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翻訳コラム

COLUMN

第415回#私のお気に入り 強調構文

2019.01.30
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

みなさんはツイッターを使っていますか?僕は一応やってはいるのですが、まぁほとんど見ているだけで、あまり積極的には使っていません。そんなわけで、ツィッターの使い方もよく知らなかったのですが、先の衆議院選挙の時に立憲民主党が随分ツイッターを駆使して選挙活動をしていましたよね~?あれのおかげで(?)、ついに僕も「ハッシュタグ(#)」というものを知りました(笑)。

というわけで、ちょっと真似して、タイトルにハッシュタグをつけてみました(笑)。このブログにハッシュタグの機能はついていないと思うので、単なる飾りですが、あとで検索しやすくなるかも~???(笑)。今後は「#私のお気に入り」と銘打って、中国語の文法や語彙で僕がとても好きなものを、不定期でご紹介していこうと思います。

みなさんも何か「中国語のこんなところが好き!」というところがあれば、教えてくださいね。

さて、今日は僕の好きな文法現象を1つご紹介します。

2つ例文を書きます。ちょっと見てください。

我昨天吃羊肉串了。(例文1)
Wŏ zuó tiān chī yáng ròu chuàn le
私は昨日羊肉の串焼きを食べました。

我昨天吃羊肉串的。(例文2)
Wŏ zuó tiān chī yáng ròu chuàn de

文末の“了”が“的”になっただけですね。音声で聞くとほとんど同じように聞こえてしまうかもしれません。でもニュアンスが大違いです。

前者は、動作の完了を表す助詞“了”を伴った文で、要するに過去に行った動作を表す普通の文です。

後者は“我是昨天吃羊肉串的。(例文2’)”の“是”が省略された状態です。つまり“是~的”の強調構文ですね。

“是~的”の強調構文は、過去にすでに起こった出来事について、それが起こった「時」「場所」「方法」などを強調したい場合に使う構文です。

例文1のような普通の文の場合、一番言いたいところは「羊肉の串焼き」という部分、つまり目的語の部分だろうと思います。話のメインは「何を食べたか」であり、「いつ食べたか」「どこで食べたか」はあまり重要なことではないでしょう?

でも、誰もが「私が羊肉の串焼きを食べた」ことを知っている状態で、それがいつのことだったのかをはっきりさせたいようなニュアンスにしたければ、“是~的”の強調構文を使います。

つまり、“是”が省略された文で比べてみると、文末が“了”なのか“的”なのかで話題の焦点が変わってしまうというわけです!これってすごくないですか???(笑)

さらに、“是~的”の強調構文では面白い事が起こります。上の(例文2)や(例文2’)は、次のように言う人も多いのです。

我是昨天吃的羊肉串。(例文2’’)

そう。“的”が動詞と目的語の間に入るのです!不思議ですよねぇ。このまま字面どおり日本語に訳すと「私は昨日食べた羊肉の串焼きです」という意味になるので、もうおかしくて、僕はこの文法大好きなんです!

同じような文を挙げますね

我是去年戒的烟。
Wŏ shì qù nián jiè de yān.
私は去年禁煙したのです。

字面どおり訳すと「私は去年やめたタバコです」???なんか笑えますね~。

他什么时候结的婚?
Tā shén me shí hou jié de hūn
彼はいつ結婚したのですか?

日本語だと「結婚(けっこん)」という2文字の間に何かが入り込むことなんてありえませんよね?でも中国語の“结婚 jié hūn”はいわゆる「離合詞」というやつで、“结”が動詞、“婚”が目的語なのです。つまり「婚儀を結ぶ」という意味の動詞なのですね。ですから、強調構文の中で使うと“结”と“婚”の間に“的”が入り込みうるのです。

いや~、こんな語順になるなんてね~。初めて強調構文の例文として“~~结的婚。”というのを見た時、頭の中で花火が上がりました。僕こういうの好きなんですよね~。

みなさんはどうでしょうか?

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

著書

  • 文法から学べる中国語
  • 中国語!聞き取り・書き取りドリル
  • CD付き 文法から学べる中国語ドリル
  • 中国語検定対策4級問題集
  • 中国語検定対策3級問題集
  • ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本