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翻訳コラム

COLUMN

第427回久々三国志

2019.04.24
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

今日は久しぶりに三国志にちなんだ言葉を紹介しようと思います。

いつも書いているように、三国志関連の言葉は結構“歇后语 xiēhòuyŭ”が多いのですよね。

“歇后语”とは、謎かけのような言葉遊びです。日本語で言うと、「便所が火事だ・・・その心は?・・・ヤケクソ」みたいなものです。

え?ご存知ない?(笑)そんなにだれでも知っているような言い回しではないかもしれませんね。失礼しました。

まぁ、要するに、前半で何かウマイコトを言い、「そのこころは?」の部分以降は言わないで相手に想像させる、という言葉遊びです。

三国志関連の言葉は、この“歇后语”がとても多いのですね~。おもしろいです。

今日ご紹介したいのは、こんな言葉です。

孔明弹琴退仲达

Kŏngmíng tán qín tuì Zhòngdá.
孔明が琴を弾いて仲達を退ける

そのこころは?

临危不乱
lín wēi bú luàn
危機に直面しても乱れない

皆さんは「空城の計」ってご存知ですか?

蜀の国の諸葛孔明が魏の国を攻めていた時、非常に順調にいっていたのに、ある将軍の少しの慢心から食糧補給路を魏に押さえられてしまい、それ以上進むことができなくなってしまいました。

そこで、総退却しなければならないのですが、その動きを察知した魏の名将司馬仲達が魏軍15万の兵を引き連れて攻めてきました。

普通ならこの状況は大変な危機です。並みの将ならきっと慌てふためいて、すぐ逃げ出し、秩序の乱れた蜀兵たちは、司馬仲達の率いる魏軍によってことごとく討ち取られたでしょう。

でも孔明は違いました。その時立てこもっていた城の4つの門を全て開け放ち貴人を迎えるがごとく門前を掃き清め、兵たちには身をひそめさせ、自身はやぐらの上で優雅に琴を弾いて魏軍を待ちうけたのです。

門が開け放たれているのです。魏軍はいくらでも自由に城の中に入れます。蜀軍にとっては大変危険な行為に見えますね。

でも、孔明が常に慎重で絶対に負けない戦法をとっていたことをよく知る司馬仲達は、城の中に何か罠があるに違いないと警戒し、15万の軍勢を全て退かせてしまうのです。

蜀軍はその隙に逃げ出し、全員無事に退却することができたのでした。これこそ、世に言う「空城の計(空城计 kōngchéngjì)」であります。

「孔明が琴を弾いて仲達を退ける」とはまさにこの逸話のことを指しています。危機に直面しても慌てたりせず行動することを表しています。

とはいってもなかなか難しいですよねぇ。何かあっても落ち着いて行動できる頼りがいのある大人になりたいものです(笑)。

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

著書

  • 文法から学べる中国語
  • 中国語!聞き取り・書き取りドリル
  • CD付き 文法から学べる中国語ドリル
  • 中国語検定対策4級問題集
  • 中国語検定対策3級問題集
  • ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本