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翻訳コラム

COLUMN

第337回中午

2017.05.24
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

以前このメルマガで、中国人は1日を6つに分けている話をしました。もう結構前のことなので、もう一度簡単に書きますね。

例えば7:00amという時間、日本語なら「朝7時」とか「午前7時」というふうに言いますよね?それでは、中国語ではどういうか。日本語の感覚からいくと、

早上七点(直訳:朝7時)
zăo shang qī diăn

上午七点(直訳:午前7時)
shàng wŭ qī diăn

というふうに言えそうなのですが、実は後者「上午七点」という言い方は少し違和感があるようで、ふつうあまり言わないのだそうです。同様に「夜8時」なんかも「下午八点」とはあまり言わず、「晚上八点」というほうが普通だというのです。

つまり、中国語の「上午」は普通日本語では「午前」と訳されますが、午前の早めの時間(9時前くらいまで)だと「上午」というのはちょっと違和感があるようなのですね。「下午」も普通日本語では「午後」と訳されますが、18時以降はあまり使われなくなります。

総合すると、中国人は1日を以下のように6つに分けているということらしいです。

  • 夜明け〜9時前くらいまで…早上 zăo shang
  • 9時くらい〜12時前くらいまで…上午 shàng wŭ
  • 12時くらい〜13時くらいまで…中午 zhōng wŭ
  • 13時くらい〜18時前くらいまで…下午 xià wŭ
  • 18時くらい〜夜まで…晚上 wăn shang
  • 深夜〜夜明け?…夜里 yè li

もちろん、厳密な区分けではないのですが、大体こういうようなことになっているそうです。

さて、それはさておき、実は「午前11時」を中国語で何と言うか、という問題をめぐってちょっとした論争が起こってしまいました(笑)。

そもそもは僕が「上午十一点」と書いていたのをある中国人に訂正されたのが発端です。

その中国人はこれを「中午十一点」と訂正してくれたのです!

僕は、「中午」ってやはりお昼のイメージですから12時から13時の間くらいしか使わないのかなと思っていたのですよね。11時ってまだお昼には早い気がするので、「中午十一点」という言い方は、個人的には非常に違和感があります。

訂正してくれた中国人も、他の人が同じ意見かどうかは自信がないと言っていたので、何人かの中国人に尋ねてみました。11時は「中午」ですか?それとも「上午」ですか?と。すると、なんと意見がほぼ真っ二つに分かれてしまったのです。

その時に中国人たちのいろいろな意見を聞いたのですが、なかなか興味深かったです。たとえば:

  • 11時だと「上午」だけど、11時半くらいになってくると「中午」かな〜(笑)
  • 人それぞれ違うのだろうけど、たぶんその人が昼ご飯を食べてもいいと思える時間帯がその人にとっての「中午」なのだと思う。
  • 11時代と12時代と13時代は「中午」でしょ。

などなど(笑)。

結局結論は出ませんでした。わかったことは、11時代は微妙だということです(笑)。そして11時からだんだん12時に近づいていくにつれて、「中午」と言っても違和感が無くなっていくのだろうな、と思いました。

こういう時日本語は割とビジネスライクですね。11時59分であろうと午前は午前ですものね〜。

ちなみに、日本語で言う「正午(しょうご)」は、中国語でも「正午 zhèng wŭ」と言い、これはキッカリお昼の12時のことを指します。「中午」のようなファジーな感じではありません(笑)。

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

著書

  • 文法から学べる中国語
  • 中国語!聞き取り・書き取りドリル
  • CD付き 文法から学べる中国語ドリル
  • 中国語検定対策4級問題集
  • 中国語検定対策3級問題集
  • ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本