- 2025.04.28
- 翻訳外注ノウハウ
【トレードオフ・トライアングル】は機械翻訳の選択にどのような影響を与えるか?

大量の文書を素早く翻訳したり、素早く理解するためには、機械翻訳(自動翻訳)が有効です。しかし適切な機械翻訳(自動翻訳)ソリューションを選択するのは難しい場合があります。トレードオフ・トライアングルは、さまざまな機械翻訳(自動翻訳)手法を比較し、どのような翻訳が得られるかを理解するのに役立ちます。
※本コラムはSemantix社のコラムを元にお届けしています。
トレードオフ・トライアングルとは?
トレードオフ・トライアングルは、機械翻訳(自動翻訳)の選択を左右する三つの要素、すなわち品質、スピード、コストを図式化したものです。1897年にイタリアの経済学者が初めて説明したことから、「パレートの法則」とも呼ばれます。
トレードオフ・トライアングルは、長年にわたり機械翻訳(自動翻訳)研究の定番となっていますが、その実用的な意味合いは見過ごされがちです。ほとんどの機械翻訳(自動翻訳)評価では、標準化されたテスト集を使用して、ひとつの特定のトレードオフ(通常は速度)のスコアを生成しますが、この図では三つの要素をすべて同時に示しています。
機械翻訳とトレードオフ・トライアングル
ビジネスに使用する機械翻訳(自動翻訳)ソリューションを決定する際、考えてみるべきことがいくつかあります。たとえば、低価格のソリューションを探しているのか?短納期か?それとも高品質か?といったことです。このような疑問はあなたを混乱に陥らせるものです。
ニーズに最も適した機械翻訳(自動翻訳)を得るには、トレードオフ・トライアングルを考慮する必要があります。これは、三つの対立する力または、要素を視覚化するに良い方法で、プロジェクトマネジメントの「三すくみ」とも呼ばれるものです。たまたまひとつの要素を有利にすべく選択した場合、他の二つの要素はその影響を受けることになります。どの二つを同時に使っても構いませんが、三つすべてを同時に使うことはできません。あなたの会社の優先順位は何ですか?その答えが、あなたの選択の指針になるはずです。
上の画像は、機械翻訳(自動翻訳)のトレードオフ・トライアングルを示しています。機械翻訳(自動翻訳)の選択にあたり、以下のトレードオフ効果が、あなたの決断の指針となるはずです。
「早い・安い」を求める場合
この選択は、何かを早く、安く開発することを意味します。ここでの例としては、シームレスな機械翻訳(自動翻訳)が挙げられます。セキュアな人工知能(AI)が搭載され、ローカル環境内に統合された機械翻訳エンジンに、ウェブベースのクローズドインターフェースでアクセスすると、ボタンをクリックするだけで翻訳は「一括で」実行されます。シームレスな機械翻訳(自動翻訳)により、瞬時に文書を翻訳することができます。安価に処理できるため、一次的な翻訳に最適です。
「早い・良い」を求める場合
これは、機械翻訳(自動翻訳)のスピードを生かしつつ、より高品質な機械翻訳エンジンを作るというものです。プロジェクト開始の段階では、多くの研究や製品開発が行われます。その一例が、強化された機械翻訳(自動翻訳)です。これは、外国語の重要な情報に、機械翻訳(自動翻訳)のスピードでアクセスできるようにするものですが、用語集や業界辞書も追加することができます。
通常の機械翻訳(自動翻訳)と同等のスピードでありながら、カスタマイズされた機械エンジンに用語集や辞書を学習させることができ、ユーザーの語彙(ごい)により近い形で、翻訳資料の全体的な品質と一貫性を向上させることができます。機械翻訳(自動翻訳)の強化により、より大きなファイルを処理し、読み易さを向上させ、書式も正確に一致させることができるのです。
「良い・早い」を求める場合
この選択肢は機械翻訳(自動翻訳)を使用して最高品質の結果を生成するためのものです。機械翻訳(自動翻訳)の以下のような特徴を理解することは、企業やビジネスにとって非常に重要です。その一例が「機械翻訳ポストエディット」ですが、それは機械翻訳(自動翻訳)した文書を人間の翻訳者があとで編集、修正するというものです。
機械翻訳(自動翻訳)されたテキストをポストエディット(後修正)することで、翻訳技術を最大限に活用し、翻訳者の作業負担を軽減します。ポストエディットのバリエーションも、制作の要件に応じて軽い修正(ライトポストエディット)から完全な修正(フルポストエディット)までさまざまです。
ライトポストエディット | 誤訳、訳漏れがない、「伝われば良い」程度 |
フルポストエディット | 誤訳・訳漏れがない、流暢である、用語・スタイル統一されている、人間翻訳に近い |
この機械翻訳プロセスでは、翻訳メモリソフトウェアが使用されます。企業、プロジェクトなど特有の好みを把握し、確定した翻訳を保存して、将来的に参照したり翻訳の練度を高めるために役立てるのです。文書を出版する予定がある場合は、人間の翻訳者を使ってポストエディットすることが重要です。
結論
結論として、トレードオフ・トライアングルは機械翻訳プロセスを選択する際に考慮すべき重要な要素ですが、それだけではありません。納期、人間が介入する必要があるかどうか、対応言語など、他の要素もすべて関係するのです。
また、トレードオフ・トライアングルは、三つの選択肢のうち選べるのは二つだけということも忘れてはなりません。そして、選択は目的に則して行われるべきです。内容を理解できればいいのか?それともその文書を使って他の人とコミュニケーションをとりたいのか?疑問に思うことが決断に役立つはずです。
まとめ
以上、「【トレードオフ・トライアングル】は機械翻訳の選択にどのような影響を与えるか?」でしたがいかがでしたでしょうか。
当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界85か国語で行います。
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