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翻訳コラム

COLUMN

第367回三国志の言葉

2018.01.17
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

ちょっとネタが思いつかないので(苦笑)、久しぶりに三国志関連です!

これまでも何度かご紹介したことのある三国志関連の言葉ですが、成語のみならず意外と"歇后语 xiēhòuyŭ"がたくさんありますね。むしろ成語より多い気さえします。

"歇后语"についてはこれまでも何度か説明していますが、ご存知でしょうか?

簡単に説明しておきますと、"歇后语"というのは前半で謎をかけて、後半で謎解きをするというもので、通常は前半しか言いません。で、その心は?ということで後半部分は相手に想像させるというもので、ちょっとした言葉遊びです。つまり、成語よりちょっと庶民的なのでしょうね。三国志の物語(いわゆる《三国志演义》)は明の時代に講釈師が庶民相手に楽しく語ったお話ですから、庶民に親しまれてきたのでしょう。

さて、今日皆さんにご紹介したいのは、こんな"歇后语"です。

关羽走麦城

Guān Yŭ zŏu Màichéng
関羽が麦城へと逃れる

その心は?

末日来临
mòrì láilín
最後の日がやってくる

関羽(关羽 Guān Yŭ)という人をご存知でしょうか。そうです、劉備(刘备 Liú Bèi)の義兄弟の1人です。蜀の国を打ちたてた劉備という人には義兄弟が2人いました。暴れん坊の豪傑として知られる張飛(张飞 Zhāng Fēi)と、義に厚い人として非常に有名な関羽です。

ちなみに関羽は中国では道教の神様となって、あちこちで祀られています。日本でも横浜の中華街等に「関帝廟」というのがありますね。あれは関羽を祀った廟です。

さて、関羽は単なる猪武者ではなく知恵のある武将と評価されており、劉備が蜀の国を取ってからは、呉と魏との国境地域である荊州の守りを任されます。

さてある時、魏が荊州を攻めてきます。関羽は当然応戦しますが、そのままだと呉から虚をつかれてしまいます。そこで呉が何かおかしな動きを見せたらすぐに分かるように、完璧な防備体制を施して魏に向かうのですが、少しの油断をつかれてしまい、呉に荊州を取られてしまいます。

逃げ場を失った関羽は、麦城という打ち捨てられた古城に逃げ込み、そこで籠城します。

なんとか状況を打開するため、関羽は味方に援軍を求めようと使者を放ちますが、比較的近くにいた蜀の将軍たちは手勢の少ないのを理由に援軍を断ります。使者は仕方なく蜀の首都である成都に向かいます。

成都はとても遠く、使者が成都に到着するまでに、残念ながら麦城は陥落してしまいます。そして関羽は捉えられ、首を打たれてしまうのでした。

つまり、麦城は関羽の最期の地なので、「関羽が麦城へと逃れる」のは、関羽にとっての最後の日へのカウントダウンということになるのですね。

庞统当知县

Páng Tŏng dāng zhīxiàn
厖統(ホウトウ)が知県になる
(「ホウトウ」の「ホウ」は、本当はマダレに「龍」と書く字ですが文字化けするようなので、とりあえず同音同意の字である「厖」の字を当てておきます。)

その心は?

大材小用
dàcái xiăo yòng
立派な人材につまらない仕事をさせる

厖統という人は、三国志ファンでないとご存知ないかな〜。諸葛亮(诸葛亮 Zhūgě Liàng)と並び称されるほどの大賢人として三国志では登場します。かの有名な「赤壁の戦い」でもチラリと登場し、大変重要な役割を果たしています。

劉備は当時すでに諸葛亮を得ていましたが、厖統のことももちろん知っていて、自陣に加えたいと常々思っていました。

そんな時、厖統がひょっこり劉備を訪ねてきます。劉備は大喜びで彼を迎えるのですが、厖統本人を見てみると、劉備はがっかりしてしまいます。というのは、厖統は顔もあばた面で風采があがらず、なんとなくぶっきらぼうで、諸葛亮とは大違いだったからです。

そこで劉備は彼を「田舎の知県(役人の役職名)」に任命してしまいます。厖統は文句も言わずに赴任しますが、毎日毎日酒ばかり飲んで何も仕事をしません。彼の仕事は裁判官のような仕事だったようですが、住民からの訴えがたまりまくってとうとう劉備のところにまで怨嗟の声が届いてしまいます。そこで部下を派遣して調査に向かわせると、厖統は「あんな仕事は1日でできる。」と言い放ち、翌日実際に全ての訴えを解決してしまうのです。

それを知って劉備は、見かけだけで人を判断した自分を恥じ、すぐに厖統を呼び戻し、諸葛亮につぐ位を与えて厖統を重用したのでした。

適材適所という言葉もあるように、能力に合わせて人材を配置しないと上手くいきませんが、それは三国志の時代のような大昔でも同じことなのですね。三国志を読んでいると、現代にも応用できる知恵や教訓がたくさん詰まっているように感じます。皆さんもよかったら読んでみてください。

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

著書

  • 文法から学べる中国語
  • 中国語!聞き取り・書き取りドリル
  • CD付き 文法から学べる中国語ドリル
  • 中国語検定対策4級問題集
  • 中国語検定対策3級問題集
  • ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本

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