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2024.05.06
翻訳外注ノウハウ

【自動翻訳と人間翻訳】5つの違い

【自動翻訳と人間翻訳】5つの違い

Google翻訳DeepLを筆頭に、AIの活用により近年その精度向上が著しい自動翻訳(機械翻訳)はメリットの多い有益なサービスです。一方、プロ翻訳者という「人間」による翻訳が、実務、技術、芸術、出版等の翻訳に於いて、いまだ重要な位置付けにあることに変わりはありません。これら自動翻訳(機械翻訳)とプロ翻訳者による人間翻訳は何が違うのでしょうか。本コラムでは、その違いとサービスを選択する際の注意点についてご説明します。
※本コラムでは、純粋に「翻訳だけを行うことで対価を得ている人」すべてをプロ翻訳者と定義しています
※また、翻訳支援ツールは自動翻訳(機械翻訳)ではありませんので、本コラムで使用される自動翻訳(機械翻訳)には含まれません

翻訳コスト

自動翻訳(機械翻訳)とプロ翻訳者による人間翻訳、最初の違いは翻訳コスト(翻訳に掛かる費用)です。詳しくは次のとおりです。

自動(機械)翻訳の翻訳コスト

Google翻訳やDeepLなど一般公開されている自動翻訳(機械翻訳)サービスは、誰でもブラウザーやアプリ上で利用できる上に無料です。「翻訳」というキーワードで簡単に検索、利用できるので、外国語に接する機会のある人の多くはすでに利用されているでしょう。自動翻訳(機械翻訳)サービスには翻訳会社や専業メーカーが独自開発、提供しているものもあり、パッケージ(CD-R、DVDなど)やオンライン(サブスクリプションモデル)で販売されているものを買い取ったり、月額利用できます。これらに掛かるコストを人間翻訳に掛かるコストと比較するとその安さは圧倒的なため、翻訳コストだけをみれば自動翻訳(機械翻訳)の価格優位性は揺るぎないものと言えます。

プロ翻訳者による人間翻訳のコスト

一方、プロ翻訳者による人間翻訳で無料のものはありません。トライアル翻訳と呼ばれる「翻訳品質を発注前に確認するための無料サービス」はありますが、これもあくまでも翻訳の注文を前提としたサービスなので、トライアル翻訳だけを無料利用することは原則的にできません。また、クラウド翻訳から翻訳会社による人間翻訳まで、プロ翻訳者による人間翻訳に掛かるコストは実に幅広いものです。これらのことから、自動翻訳(機械翻訳)とプロ翻訳者による人間翻訳のあいだの翻訳コストの違いは次のようになります。

  • 自動翻訳(機械翻訳):無料~低価格(総じて安い)
  • プロ翻訳者による人間翻訳:低価格~高価格(総じて高い)

翻訳納期

自動翻訳(機械翻訳)とプロ翻訳者による人間翻訳、次の違いは翻訳納期です。詳しくは次のとおりです。

自動翻訳(機械翻訳)の翻訳納期

自動翻訳(機械翻訳)は短時間で翻訳が完了します。プロ翻訳者による人間翻訳では数時間から数日、数十日、数か月といった単位で必要な翻訳の納期も、自動翻訳(機械翻訳)なら数秒から数分、数十分といった単位で翻訳を終えることができます。これは言語を機械的に処理し、最適なかたちで吐き出すという自動翻訳(機械翻訳)の仕組みを考えれば当然ですが、従来は使いものにならないとされていた自動翻訳(機械翻訳)が近年かなり使えるものになりつつあるのは特筆すべき点です。ただし、使えるといってもまだそのまま使えるものではないことに注意が必要です。

プロ翻訳者による人間翻訳の納期

プロ翻訳者による人間翻訳には、一定の時間、日数が必要です。翻訳のクラウドソーシングサービスであるクラウド翻訳を利用すれば、プロ翻訳者と直接やりとりできるので、最短で数分から数十分といったスピードで翻訳できる場合もあります。しかし翻訳会社を通す場合は、問い合わせ→営業担当者との打ち合わせ→発注、といった一連の工程を経る必要があるため、どんなに早くとも半日から一日は掛かります。これらのことから、自動翻訳(機械翻訳)とプロ翻訳者による人間翻訳のあいだの、翻訳納期の違いは次のようになります。

  • 自動翻訳(機械翻訳):数秒~数分、数十分(総じて短い)
  • プロ翻訳者による人間翻訳:数時間~数日、数十日(総じて長い)

翻訳品質

自動翻訳(機械翻訳)とプロ翻訳者による人間翻訳、次の違いは翻訳品質です。詳しくは次のとおりです。

自動翻訳(機械翻訳)の翻訳品質

自動翻訳(機械翻訳)の品質は、ソフトウェアに使用されている機械翻訳エンジンの精度に依存します。機械翻訳エンジンとは機械翻訳ソフトウェアの心臓部で、最新のニューラル機械翻訳エンジンからそれをさらにカスタマイズしたものまで含めると、数十種類もあると言われており、GoogleやMicrosoft、IBMまた、国内では国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が開発したニューラル自動翻訳エンジンなどが有名です。

自動翻訳(機械翻訳)の品質は、翻訳支援ツールとの連携性や、対応しているファイル形式、ユーザビリティなど、単に機械翻訳エンジンの性能だけで語れるものではありませんが、機械翻訳エンジンの開発は前述各社がそれぞれのアプローチで日々しのぎを削っているため、使用する際はその適性や運用実績などをよく考える必要があります。また、その著しい翻訳精度向上は間違いなくても、自動翻訳(機械翻訳)しただけの翻訳が実用に耐え得るかどうかについては、翻訳の目的や用途、翻訳に期待する成果に応じて細心の注意を払わねばなりません。

プロ翻訳者による人間翻訳の品質

プロ翻訳者による人間翻訳の品質も、自動翻訳(機械翻訳)と同様に、翻訳者のレベルによって幅広いものです。長い経験と豊富な実績を誇り、翻訳会社や企業から引く手数多なプロ翻訳者の翻訳品質は著しく高く、クラウドソーシングサービスなど比較的参入障壁の低いゾーンで翻訳を受託している翻訳者のそれとは比較にならないのが実情です。ただし、翻訳品質の良し悪しは明確な基準で数値的に測れるものではありません。また、一定以上、一定以下のような曖昧な尺度で判断できるものでもありません。なぜなら翻訳の品質は、翻訳する目的と翻訳に期待する成果に最適なものがもっとも良いとされるからです。

良いか悪いかはTPOによって分かれるのが翻訳であり、その要素には翻訳の品質だけでなく翻訳コストや翻訳納期など翻訳サービス全体が含まれます。これらのことから、自動翻訳(機械翻訳)とプロ翻訳者による人間翻訳のあいだの翻訳品質の違いは次のようになります。

  • 自動翻訳(機械翻訳):低品質~中品質(総じて低い)
  • プロ翻訳者による人間翻訳:中品質から高品質(総じて高い)

尚、自動翻訳(機械翻訳)とプロ翻訳者による人間翻訳の折衷案のような、「ポストエディット(MTPE、Machine Translation Post-Editing、機械翻訳したあとで翻訳者が修正する)」という方法が近年翻訳業界を賑わしていますが、これも自動翻訳(機械翻訳)の品質がいまだ実用レベルではないことの証と言えます。

セキュリティ

自動翻訳(機械翻訳)とプロ翻訳者による人間翻訳、次の違いはセキュリティです。詳しくは次のとおりです。

自動翻訳(機械翻訳)のセキュリティ

Google翻訳やDeepLなど一般公開されている自動翻訳(機械翻訳)サービスは、誰でもブラウザーやアプリ上で利用できます。しかしブラウザー上やアプリ内に原稿を入力したりコピペしたりする必要があることから、セキュリティは高いとは言えません。一般公開されている無料で使える便利さ引き換えに、入力されたデータを収集しているとも言われる自動翻訳(機械翻訳)サービスですので、利用するときは十分注意する必要があります。

また、無料ではなく有料の自動翻訳(機械翻訳)サービスについても、オンプレミスとクラウドという違いはあるものの、データの取り扱いついては注意が必要です。有料の自動翻訳(機械翻訳)サービスを提供している企業はもちろん、セキュリティに万全の体制を整えた上で事業展開をしているので、セキュリティが低いからと自動翻訳(機械翻訳)を選択肢から外すのではなく、各社のポリシーをしっかりと確認した上で利用することをお勧めします。

プロ翻訳者による人間翻訳のセキュリティ

プロ翻訳者による人間翻訳は、自動翻訳(機械翻訳)に比べるとまだセキュリティは高めと言えます。ただし翻訳に関わる人間の数や、原稿の送受信過程にリスクがないわけではありません。また、翻訳者や翻訳会社のパソコンのハードディスク、サーバーなどに一時的に保存されるデータも、同様のリスク下にあることは間違いありません。

自動翻訳(機械翻訳)のように誤動作や誤操作によって情報が一気に漏洩するというリスクはほぼなく、人為的なものでないかぎりデータの安全性は高い、という点ではプロ翻訳者による人間翻訳のほうがセキュリティ面は安心といった程度の認識が適切です。しかし、セキュリティ保護については自動翻訳(機械翻訳)サービス提供会社もプロ翻訳者による人間翻訳サービス提供会社も近年神経をとがらせているため、心配するあまり必要以上に神経質になる必要はないと思います。これらのことから、自動翻訳(機械翻訳)とプロ翻訳者による人間翻訳のあいだのセキュリティの違いは次のようになります。

  • 自動翻訳(機械翻訳):無料サービスは注意が必要。有料サービスはセキュリティポリシーを確認する。(総じて低い)
  • プロ翻訳者による人間翻訳:自動翻訳(機械翻訳)よりは安心できるが、各社のセキュリティポリシーの確認が必要(総じて高い)

品質保証

動翻訳(機械翻訳)とプロ翻訳者による人間翻訳、最後の違いは品質保証です。詳しくは次のとおりです。

自動翻訳(機械翻訳)の品質保証

自動翻訳(機械翻訳)は機械翻訳エンジンが生成した翻訳結果がすべてであり、依頼主が期待したレベルの品質が保証されるわけではありません。なぜなら自動翻訳(機械翻訳)の品質は、機械翻訳というソフトウェアに使用されている機械翻訳エンジンの精度に依存するからです。よって自動翻訳(機械翻訳)を使う場合は、翻訳後にその品質を問うのではなく、翻訳する目的や翻訳に期待する成果に応じて最適な自動翻訳(機械翻訳)サービスをはじめに選択する、という逆転の発想が必要になります。尚、翻訳の用途別にみた場合は次のとおりです。

  • 自動翻訳(機械翻訳)を使って翻訳してもよいもの:ビジネスレター、社内用のドキュメント(文書)、SNS投稿用の記事、ECサイトに掲載する製品(商品)スペック
    • 短文の説明書き程度、その他平易な内容やさほど翻訳品質が問われないドキュメント(文書)
  • 自動翻訳(機械翻訳)の利用は避けたほうがよいもの:契約書、経営理念、規約、その他マーケティング資料

一方、プロ翻訳者による人間翻訳は必ず品質が保証されます。なぜなら、保証しないと品質クレームにつながるからです。自動翻訳(機械翻訳)と異なり、プロ翻訳者による人間翻訳には、お客様が翻訳する目的や翻訳に期待する成果を十分にヒアリング、汲み取った上で、最適な翻訳を提供する義務があります。そしてそれが、自動翻訳(機械翻訳)に比べて料金が高い理由です。どこまでの品質を提供できるか、維持できるか、保証し続けることができるか、などはプロ翻訳者による人間翻訳では当然のことなのです。これらのことから、自動翻訳(機械翻訳)とプロ翻訳者による人間翻訳のあいだの品質保証の違いは次のようになります。

  • 自動翻訳(機械翻訳):品質保証なし。ユーザーによる機械翻訳エンジンの選別が必要。
  • プロ翻訳者による人間翻訳:品質保証あり。翻訳者や翻訳会社の選別は必要だがいずれでも品質は保証される。

最後に

本コラムは、自動翻訳(機械翻訳)とプロ翻訳者による人間翻訳のいずれかを推奨するものではありません。なぜなら当社は、翻訳する目的や翻訳に期待する成果によって両者を賢く使い分けることが大切と考えるからです。とは言え自動翻訳(機械翻訳)とプロ翻訳者による人間翻訳のいずれが最適か判断するのは難しいと思いますので、そのようなときは厚かましく、それぞれのサービスを提供している会社に問い合わせて相談してみてください。

各社もちろん自社サービスを勧めると思いますが、お客様ファーストに真剣に取り組んでいる会社であれば、自社に発注してもらえるかどうかにかかわらず、相談者に最適、最善な方法を提案してくれるはずです。また、どの会社、どのサービスを利用しようとも、問い合わせたとき、相談したときの対応がもっとも良かった翻訳会社かまたは、その会社が勧めた翻訳方法を選択すれば、おそらく大きな失敗は避けることができるでしょう。

まとめ

以上、「【自動翻訳と人間翻訳】5つの違い」でしたがいかがでしたでしょうか。

当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界85か国語で行います。

高い品質が求められる外国語対応や翻訳についてもしお困りでしたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

 

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