- 2025.10.21更新
- 翻訳外注ノウハウ
【プロが解説!】統合報告書の翻訳における人手翻訳の役割と重要性

近年、多くの企業が株主・投資家・ステークホルダーに対して「価値創造ストーリー」や「サステナビリティ(持続可能性)への取組み」を統合報告書として発信しています。これに伴い、海外投資家やグローバルなステークホルダーに向けて、翻訳を通じた情報発信が一層重要になっています。
しかし、単に「日本語の報告書を英語などに機械的に置き換える」だけでは、報告書の本来の意図や企業のメッセージ、ブランドトーンを正しく伝えることは困難です。特に、財務・IR(投資家向け広報)・ESG(環境・社会・ガバナンス)関連の専門性が高い内容では、翻訳品質が企業価値や信頼性にも直結します。
本コラムでは、統合報告書翻訳において 人手翻訳が果たす役割とその重要性 を、株式会社インターブックスの翻訳品質体制を交えながら、5つの観点で詳しく解説します。
統合報告書翻訳とは何か?―その特徴と翻訳に求められる要件
統合報告書の定義と目的
統合報告書とは、企業の財務情報だけでなく、非財務情報(環境・社会・ガバナンスなど)を含めた“価値創造”の流れを中長期視点で示す報告文書です。多くの上場企業が年次で発行し、国内外の投資家やステークホルダーへの説明責任(ディスクロージャー)を果たしています。
翻訳時に求められるポイント
統合報告書の翻訳では、以下の要件が特に重要です:
- 専門性の高い用語処理:IR/財務/ESG関連用語が多用されるため、正確な訳語選定が必須
- ストーリー性・ナラティブを損なわない表現:単なる数字・事実の翻訳を超え、企業の理念・価値を“伝える”ことが求められます
- 読者(主に外国人投資家・グローバルステークホルダー)視点での読みやすさ:原文の意図を“伝える”だけでなく、“読み手に理解してもらえる”ことが重要
- ブランドトーン・語調・企業文化の維持:グローバル展開企業では、多言語であってもブランドの世界観を統一する必要があります
- DTP・レイアウト・多言語展開への配慮:翻訳だけでなく、英語版・多言語版として体裁を整えることも付加要件となるケースが多いです。
このように、統合報告書の翻訳は単なる言語置換ではなく、企業価値の“グローバル発信”を支える重要なプロセスです。
人手翻訳の役割と「翻訳品質」の重要性
機械翻訳・AI翻訳との違い
機械翻訳やAI翻訳が進化しているものの、統合報告書翻訳においては誤訳・文脈のズレ・文化的ニュアンスの欠落などが課題となりえます。人手翻訳はこのギャップを埋めるために、次のような役割を担います:
- 微妙なニュアンス・文脈を汲み取る
- 専門性ある用語の適切な訳語選定
- ブランドトーン・文化的背景の反映
- 最終読者を意識した表現の調整
翻訳品質が企業価値に与える影響
統合報告書を英語などで発信する際、「誤訳」「読みにくさ」「訳語のばらつき」は、企業の信用・ブランドイメージ・グローバル展開力に悪影響を及ぼします。インターブックスが IR・決算・統合報告書翻訳サービスにおいて言及しているように、英文同時開示義務化を背景に、スピードと精度・翻訳品質の両立が求められています。
人手翻訳による品質担保体制
インターブックスでは、翻訳者・校正者・編集チーム・プロジェクトマネージャーが密に連携し、さらに ISO 17100(翻訳品質)、ISO 27001(情報セキュリティ)認証取得により、高品質・機密性対応の翻訳体制を確立しています。このような人手翻訳のチェック体制が、高い信頼性を支えています。
統合報告書翻訳を成功させる5+αの戦略ポイント
以下に、統合報告書翻訳を円滑かつ高品質に進めるためのポイントをまとめます。翻訳を発注する際のチェックリストとしても活用ください。
ポイント1:翻訳会社の実績・専門性を確認
統合報告書は財務・IR・ESGといった専門性が高いため、「単なる一般文書翻訳会社」では対応が不十分となる場合があります。経験豊富な翻訳会社に依頼することが重要です。
ポイント2:用語集・社内スタイルガイドの整備
企業ごとに用語やブランド語彙が存在します。翻訳に先立ち、用語集や翻訳メモリ(TM)を準備・共有することで、訳文の統一性が向上します。インターブックスでも「用語管理データベース」を構築するサービスを提供しています。
ポイント3:ネイティブチェック・人手校正工程を必須とする
翻訳後、ネイティブによるチェックや英文編集を行うことで、「読む人に自然に響く」訳文が実現します。統合報告書では特にこの工程が重視されます。
ポイント4:十分なスケジュールとリソース確保
報告書の分量・図表・デザイン調整・校正など、翻訳工程はボリュームが大きくなりがちです。余裕を持ったスケジュール設定と、翻訳・校正・DTP対応可能なリソース確保が鍵です。
ポイント5:翻訳+DTP/印刷/多言語展開の一貫体制を選ぶ
翻訳後、レイアウト・版下・印刷・PDF化・Web化など多様な媒体での展開が必要な場合、翻訳だけでは対応しきれません。翻訳とDTPをワンストップで対応できる体制が効率的です。インターブックスでは翻訳からDTP・編集・印刷まで一貫対応しています。
ポイント6:品質管理・セキュリティ体制を確認
機密情報や財務データを含む統合報告書では、品質管理・情報セキュリティの確保が必須。ISO 17100・ISO 27001など認証を取得している翻訳会社を選ぶのが安心です。
実務展開:インターブックスによる翻訳プロセスと支援体制
プロジェクトマネジメント体制
インターブックスでは、統合報告書翻訳プロジェクトにおいて、担当プロジェクトマネージャーが翻訳・校正・DTP・納品までを一貫管理。専門翻訳者・校正者・編集チームとの綿密な連携体制を構築しており、スケジュール・品質・コスト管理を同時に行っています。
用語集・翻訳メモリ運用
クライアントごとに用語集・TMを構築・更新し、過去翻訳の“情報資産化”を支援しています。これにより、毎年発行の統合報告書であっても、訳語のブレを防ぎ、作業効率も高まります。
DTP・編集・多言語展開サポート
翻訳だけでなく、英語版・その他外国語版のレイアウト調整、版下・印刷・電子化までワンストップ対応。翻訳とデザインの整合性を保ちながら、グローバル発信の品質を担保します。
品質保証・セキュリティ体制
ISO 17100・ISO 27001認証取得のもと、翻訳チェックは4段階以上の工程を経て納品されます。機密性の高いIR資料にも安心して対応可能です。
緊急対応・英文同時開示対応
2025年4月1日から、東京証券取引所プライム市場上場企業に対し英文開示が実質義務化されたことを受け、スピーディな統合報告書翻訳のニーズも増加しています。インターブックスでは急ぎの案件にも柔軟に対応可能な体制を整えています。
今後の展望:統合報告書翻訳のトレンドと人手翻訳の価値
ESG・サステナビリティ情報の増加
企業がESG・人的資本・気候変動・多様性など非財務情報を重視する動きが拡大し、統合報告書でもこれらの記載が増加しています。こうした記述は“読み手が理解しやすい”構成・表現・ストーリー性が求められ、人手翻訳による質の高い翻訳が改めて価値を持ちます。
多言語展開・デジタル対応の深化
紙報告書に加え、Web版・電子版・多言語版が当たり前になりつつあります。これに伴い、翻訳だけでなくDTP・UX・読みやすさ・モバイル対応など、総合的な制作知見が必要です。人手翻訳+DTP+デジタル展開支援の体制を持つ翻訳会社が、グローバル発信で強みを発揮します。
AI翻訳・翻訳支援ツールの活用と人手の融合
AI翻訳や翻訳支援ツール(CATツール)は効率化に貢献しますが、統合報告書のような高度な文書では、完全自動化はまだ限定的です。むしろ「AI初稿+人手ポストエディット」「定訳語の管理+人手チェック」など、最適なハイブリッド運用が主流となります。人手翻訳の価値が再認識されています。
まとめ:統合報告書翻訳で「伝わる価値発信」を実現するために
統合報告書の翻訳は、企業がグローバルに価値を伝えるための重要なツールです。その翻訳においては、「専門性」「ストーリー性」「ブランド一貫性」「多言語展開」「品質保証」が不可欠であり、これらを支えるのが人手翻訳の力です。前述の重要観点を改めて振り返ると:
- 経験・専門性ある翻訳会社の選定
- 用語集・スタイルガイド整備による訳語統一
- ネイティブチェック・人手校正を含めた品質担保
- 翻訳+DTP/印刷/多言語展開をワンストップで対応
- 品質管理・セキュリティ体制の確認
- (加えて)AI翻訳・ツールと人手翻訳のハイブリッド運用
これらをしっかり設計・運営することで、翻訳プロジェクトは単なる“翻訳作業”ではなく、企業のグローバル発信力を支える戦略的な活動となります。
株式会社インターブックスは、85言語以上対応、多言語DTPやIR・統合報告書翻訳に豊富な実績を持ち、翻訳・編集・制作のワンストップ体制を備えています。統合報告書をグローバルに発信し、海外投資家やステークホルダーに真価を伝えたいとお考えの企業様は、ぜひご相談ください。
「インターブックスのIR・決算・アニュアルレポート・統合報告書翻訳」について、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください
「統合報告書における翻訳とチェックのポイント」について、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください
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