- 2025.12.01
- 翻訳外注ノウハウ
【プロが解説!】映像翻訳とは?字幕・吹替・ボイスオーバーの3つの違いと使い分け
動画コンテンツの国際展開や多言語配信が増える現代において、ただ“テキスト翻訳”するだけではなく、映像や音声を含む「映像翻訳(ビデオローカリゼーション)」の重要性が高まっています。
映像翻訳には主に、字幕 (subtitles)、吹替 (dubbing)、ボイスオーバー (voice‑over/V/O) の3方式がありますが、それぞれに特性・制約・適した用途があり、目的・ターゲット・予算によって使い分ける必要があります。
本コラムでは、これら3方式の違いと特徴、どのような場面でどの方式が向いているか、実際に映像翻訳を依頼するときの注意点、さらに当社のような翻訳会社に依頼するメリットを含め、映像翻訳を成功させるためのポイントを詳しく解説します。
映像翻訳の3方式:字幕・吹替・ボイスオーバーとは

字幕 (Subtitles)
- 映像のオリジナル音声を残したまま、画面の下部(または上部)に翻訳されたテキストを表示する手法
- 字幕を読む読者は、画面とテキストを同時に追う必要があるが、元の声や雰囲気をそのまま保てる点が特徴
- 制作コストが比較的低く、納期も短い。また、複数言語での字幕対応がしやすい
吹替 (Dubbing)
- 映像の元の音声を完全に消し、ターゲット言語の音声を声優などによって新たに録音し、画面の登場人物が翻訳言語でしゃべっているように見せる手法
- 視聴者は「読む」のではなく「聞く」ため、字幕より自然に映像に集中でき、特に映画、ドラマ、アニメなど“没入体験”を重視する作品に向く
- ただし、制作には声優キャスティング、録音スタジオ、リップシンク(口の動きと音声の同期)といった工程が必要になるため、コスト・時間がかかる
ボイスオーバー (Voice‑Over / V/O)
- 映像のオリジナル音声を小さく残しつつ、翻訳した音声を上から被せて流す手法
- 音声による翻訳だが、吹替ほど制作コストが高くなく、原音の雰囲気もある程度保持できる
- ドキュメンタリー、ニュース、インタビュー、教育コンテンツ、企業動画など、元の話者の声や雰囲気を活かしつつ内容を理解させたい映像に適している
- 字幕や吹替に比べると、文字数制限やタイミングの縛りが少なく、情報量を多く伝えやすいため、説明・ナレーション・教育目的の映像に有利
各方式のメリット・デメリットと使い分けの指針

以下に、字幕/吹替/ボイスオーバーそれぞれのメリット・デメリットと、どのようなケースで選ぶとよいかを整理します。
| 方式 | メリット | デメリット | 適したケース |
|---|---|---|---|
| 字幕 | 低コスト、短納期、原音保持、多言語展開しやすい | 視聴者に読む負荷、映像に集中しづらい、字幕量の制約 | 映画・ドラマ/ドキュメンタリーの多言語配信、Web動画、社内教育動画 |
| 吹替 | 視聴者は聞くだけ/没入感が高い、字幕不要 | コスト高、時間・制作工程が多い、リップシンクが難しい | 映画・アニメ・ドラマ、ブランド映像、消費者向け動画 |
| ボイスオーバー | 原音の雰囲気をある程度残せる、情報量確保、比較的コスト低め | オリジナル音がうっすら残ることで違和感ある場合も | ドキュメンタリー、インタビュー、企業動画、eラーニング |
選定のポイント
| ターゲット視聴者 | 読み物に抵抗がある層/耳で聞くことを好む層 | 吹替またはボイスオーバー |
| コンテンツの目的 | 感情・没入/エンタメ | 吹替/字幕 |
| 情報伝達・説明 | ボイスオーバー/字幕 | |
| 予算・納期 | 低コストで早く届けたい | 字幕 |
| 品質と体験を重視 | 吹替もしくはボイスオーバー | |
| 多言語展開の有無 | 複数言語で配信 | 字幕 or ボイスオーバー |
映像翻訳の現場で求められる“翻訳者のスキルと注意点”

映像翻訳は、テキスト翻訳とは異なる特有の制約やノウハウが必要です。以下の点に注意する必要があります。
タイミングと可読性
字幕では、1秒あたりの最大文字数、1行あたりの文字数・行数、画面の読みやすさなど制限があります。そのため、原文を忠実に訳すだけでなく、「短く、読みやすく、かつ意味を伝える」工夫が必要です。
映像・音声との整合性
吹替では特に、口の動きに合わせるリップシンク、声のトーンや間(間合い)、キャラクターの年齢・性格に合った声優選定など、クリエイティブな調整が必要です。
文化・言語背景のローカライズ
ジョーク、慣用表現、文化的な言及、ユーモアなどをそのまま訳しても伝わらないことがあります。映像翻訳では、“翻訳 + ローカライズ” の視点が重要です。
情報量と目的のバランス調整
特にドキュメンタリー、教育、企業紹介動画などでは、字幕では情報が多すぎて読みきれない、吹替・ボイスオーバーではコストがかかる――。こうした場合にはどこまで情報を取捨選択するかの判断が重要になります。
映像翻訳は、単なる「言語を置き換える」作業ではなく、「映像」「音声」「視聴者体験」を伴う複合的なクリエイティブな業務である点が、他の翻訳と大きく異なるところです。
なぜ“翻訳会社”ではなく“映像翻訳に対応する翻訳会社”に依頼すべきか

映像翻訳には、翻訳力だけでなく、映像制作・編集、音声収録・編集、字幕焼き込み、納品フォーマット対応など、多様なスキルと管理が必要です。単なるテキスト翻訳会社や DTP 会社では対応しきれない場合があります。以下は、その理由です。
ワンストップでの対応が必要
映像翻訳では、翻訳 → 校正 → 字幕・吹替・V/O の制作 → 映像編集 → 納品 という一連の工程が発生します。これを一つの窓口・プロジェクト管理で進められる翻訳会社は、発注者の負担を大幅に軽減できます。
翻訳 × 映像 × 多言語対応の総合力
言語ペアだけでなく、映像フォーマット、音声仕様、字幕フォント/レイアウト、各国向けの文字表示仕様(右‑左書き/縦書きなど)に対応できる体制が必要となる場合があります。
ローカライズの専門性
単なる直訳ではなく、文化、慣習、視聴者の受け取り方を踏まえた翻訳・演出の知見が重要です。特に広告、マーケティング動画、ブランド映像、国際プロモーションでは、この差が結果を左右します。
品質保証と管理体制
声優手配、録音、音声編集、字幕焼き込み、品質チェック、納品フォーマット管理など、多くの工程を品質高く管理できる会社であることは重要です。
コスト・スケジュールの最適化
複数の外注先をつなぎ合わせて進行すると、手戻りや認識齟齬、スケジュール遅延のリスクが増えます。映像翻訳を手がける翻訳会社に一括発注すれば、スムーズかつ確実な納品が期待できます。
映像翻訳を依頼する際のチェックポイント

発注者が映像翻訳サービスを頼む際には、以下のような点を確認するのがおすすめです:
- どの方式が目的や予算に合っているか(字幕/吹替/ボイスオーバー)を明確にする
- 対象言語と文字体系(右‑左書き言語、縦書き言語、特殊フォントなど)への対応可否
- 映像フォーマットと納品形式(Web用、テレビ放送用、DVD・BD用など)への対応実績
- 翻訳 + 映像編集 + 音声収録/編集 + 字幕焼き込み までのワンストップ対応 が可能かどうか
- ネイティブチェック、文化・表現適合、ローカライズ力 の有無
- コストと納期の見通し、および追加費用の可能性(字幕修正、再収録、音声差替え等)
- 品質保証体制、過去実績やレビュー、ポートフォリオの確認
まとめ

映像翻訳は、字幕、吹替、ボイスオーバーという主な3方式があり、それぞれに特徴や適した用途があります。どの方式を選ぶかは、視聴者層、コンテンツの目的、予算、納期、多言語展開の有無などを総合的に考えて判断すべきです。
単なるテキスト翻訳ではなく、映像・音声・演出・文化適応・技術対応まで必要となる映像翻訳。成功させるためには、翻訳と映像制作の両面に精通したプロフェッショナルな翻訳会社に依頼するのが最も確実です。
当社のような経験豊富な翻訳会社であれば、翻訳だけでなく、字幕焼き込み、音声収録、吹替制作、ボイスオーバー対応、多言語展開、納品フォーマット対応などをワンストップでご提供できます。映像の言語を越えたグローバル発信をお考えの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
「インターブックスの映像・音声字幕翻訳サービス」について、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください
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