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翻訳コラム

COLUMN

第386回つなぐ副詞

2018.05.30
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

文法用語の「副詞」ってご存知ですよね?文法があまり好きでない人も、名前くらいはご存知でしょう。

副詞の役割は、ふつうは「動詞や形容詞を修飾する」とされていると思います。日本語だったら例えば「とても(寒い)」「たいそう(暑い)」というように形容詞について程度を表すもの(程度の副詞)や、「すぐ(行く)」「もっと(食べる)」「はっきり(言う)」というように動詞の前にくっついて意味を添えるものがあります。

中国語にも同様の副詞がもちろんあります。形容詞を修飾する「程度の副詞」だったら例えば:

比较
bĭjiào
わりと


hěn
とても

非常
fēicháng
非常に

動詞の前にくっついて意味を添えるものとしては例えば:

常常
chángcháng
たびたび

突然
tūrán
突然に

顺便
shùnbiàn
ついでに

しかし、中国語には、接続詞のように前後をつなぐ働きをする副詞があります。これはよく考えると日本語にはないような気がしますね。

例えば“却 què"。

これ、逆接のつなぎ方をする副詞です。逆接とはつまり、「しかし」とか「でも」のようなものですね。でも日本語の「しかし」「でも」はいずれも接続詞です。それに対して中国語の“却 què"は副詞なのです!

意味は逆接のつなぎ言葉なのに、どうして副詞と言えるのでしょうか。それは使い方が副詞的だからです。中国語では、接続詞はふつう主語より前に言います。例えば、同じ逆接の意味を表す接続詞“但是 dànshì":

中文语法不难,但是发音很难。
Zhōngwén yŭfă bù nán, dànshì fāyīn hěn nán.
中国語は、文法は難しくないが、発音は難しい。

この文の後半部分を見てください。この後半部分の主語は“发音"ですね。そして“但是 dànshì"はその前に置かれています。接続詞は主語より前に置かれるのですね。

それに対して、“却 què"を使うとどうなるでしょうか。

中文语法不难,发音却很难。
Zhōngwén yŭfă bù nán, fāyīn què hěn nán.
中国語は、文法は難しくないが、発音は難しい。

そう、主語の後(述語の前)に置かれるのです。主語の前に置かれることは絶対にありません。それは、“却 què"が文法的には副詞に属するからです。

“却 què"と同様に“就 jiù"も、接続詞のような働きをしますが、使われ方は副詞的ですね。

例えば、遊園地に行こうと話している人たちがいるとしましょう。ある人Aさんが「あの遊園地には最新のアトラクションがあって一度行ってみたいと思っていた」というようなことを言うと、Bさんが次のように言いました。

我们就去那个游乐园吧。
Wŏmen jiù qù nàge yóulèyuán ba.
じゃ、その遊園地に行こうか。

この“就 jiù"、辞書などを見ると「すぐに、早速」というような意味が書かれていたりしますが、多くの場合そんなはっきりした意味はなく、その前の文と後の文とをつなぐ役割を果たしています。前の文で言っていたことが成立したら、次の文で言っていることが結果として導かれる、というような関係を表します。

この例文の場合、Aさんがその遊園地に行きたいと言ったことと、その結果としてその遊園地に行くことを決めるということをつなぐ働きを“就 jiù"がしています。もし“就 jiù"がなければ、Aさんの発言とその遊園地に行くことにしたこととにあまり深い関係は感じられなくなります。

そして注目すべきは“就 jiù"の位置です。主語“我们"の後、述語(動詞)“去"の前に置かれていますね。接続詞だったら主語の前に置かれるはずですが、主語の後ろ(動詞“去"の前)に置かれているのは、この単語が副詞に属するからです。

中国語には、前の文と後ろの文をつなぐ働きをするくせに、カテゴリーとしては接続詞ではなく副詞に属するものがあるのですね。う〜ん、面白いですよねぇ。

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

著書

  • 文法から学べる中国語
  • 中国語!聞き取り・書き取りドリル
  • CD付き 文法から学べる中国語ドリル
  • 中国語検定対策4級問題集
  • 中国語検定対策3級問題集
  • ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本

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