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翻訳コラム

COLUMN

第403回発音アレコレ

2018.10.03
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

語学をやる上で、発音ってとても重要ですよね。僕はそう思います。

よく「発音なんか気にしなくていい。それよりどんどん話せ」というようなことを言う人がいますが、通じなければ意味がありませんからねぇ。

ネイティブ並みの発音を目指すのは、何語でも難しいと思いますが、中国語の場合、通じるレベルになるのですらかなり難しいですよね。カタカナ発音では絶対に通じません。

今日はちょっと、中国語の発音の中で日本語話者にとって何が大事で何がそうでもないかをちょっと考えてみたいと思います。

中国語の発音の難しいところ、色々ありますね

例えば、声調は絶対習得しなければなりませんので、毎回指摘します。これだけは、どんなに嫌われても(笑)、しつこく指摘しています。

でも、細かいところまでアレコレ言いだすとキリがありませんね。例えば「-n」や「-ng」については、きちんと発音し分けられなくてもある程度通じると思います。だから僕はあまりうるさく言わない方がいいかなと思ったりしています。僕自身、「-n」と「-ng」の区別をしっかり意識してやるようになったのは、ここ10年くらいかもしれません。中国人も南方の人は両者の区別があまりないようですから、後回しでもいいかなと考えています。

あと、無気音についても、毎回指摘しなくてもいいかなと思っています。無気音は思い切って濁音にしてしまっても通じますしね~。

でも有気音はおろそかにできません。有気音は日本語話者にとっては難しい発音ですから、無気音より有気音のほうが日本語話者にとっては要注意ですね。

留学していた時、バスの中で日本人の個人旅行者と見られる若い女性2人組を見かけました。彼女たちは日本語で「天安門ってどうやって行くのかな。どこで降りたらいいのかな。」と話し合った後、切符売りのおばさんに尋ねてみることにしたようで、こんなふうに言っていました。

ウォメンヤオチュィティエンアンメン(我们要去天安门)!

どうやら少しは中国語を勉強したことがあるようで、声調はわりとしっかりしていましたが、有気音が全然できていませんでした。すると、切符売りのおばさんは困った顔をしてこうつぶやいたのです。

地安门?
dì ān mén

そうなのです。彼女たちは“天安门”の“天”をキチンと「tiān」と言っているつもりなのでしょうが、有気音の息の音がキチンと出ていなかったため、おばさんには無気音に聞こえ、“地安门?”とつぶやいたのでした。

有気音、やっぱり大事ですね。無気音はいっそ濁音にしてしまえばなんとかなりますが、有気音はしっかり練習しなければ!

あと、巻舌音(zh/ch/sh/r)。日本語の中には無い音ですから、難しいですよね~。

実は中国でも多くの地域、特に南方では、巻舌音を使わない方言を話しているので、標準語を話す時もうまくできず、舌歯音(z/c/s)になってしまったりします。

先日、某番組であるテレビタレントさんが中国語の話をしていました。彼女は現在中国語を学習中なのだそうです。仮にIさんとしておきます。

Iさんに中国語を教えているのはどうやら中国人の先生らしいです。Iさんいわく、中国語はものすごく発音が難しいと。

たとえば“上海 shàng hăi”を発音してもどうしても先生からOKが出なくて、とうとう業を煮やした先生が「いっそ sàng hăiって言ってください。その方が通じます。」と言ったそうです。「しゃんはい」なのに「さんはい」?わけわかんない!びっくりでしょ~!とIさんはおっしゃっていましたが、僕には状況がよく分かりました(笑)。

多分Iさんは巻舌音がうまくできていなかったのでしょうね。だったらいっそ、訛った発音ではあるけど、舌歯音にしてしまったほうが、と先生は判断したのでしょう。

でもこの先生、キチンと発音のメカニズムの説明をしていない気がします。というのは、Iさんがこんなことをおっしゃっていたのです。

Iさんが「shàng」ってどうやって発音するの?と尋ねたら先生が「わからない。Iさんの発音が違っていることは分かるけどどうやって発音するかなんて説明できない。例えばあなたは日本語の『さ』ってどうやって発音するか説明できますか?できないでしょ?それと同じです。」って言われたのだとか。Iさんはそれで納得してしまったようですが、、、

いや、それを説明するのが語学教師の仕事でしょうが!と僕は思うわけです(苦笑)。開き直っちゃダメですよねぇ。

僕はそうならないように頑張りたいなぁと思っています。

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

著書

  • 文法から学べる中国語
  • 中国語!聞き取り・書き取りドリル
  • CD付き 文法から学べる中国語ドリル
  • 中国語検定対策4級問題集
  • 中国語検定対策3級問題集
  • ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本

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