら、「“不"+動詞+結果補語」が出てきます。例えば:

如果不坐好的话,老师要生气了。
Rúguŏ bú zuòhăo de huà, lăoshī yào shēngqì le.
キチンと坐らなければ、先生が怒るよ。

なるほど、仮定は基本的に未来のことですから、“没(有)"は使いにくいということなのでしょうか。結果補語、なかなか面白い存在ですね〜。

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

著書

  • 文法から学べる中国語
  • 中国語!聞き取り・書き取りドリル
  • CD付き 文法から学べる中国語ドリル
  • 中国語検定対策4級問題集
  • 中国語検定対策3級問題集
  • ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本

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