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翻訳コラム

COLUMN

第416回“是”アレコレ

2019.02.06
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

フェイスブック、皆さんはやっておられますか?僕は数年前に、ある人と連絡を取ることだけの目的でやり始めました(笑)。そんな目的だったのでしばらくはひっそりと、特に動きもなく、他の人の投稿を見るでもなく、ほとんど幽霊ユーザーという感じでしたが、少しずつつながっている人が増えて来て、僕のページも少しは賑やかになってきました。

さて、そんな消極的な感じでやっているフェイスブックですが、こんな僕にわざわざお友達リクエストを送って来てくれた中国語の先生がおられまして、その先生がフェイスブックで色々と中国語に関する話を書いておられるので、僕も楽しみに読んでいます。

で、先日その先生が、「日本人の中国語学習者で、“是”が抜けちゃう人がけっこういる」という話を書いておられました。

例えば、「学校の先生はみんな中国人ですか?」と尋ねられた人が、こんなふうに答えたそうです。

×全部中国人。

う~む。そうですね。日本語で「ぜんぶちゅうごくじん」と言ったなら正しい答えでしょうが(笑)、確かに中国語で“quánbù Zhōngguórén”と言ったなら、舌足らず感は否めません。やはり下のように言わねばなりませんね。

全部都是中国人。
Quánbù dōu shì Zhōngguórén.

他に、その先生はこんな誤文も出しておられました。

×他很认真的人。

そう、これも誤りになってしまいますね。“他(かれ)”イコール“很认真的人(とても真面目な人)”という関係を示すためには“是”が必要です。つまり:

他是很认真的人。
Tā shì hěn rènzhēn de rén.
彼はとても真面目な人です。

なるほど、“是”を抜かしてしまう傾向は確かにありますね。

でも日本の人ってみんな中学や高校で英語を習うし、大学でも就職してからも英語から逃れられない人が非常に多いので、逆に要らないところにも英語の影響で“是”を入れてしまう人っていうのも、結構いるように思います。

どんな文が問題になるかというと、形容詞述語文です。英語では形容詞述語文は必ずbe動詞が必要ですから、中国語でもbe動詞に似た“是”を入れたくなるのでしょうね。

たとえば直前の例文「彼はとても真面目な人です。」というのを、意味をあまり変えずに「彼はとても真面目です。」としてみましょう。これを中国語で言う時、次のように言ってしまう人がいます。

(?)他是很认真。

これは、文法的に間違っているわけではありませんが、ふつう述語が形容詞だけの場合は“是”は要りません。要らないところに“是”を置くと、強調しているように聞こえてしまいます。

ですから、ふつうに「彼はとても真面目です。」と言いたいなら、“是”なしで次のように言えばいいのですね。

他很认真。
Tā hěn rènzhēn.
彼はとても真面目です。

形容詞述語文に“是”を入れたくなる日本人、意外に多いです。皆さんも気をつけてくださいね。

最後に、述語が名詞なのに“是”を省略できる場合もあります。述語が数字系の場合です。

例えば「私は36歳です。」という場合、中国語では?

我(是)三十六岁。
Wŏ (shì) sānshiliù suì.

「今日は月曜日だ。」はどうですか?

今天(是)星期一。
Jīntiān (shì) xīngqīyī.

“是”が必要な時、“是”が必要ない時、“是”を省略できる時、、、色々ありますね~。日本語や英語の影響を受けないように、よく整理しておいてくださいね。

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

著書

  • 文法から学べる中国語
  • 中国語!聞き取り・書き取りドリル
  • CD付き 文法から学べる中国語ドリル
  • 中国語検定対策4級問題集
  • 中国語検定対策3級問題集
  • ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本