- 2025.11.11更新
- 翻訳外注ノウハウ
【プロが解説!】多言語DTPの難しさを乗り越える―翻訳とデザインを両立させる秘訣
グローバル展開やインバウンド対応、海外プロモーションなど、多言語で印刷物やデジタル資料を展開するニーズが増加しています。しかし、例えば「日本語版パンフレットを英語+中国語(簡体/繁体)で展開したい」「展示会用多言語カタログを同じデザインで作りたい」といった際に、翻訳会社/DTP制作会社、どちらか一方だけに任せてしまうと様々なトラブルが起きやすいのが実情です。
なぜなら、翻訳文をただレイアウトに流し込むだけでは、文字数の増減による段落崩れ・フォントや書記方向(横書き/縦書き/右‑左書き)対応・文化・表現の違いによる訴求力低下・ブランドトーンのズレなどが生じるからです。つまり、多言語DTPとは「翻訳とデザイン」を一体で設計・制作できる体制が求められる領域です。翻訳専門会社でもDTP専門会社でも、どちらかに偏るだけでは品質的な落とし穴があります。
本稿では、多言語DTPの難しさ、失敗しやすいポイント、そして翻訳とDTPを両立できる翻訳会社に依頼すべき理由を詳しく解説します。
多言語DTPが難しい理由:翻訳×デザインという“二重の専門性”

文字量・レイアウトの変動
言語によって、文字量や単語数、改行位置が大きく異なります。たとえば日本語→英語では通常文字数が増え、英語→中国語では逆に文字数が減る場合があります。これがそのままレイアウト崩れや余白不足・行間調整不足に繋がります。
書記方向・フォント・文字体系の違い
アラビア語やヘブライ語など右‑左書き、縦書き文化(特に繁体字の台湾市場)など、多言語展開では文字方向やフォント選定、組版設計が不可欠です。
ブランドトーン・表現の整合性
多言語版でもブランドイメージ・コピーライティング・トーン&マナーを維持する必要があります。単に翻訳されたテキストを当てはめるだけでは、訴求力や読み手の共感を得られないリスクがあります。
複数媒体・多言語展開・印刷仕様の複雑さ
パンフレット、Web、PDF、展示会ボード、電子ブックなど多様な媒体での展開では、DTP設計・印刷仕様・PDF最適化・画像差替えなど手間が増します。さらに言語数が多くなると、それぞれに対してレイアウト調整や校正が必要です。
翻訳・校正・デザイン・制作管理の連動が難しい
翻訳部門、DTP部門、校正部門、印刷/納品部門がそれぞれ別に動くと、版下差異や修正漏れ、納期ズレが発生しやすくなります。ゆえにこれらを一括管理できる体制が理想です。
翻訳会社でもDTP会社でも対応が難しいケースとは?

翻訳会社だけに任せると…
翻訳会社がテキスト変換だけを対応し、その後レイアウトは別DTP会社に丸投げすると:
- レイアウト対応が遅延・追加費用発生
- 译字(やくじ・えきじ、言葉を他の言葉に変えて意味を伝える意)量増減によるレイアウト崩れ、図表調整不足
- デザイン修正を翻訳者が認識せず再翻訳が発生
DTP会社だけに任せると…
DTP専門会社が版下制作や印刷に強みを持つ一方で、翻訳品質・訳語統一・言語表現・ネイティブチェックが弱いと:
- 不自然な訳文・読みにくい表現が残る
- 用語のばらつきやブランドトーンのズレ
- 多言語校正を別途手配し、コスト・管理が二重化
招きやすいトラブル例
- 英語版で文字数増加し2ページ分に拡張されたが、図表やキャプションが重なった
- 繁体字版で縦書きレイアウトが考慮されず、視認性が低下
- 多言語版で用語が統一されず、ブランドイメージに差異が生じた
- 納期直前に差替えが発生し、翻訳・DTPの二重作業でコスト・スケジュールが膨らんだ
これらのリスクを回避するには、「翻訳とDTPを同じ窓口・同じプロジェクトマネジメントで対応できる翻訳会社」が鍵となります。
翻訳とDTPを両立できる翻訳会社に依頼すべき理由

ワンストッププロジェクト管理
当社では、プロジェクトマネージャーが翻訳から編集・DTP・納品まで一貫管理する体制を整えており、「翻訳/DTPをまとめて依頼することで」「翻訳会社や制作会社などいくつもの外注先とやり取りをする必要がなく、お客様の負担軽減につながる」としています。
多言語DTPに特化した編集・組版ノウハウ
当社は「創業から30年以上、外国語の組版(くみはん)に取り組んできた」背景があり、多言語組版やフォント・レイアウト・用字・改行位置などの調整に強みを持っています。
翻訳サービスとDTPサービスの融合
当社は「翻訳」「多言語校正」「多言語編集・DTP」をサービスラインナップとして展開しており、翻訳品質とデザイン品質を両立する環境が整っています。
実績で裏付けられた信頼性
パンフレット、書籍、報告書、カタログ、インバウンド案内物など多言語DTPの実績多数。HPでは「130年史『OBAYASHI CHRONICLE 130 1892‑2021』の多言語翻訳」等を紹介しています。
コスト・納期・品質の三立を追求
翻訳だけ・DTPだけではコスト・納期・品質のバランスが取りづらいですが、翻訳+DTPを同じ窓口で管理することで「余計な手戻り/コミュニケーションコスト/修正発生率」を抑えることが可能です。
翻訳とデザインを両立させる7つの秘訣

以下は、翻訳+DTPを高品質に実現するための具体的な秘訣です。依頼時のチェックリストとしてもお使いください。
秘訣1:設計段階から多言語を見据えたレイアウト設計
原稿作成時から多言語展開を前提に設計すると、翻訳後の文字数変化や改行・余白の調整を前もって考慮できます。例えば、英語・ドイツ語など文字数が増える言語を想定して余白を設ける、図表のキャプションを流動的に配置できる設計にするなどです。
秘訣2:翻訳者・DTPオペレータ・校正者の早期連携
翻訳段階・組版段階・校正段階で三位一体の連携体制があることが重要です。翻訳者が訳出した内容をDTP担当がキャプションや版面に反映し、校正者が外国語版として読者に違和感がないかチェックします。
秘訣3:言語ごとのフォント・改行・書記方向に対応する
言語によってフォントや文字サイズ、行長、書記方向が異なります。特に繁体字や横書き/縦書き、右‑左書きの言語では、日本語版のデザインをそのまま適用すると視認性・読みやすさが低下します。実績を持つ翻訳会社が組版ノウハウを持っているかが重要です。
秘訣4:用語・ブランドトーン・スタイルの統一
多言語展開では用語が言語間でばらついたり、ブランド語彙が揺れたりしやすいため、用語集・スタイルガイドを翻訳・DTP両段階で共有・活用します。翻訳者・デザイナー・校正者が同じガイドラインを参照できる環境が望ましいです。
秘訣5:校正/チェック/修正フローの確保
多言語DTPでは、翻訳チェック・ネイティブレビュー・組版確認・印刷プルーフチェック・納品データ最終検査という段階が必要です。これを省略すると、版下ミス・誤植・誤訳が印刷・公開後に発覚し、差替えコストやブランドリスクが高まります。
秘訣6:改訂・更新・多言語版リユースの仕組み設計
一度作成した多言語版資料を改訂・更新する場合、翻訳+DTP+校正がスムーズに回る体制を整えておくと、次回以降のリソース・コストが削減できます。翻訳メモリ・版下データの管理、更新履歴の共有などがカギです。
秘訣7:制作管理・納期・コストをワンストップで管理
翻訳会社として、翻訳・DTP・校正・納品までを一括管理できることは、お客様の負担を軽減し、手戻りや多重管理を防ぐポイントです。
発注時に問い合わせ・確認すべき項目

依頼先選定の際には、次のような項目を確認・質問することをお勧めします。
- 翻訳+DTPを自社でワンストップ対応しているか?それとも別会社への外注か?
- 多言語組版の実績(言語数、媒体種別、印刷・デジタル版)を持っているか?
- 原稿のレイアウト設計段階から多言語展開を見据えた対応をしているか?
- 使用ソフト/フォント/書記方向(縦書き・横書き・右‑左書き)への専門知見があるか?
- 用語集・スタイルガイド・ブランドトーン共有体制があるか?
- 校正・ネイティブチェック・校閲フローが明確か?
- 改訂・更新時のリユース対応(翻訳メモリ、版下データ管理など)はどうなっているか?
- 納期・コスト構成・追加費用(レイアウト修正・DTP修正・印刷対応)について明確な説明があるか?
- 納品後の印刷・デジタル配信・修正対応(差替え・差分翻訳)まで対応可能か?
- プロジェクトマネージャーが一貫して管理し、窓口が一本化されているか?
まとめ:多言語DTPの難しさをクリアしてグローバル展開を成功させるために

多言語DTPは、翻訳だけ、デザインだけ、DTP専門だけでは乗り越えきれない“翻訳+デザイン”の複合領域です。言語ごとに異なる文字量・書記方向・文化背景・フォント仕様を踏まえ、さらにブランドトーン・レイアウト整合・媒体種別展開などを考慮した設計が求められます。
このため、翻訳会社として「翻訳+多言語DTP/編集」をワンストップで提供できる体制を持つことが、ミスのない納品・コストの適正化・納期遵守・ブランド訴求力向上につながります。
改めて押さえておきたい観点は以下のとおりです:
- 設計段階から多言語展開を見据えたレイアウト設計
- 翻訳者・DTPオペレータ・校正者の早期連携
- 言語別フォント/書記方向/レイアウト仕様対応
- 用語・ブランドトーン・スタイルガイドの統一
- 校正・チェック・修正フローの確立
- 改訂・更新・多言語リユース体制の設計
- 制作管理・納期・コストをワンストップで管理
多言語資料を国内外で効果的に展開したい企業様にとって、「翻訳会社にDTPも含めて依頼できるかどうか」が、品質・コスト・納期を左右する大きな分かれ目になります。翻訳+デザインを両立できるパートナーをお探しの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
「インターブックスの最新のDTP環境」について、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください
「インターブックスの多言語DTP・編集」について、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください
「多言語DTPとは?対応分野・料金相場・依頼のコツ」について、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください
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