- 2025.09.25更新
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【品質管理課ブログ】翻訳について思うこと~シェイクスピア作品を読みながら~
私が所属する品質管理課の仕事では、日々様々な翻訳案件に携わります。分野も多様なので、都度頭を切り替えて高品質な訳文に仕上げるため、多くの語彙や表現を知り、いざという時に自由に頭に浮かぶようにしたいと思っています。
最近シェイクスピアの作品を読みましたが、今回ブログを執筆する機会をいただいたのでその作品に触れながら、日々の自分の仕事についても思うことを書いてみたいと思います。
シェイクスピアの作品たち
シェイクスピアの作品群には悲劇、喜劇、史劇などがあります。ここでは二つの作品について書きたいと思います。
1.『十二夜』
シェイクスピアの作品でも代表的な作品の一つです。難破した船から助かった女性ヴァイオラは、生きるために男装をしてその土地の公爵に仕えます。そしてそのオーシーノ公爵に恋心を抱くのですが、公爵は別の女性オリヴィアに夢中。
オリヴィアに気持ちを伝える使いとしてヴァイオラを送りますが、オリヴィアはまたヴァイオラを男性だと信じて好きになるという、片思いが交錯する軽やかな喜劇です。道化などの脇役も登場し、気の利いた会話が繰り広げられます。
その会話は時代背景を知らないとなかなか理解が難しいところもありますが、当時の文化への興味もあり、私は最後まで楽しく読みました。どんな結末になるかは伏せておきますが、明るさの中にもほんの少し寂しさのエッセンスがあるようなお話でした。
2.『ロミオとジュリエット』
こちらも有名な作品です。対立する二つの家に生まれた若い二人、ロミオとジュリエットが互いの素性を知らずに出会い、たちまち恋に落ちます。しかし幸せなのはほんの束の間、周囲の人々により悲惨な事件が起こり、さらに悲劇が連鎖して悲しい結末につながります。
短い時間のうちに数々の出来事が起こる展開なので、飽きずに一気に読み終わりました。主役の二人を含め、登場人物たちのセリフは長いですが美しい言葉が散りばめられ、あらすじは知っていても改めて読んでみて良かったと思います。
また、若く純粋な二人に対して、周囲の大人たちがいかに身勝手か、また両家の争いのむなしさ、避けがたい偶然などが重なり、読みながら切なく、やるせない気持ちになりました。
どちらの作品も言葉を追ってきちんと読んでみると、その表現の豊かさに驚かされるとともに、これらが悲劇や喜劇というストーリーだけでなく、細かな言葉遊びなどが盛り込まれ、シェイクスピアが当時の観客を楽しませようとしている様子が生き生きと伝わってくるようでした。
書籍の翻訳について
品質管理課で私が担当しているのは主にビジネス文書なのですが、時折、書籍の翻訳やチェックといったお仕事をいただくこともあります。
シェイクスピアのような昔の英語ではありませんが、やはり文章表現には一般のビジネス文書とは異なる気遣いが必要な場合があります。
基本的には翻訳らしさをできる限り排除して、視覚的にも分かりやすく、もともとその言語で書かれたように自然で読みやすい訳文にすることを心がけています。
中には「翻訳書らしさを残して」といったようなトーンをご希望のお客様もいらっしゃり、ケースバイケースでの対応が求められます。
訳文を推敲するとき
実際の作業については、上手に翻訳しようとすると、訳語や語順を深く考えるようになります。しかしうまく表現する術がないと必死で何度も書き直した末に、それが訳文から読み取れるようになってしまうことがあります。
まだインターブックスに入社する前、翻訳を学び始めた頃に、私の訳文を採点してくださったかたが「努力の跡が見られますが・・・(訳文は良くはなかった)」とコメントなさいました。今そのことを思い返すと、原文の執筆者ではなく「私」の努力の跡が見えていたということでしょう。
翻訳はあくまでも原文執筆者の意図したところをそのまま形にするものであり、これでは本来のあるべき姿ではないように思います。そのように四苦八苦して訳さなくてはいけなかったのも、私の語彙力や表現力が足りていなかったからでしょう。
日々の仕事の中で
インターブックスで働いてからは自分以外の人が翻訳した訳文を多く目にするようになりました。言葉や表現についてもより敏感になったように思います。
シェイクスピアの豊かな発想や知識には及ばないかもしれませんが、日々の仕事や生活の中で触れる言葉や表現を蓄積し、上記のような失敗を繰り返さないためにも自分の中の「引き出し」を増やしていきたいと思います。
シェイクスピアの作品を含め、本を読むこともその一つ。楽しみながら学び続けていきたいと思っています。
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品質管理課メンバー:エマ 英文学を学び、現在は英日・日英の翻訳チェックを中心に、品質管理にまつわる諸々の業務に携わっています。好きなことは、寝ること、食べること、ときどき旅行。海外で暮らした影響なのか、幼いころから常に日本の外に目が向いていたように思いますが、最近はもっぱら海外のドラマやテレビ番組でその気持ちを満たす毎日です。
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