2023.03.13
出版関連

心に残る一冊 ~サンドマンとの出会い


 
私は、長年、翻訳会社を営みながら出版業も行っていて、海外の書籍などの出版を手掛けていますが、1997年、ボストンでの仕事の帰りに NY に立ち寄り、路地裏のコミックショップでたまたま『SANDMAN』というタイトルのアメリカンコミックスを見つけました。
 
その当時、世界では『ハリーポッター』が記録的大ヒットを飛ばしていて、ファンタジー小説のブームが絶頂期のころでした。『SANDMAN』(原題: The Sandman)は、英国の作家であるニール・ゲイマンが原作を手がけたコミックシリーズで1989年から1996年まで全75号の大作で、DCコミックスから刊行された作品です。
 
従来のスーパーヒーローもののアメリカンコミックとは違う何か特別な感じを受けたことを記憶しています。それは人間の精神世界を抉るようなダークファンタジーで、グラフィックノベルというジャンルの文学的な作品に仕上がっていたことも大きく心を揺さぶられました。
 
日本のコミックに親しんでいる日本人読者にとっては、アメコミの独特なコマ割りやド派手なイラストに最初はなじめなかったけれど、作品のストーリーを読み込んでいくうちに、古今東西の神話の要素を取り入れた精緻に構成された宇宙的なダークファンタジー的要素に圧倒されていきました・・・・。
 
続く