- 2025.06.11更新
- 翻訳外注ノウハウ
【プロが解説!】医療翻訳とは?対応分野・料金相場・依頼のコツ

医療分野における翻訳は、単なる言語の変換ではなく、人の命や健康に関わる責任の重い作業です。海外の医薬品・医療機器の導入や、日本からの臨床データ提出など、グローバル化が進む中で「医療 翻訳」の需要は年々高まっています。
本記事では、「医療翻訳ってどこに依頼すればいいの?」「料金の目安は?」「専門用語は正確に訳してもらえる?」といったお悩みをお持ちの医療関係者や製薬・医療機器メーカーの皆様に向けて、翻訳会社のプロの視点から医療翻訳の基本・対応分野・料金相場・依頼のポイントまで詳しく解説します。
医療翻訳とは?命に関わる高精度の翻訳
医療翻訳とは、医薬品、医療機器、医学論文、治験関連資料など、医療・医薬分野における専門文書を対象とした翻訳サービスです。疾患名や薬理作用、医療手技などに関する正確な理解と、各国の医療規制やガイドラインへの対応が求められる高度専門領域です。
翻訳ミスが患者の安全や治験の信頼性に直結するため、医学的知識と用語の正確な使用が不可欠です。また、医療機関、製薬会社、研究機関などで使用される文書の目的や読者層に応じた表現力も求められます。
医療翻訳の特性
- 医療事故や誤認を防ぐために正確な翻訳が必須
- 医学的根拠に基づいた表現・訳語の選定が重要
- 対象文書が法規制・国際基準に関連することが多い
- 医学、薬学、生命科学、法務の複合的な知識が必要
このように医療翻訳は、高度な専門性に加え、業界特有の表現やフォーマットへの深い理解が求められる分野です。
医療翻訳の主な対応分野
医療翻訳の対象は多岐にわたり、クライアントの業種・目的によって異なります。以下に代表的な対応文書と内容をまとめます。
1. 医薬品関連
- 添付文書・製品概要書
- 治験実施計画書(Protocol)
- 治験薬概要書(IB)
- 安全性報告(CIOMS、SAE)
- CTDモジュール(承認申請用資料)
治験・申請書類ではICHガイドラインや各国規制に準拠した翻訳が必須です。
2. 医療機器関連
- 操作マニュアル
- 技術仕様書
- 試験成績書
- 製品ラベル・警告表示
医療機器翻訳では工業翻訳と医療翻訳のハイブリッド的対応が求められます。
3. 学術・研究分野
- 医学論文(投稿用・査読対応)
- 学会発表スライド・抄録
- 医療機関向け報告書
- 調査レポート(疫学・公衆衛生)
用語の一貫性や専門的なトーンを維持しながら、分かりやすい翻訳が求められます。
4. 法規・行政文書
- 医薬品承認申請資料(PMDA、FDA、EMA対応)
- 臨床研究倫理審査用資料
- 同意説明文書(ICF)
- 各種ガイドライン翻訳
法的表現・規定用語への正確な対応力が重要なポイントとなります。
医療翻訳の料金相場
医療翻訳は専門性が高いため、他分野と比べて単価はやや高めです。以下は日本語→英語翻訳を基準とした参考相場です。
文書の種類 | 単価(日本語1文字あたり) | 備考 |
添付文書・治験資料など | 25〜45円 | ガイドライン準拠が必須 |
医学論文・学術資料 | 20〜35円 | トーンやスタイルも重視 |
操作マニュアル・仕様書 | 20〜30円 | 工業系翻訳に準じる場合あり |
承認申請書類(CTDなど) | 30〜50円 | 高精度かつ経験豊富な人材必須 |
英文チェック・ネイティブ編集 | 5〜12円(英単語) | 投稿前チェックなどに対応 |
※英語→日本語翻訳の場合は、英単語ベースで20〜30円が相場となります。
※中国語・ドイツ語・フランス語などの他言語も対応可能ですが、料金は+10〜20%ほど加算されることが一般的です。
医療翻訳を依頼する際のチェックポイント
1. 医療分野に精通した翻訳者が在籍しているか
誤訳や意訳によって安全性や法的問題に直結する可能性があるため、医療・薬学系出身者や医療業界経験者が翻訳・チェックを担当しているかが重要です。
2. ガイドライン・業界標準への対応
ICH(国際会議)ガイドライン、GCP、GMP、PMDAなど業界ルールや規制要件を把握している翻訳会社を選ぶことが信頼の鍵となります。
3. 用語統一と品質管理体制
医薬用語や臨床用語には、訳し方に**揺れ(バリエーション)**が多いため、用語集やスタイルガイドを活用し、用語の一貫性を保つ仕組みがあるかを確認しましょう。
4. 機密保持・セキュリティ体制の確認
治験や患者情報を含む翻訳は、高度な機密保持体制が必須です。NDA(秘密保持契約)締結やセキュアなファイル送信環境を整備しているか確認しましょう。
5. 柔軟なスケジュール対応力
医療文書は急ぎの対応や複数段階での提出が必要な場合も多いため、納期の柔軟性やチーム体制も重要な選定基準です。
よくある質問(FAQ)
Q. 医学的に間違いのない翻訳をしてもらえますか?
A. 弊社では、医療分野専門の翻訳者とメディカルチェッカーが協業することで、内容面・言語面の両方から品質を担保しています。
Q. 翻訳後の英文を投稿用に整えてもらうことは可能ですか?
A. はい、ネイティブによる英文校正・投稿フォーマット調整にも対応しております。学術誌ごとのガイドライン準拠にも対応可能です。
Q. 医療機器のマニュアルとラベルをセットで翻訳してもらえますか?
A. はい、マニュアル・ラベル・パッケージ表記・ソフトウェアUIまで一括で対応可能です。
まとめ:医療翻訳は信頼と安全の基盤
医療翻訳は、単なる「翻訳業務」ではなく、命と安全に直結する高度な専門職です。翻訳ミスが訴訟や事故に発展するリスクもあるため、正確性・専門性・対応力を兼ね備えた翻訳パートナーの選定が欠かせません。
翻訳の質は、医療ビジネスの信頼性や国際展開の成功を左右します。まずは小規模な依頼から相談し、実績や対応品質を確認しながら長期的なパートナー関係を築くのもおすすめです。
弊社では、製薬・医療機器・学術研究など幅広い医療分野に精通した翻訳者とチェック体制を整え、スピーディかつ高品質な翻訳サービスをご提供しております。
外国語対応でお困りですか? どうぞお気軽にお問い合わせください。
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