翻訳会社インターブックスは高品質な特許翻訳でニーズにお応えします

翻訳コラム

COLUMN

第52回「小説家になろう」の名称差し止め

2016.03.24
弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子

「小説家になろう」講座の名称が使用差し止めを受けた事件です。
作家や編集者を招聘して山形県で行われていた講座ですが、2013年11月に「小説家になろう」という2件の商標を別の会社が登録したため、この商標権をもとに、上記講座の名称の使用差し止めを請求されました。この商標登録をしたのは、「小説家になろう」という小説投稿サイト(http://syosetu.com/site/guideline/)を運営するヒナプロジェクトです。

商標登録第5634387号 日本特許庁ウエブサイトよりダウンロード
商標登録第5634387号
日本特許庁ウエブサイトよりダウンロード

もう1件、「小説家になろう」という標準文字の登録商標(商標登録第5554691号)があります。

これらの登録商標は、多くの商品分類に登録されています。「技芸、スポーツ又は知識の教授」(41類)にも登録されているため、この分類の商標権をもとに権利行使したと予想されます。

これらの登録商標は、教授というサービスについて「小説家になろう」は識別力があると審査で認められた証拠となります。長年続いた講座とのことですから、先使用権の主張はできなかったのでしょうか?
当たり前のように使っている名称がこのように差し止めを受けることがあることを、改めて実感させる事件です。

翻訳

This is a case in which trademark holders of the registered trademarks meaning "to be a novelist" sought an injunction against using a name of a course "to be a novelist".
This course had been reportedly held for many years in Yamagata, inviting novelists and editors; however, in November 2013, a company, HinaProject Inc., which manages a website on which novels are posted, registered two trademarks, based on which stopping using the name of the course was demanded.

Trademark Registration Nos. 5634387, 5554691

These registered trademarks are registered in many classes including Class 41 designating "teaching skills, sports or knowledge". It is considered that the trademark right for this service in Class 41 was exercised.

These trademarks evidence that a phrase "to be a novelist" was found as distinctive for teaching services during the examination process. I wonder if a prior use right for this course name, which had been used for many years, could not be acknowledged? This case reminds us of the fact that a name that is being used as a matter of course may be attached abruptly.

奥田百子

東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)

著書

  • もう知らないではすまされない著作権
  • ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
  • 特許翻訳のテクニック
  • なるほど図解著作権法のしくみ
  • 国際特許出願マニュアル
  • なるほど図解商標法のしくみ
  • なるほど図解特許法のしくみ
  • こんなにおもしろい弁理士の仕事
  • だれでも弁理士になれる本
  • 改正・米国特許法のポイント