翻訳会社インターブックスは高品質な特許翻訳でニーズにお応えします

翻訳コラム

COLUMN

第185回米中の貿易協議の覚書に知的所有権

2019.02.28
弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子

アメリカと中国が貿易協議で覚書を作成し、そのなかに「知的所有権の保護」が入っているとの報道がされています。これは、中国が知的所有権を侵害しないことを契約書に盛り込んでいるようなものです。
貿易の協議でなぜ知的所有権が出てくるのでしょうか。中国が知的所有権の侵害をこれ以上やめないと追加の関税を課す、と忠告しているということです。
中国の弱みとして知的所有権の侵害ということがあったから、これが貿易協議で持ち出されたのでしょう。
これは知的所有権が国境をまたがって問題になる財産権であることを示しています。無体財産権であるがゆえに、不動産のような有体の現物が中国になくても、文章を提出して審査に通れば、他国の企業でも中国で特許権を取得できるということです。
このように特許権は取得する時点で有体の現物がなくても、文章のみで権利を取得することができます。
特許は文章で特定するものということに着目して、その文章である明細書やクレームの書き方を解説した本をこのたび出版しました。
「はじめての特許出願ガイド」(奥田百子、奥田弘之著、中央経済社発行)
https://www.amazon.co.jp/はじめての特許出願ガイド-奥田百子/dp/4502292214

はじめての特許出願ガイド
翻訳

Reportedly, the US and China drafted a trade agreement in which “protection of Intellectual Property rights” was listed. This is like China making a contractual promise to stop infringing upon Intellectual Property rights.
Why did Intellectual Property rights appear in the trade discussions? I think that the US is advising China to stop infringing upon Intellectual Property rights or else they will impose additional tariffs.
I think that the US brought up infringement of Intellectual Property rights because of China’s unfortunate history with said infringements.
This shows that Intellectual Property rights cause problems across borders. They are intangible property rights, so even if actual objects like real estates are not present in China, patents can be issued in China by submitting sentences expressing inventions to the patent office and having them patented.
In this way, patent rights can be obtained through documentation even if the actual objects are not present when the patent rights are issued.
Recently, I published a book explaining how to draft specifications or claims, focusing on the fact that patents are specified in writing.
“First Time Patent Application Guide” (written by Momoko Okuda and Hiroyuki Okuda, published by Chuokeizai-sha, Inc.)
https://www.amazon.co.jp/はじめての特許出願ガイド-奥田百子/dp/4502292214

奥田百子

東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)

著書

  • もう知らないではすまされない著作権
  • ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
  • 特許翻訳のテクニック
  • なるほど図解著作権法のしくみ
  • 国際特許出願マニュアル
  • なるほど図解商標法のしくみ
  • なるほど図解特許法のしくみ
  • こんなにおもしろい弁理士の仕事
  • だれでも弁理士になれる本
  • 改正・米国特許法のポイント