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COLUMN

第418回#私のお気に入り 主述述語文

2019.02.20
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

前回のメルマガを書いていて、「主述述語文」も僕は好きだったんだと思い出しました(笑)。

前回、中国語の主語は動作主ではなく主題を表すんだという話をしました。

それが最もよくわかるのが、主述述語文です!

そもそも、主述述語文とは何か、ご存知でしょうか?

実は同じような構造の文が日本語にもあるのです。たとえばこんなの:

彼は髪の毛がとても短い。

これ、パッと見たところ主語が2つあるように見えますね。日本語の主語は「~は」か「~が」だと小学校の頃に教えられました。そうするとこの文には「彼は」と「髪の毛が」という2つの主語があるように見えます。

ではこれを中国語で言うとどうなるでしょうか。

他头发非常短。
Tā tóufa fēicháng duăn.

この中国語の文、中国語の文法で解釈すると、“他”がこの文の一番大きな主語(主題)で、“头发非常短”はこの文全体の述語だと解釈します。

そしてこの述語部分の構造は「髪の毛が―とても短い」という「主語―述語」の関係になっていますね。つまり「述語」部分の構造が「主述関係」になっているので、「主述述語文」というのです。

こういった文がテキストなんかに出てくると、たいていみなさん「彼の髪の毛はとても短い。」と訳してくれますが、僕はちょっとニュアンスが違っていると思っています。

「彼の髪の毛」なら“他的头发”というふうに“的”が入りますね。でも主述述語文は“的”がありませんから、構造が全く違うわけです。

“他的头发非常短。”だったら、話題の中心は「髪の毛」です。映像的に言うと、いきなり冒頭から「彼の頭」にカメラがズームインする感じ。

それに対して“他头发非常短。”という主述述語文だと、この文の主語は「彼」ですから、カメラはまず「彼」全体に寄っていき、次に「髪の毛」に焦点が当たります。

微妙な違いですが、お分かりいただけたでしょうか?

つまり、言いたいことの主題が二重構造になっている感じ。まず「彼」の話がしたい、そして「彼」の話の中でも特に「髪の毛」の話がしたい。大きな主題から小さな主題へとズームイン!これが主述述語文なのです。

他の例を見てみましょう。

他发音非常好。
Tā fāyīn fēicháng hăo.

これは「彼の発音はとてもよい」ではなく、「彼は発音がとてもよい」です。

どう違うのと思うかもしれませんね。

「彼の発音はとてもよい(他的发音非常好)」は、とにかく発音がいいということを言いたいわけですが、「彼は発音がとてもよい(他发音非常好)」は、まず「彼」のことについて言いたいんだという気持ちが現れます。それで、彼の言語(外国語?)の能力の中で、文法でもなく語彙でもなく、発音に焦点を絞るという感じになります。

北京冬天不太冷。
Běijīng dōngtiān bú tài lěng.

これは「北京の冬はあまり寒くない」というよりは「北京は冬はあまり寒くない」という感じでしょうか。まず「北京の話なんだけどさ」とテーマを投げかけ、「冬はあまり寒くないよね」とコメントする感じです。

东京夏天热不热?
Dōngjīng xiàtiān rè bu rè ?

「東京ってさ、夏は暑いの?」という感じでしょうか(笑)。

中国語ってやはり日本語と結構似ていますね。まぁそりゃ同じ東アジアの言語ですからね、似ているところもあるってことなんでしょうね~。僕はこの「主述述語文」大好きなんです(笑)。皆さんはどうでしょうか?

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

著書

  • 文法から学べる中国語
  • 中国語!聞き取り・書き取りドリル
  • CD付き 文法から学べる中国語ドリル
  • 中国語検定対策4級問題集
  • 中国語検定対策3級問題集
  • ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本

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