翻訳会社インターブックスは高品質な特許翻訳でニーズにお応えします

翻訳コラム

COLUMN

第45回IT特許翻訳講座 第2回

2016.02.04
弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子

IT特許翻訳講座2回目です。
特開2003-114852号の要約を訳します。
まず、この文章を訳しましょう。

「ネットワーク接続される送信者のパソコン16、受信者のパソコン22、状態サーバ28を備えた電子メールシステム10であって」

翻訳

“An electronic mail system 10 comprising a personal computer 16 of a transmitter, a receiver's personal computer 22, and a state server 28connected to a network"

図を見てわかるように、送信者のパソコン、受信者のパソコン、状態サーバはネットワークに接続されています。 したがって「ネットワーク接続される」は、送信者のパソコン、受信者のパソコン、状態サーバのすべてにかかるように訳す必要があります。
「ネットワーク接続されるパソコン」は、ネットワークに接続されるパソコンということです。
“a PC connected to a network"
“a network-connected PC"
のように表現します。
“a network connected transmitter's PC, a network-connected receiver's PC, a network-connected state server"
このようにすべてに"a network-connected"を全てに付さなければなりません。したがって、
“a transmitter's PC, a receiver's PC and a state server that are connected to a network"とすれば、
“that are connected to a network"が"are"となっているため、複数のものにかかることがわかります。
「送信者」はsender, transmitter
「受信者」はreceiver
「送信手段」もtransmitter、「受信手段」もreceiverといいます。
特許明細書では、「送信者」と「送信手段」は同じ対象を意味することがあります。受信者と受信手段も同様です。
つまり何かを送信するもの、受信するものは人であっても物であってもよいのです。
もちろん「送信手段」を"transmitting means"、「受信手段」を"receiving means"ということもあります。
一つの明細書に「送信者」と「送信手段」が出てきた場合には、訳し分けるために"transmitter", “transmitting means"と訳します。

“transmitting means"は単数か、複数かという問題もあります。
“means"は複数形と考えて複数扱いにして、冠詞として"a"を付さないことがあります。
しかし「手段」を意味するので単数扱いとして、"a transmitting means"と訳すこともあります。いずれの形もよく見かけます。

奥田百子

東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)

著書

  • もう知らないではすまされない著作権
  • ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
  • 特許翻訳のテクニック
  • なるほど図解著作権法のしくみ
  • 国際特許出願マニュアル
  • なるほど図解商標法のしくみ
  • なるほど図解特許法のしくみ
  • こんなにおもしろい弁理士の仕事
  • だれでも弁理士になれる本
  • 改正・米国特許法のポイント