第199回知的財産が今後はメーカーの財産
弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子
以下のニュースが報道されています。
「知的財産の提供、下請けに強要公取委調査で730件」(共同通信社)
https://this.kiji.is/509561686915892321?c=39546741839462401
このニュースからわかることが2つあります。
- 日本は中小企業の技術力に支えられているということ。そして大企業が中小企業に知的財産を提供させているということは、中小企業が優秀な知的財産を数多く持っているということです。
- メーカーが主力商品を生産中止し、企業と合併、人員削減を行うなか、メーカーにとっての今後の財産は有形の製品ではなく、技術的アイディアである知的財産になっていくということ。
知的財産をライセンスし、ロイヤリティーで稼ぐことがますます重要な収益源となる時代がやってくるでしょう。
有形の製品よりも概念、アイディアである無形の財産の方が幅広い財産です。だからこそ、大企業は中小企業にこれを提供させるのでしょう。
大企業の強い立場が無形の財産にまで波及して欲しくはなく、このニュースにある調査の結果が早く知りたいところです。
The following news is being reported.
“730 cases of subcontractors forced to provide Intellectual Property, revealed by Japan Fair Trade Commission” (K.K. Kyodo News)
https://www.daily.co.jp/society/economics/2019/06/07/0012404628.shtml?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter
This news tells me two things:
- Japan is supported by technology that is owned by medium-sized companies. The fact that large companies force medium-sized companies to provide Intellectual Property means that medium-sized companies have a great deal of excellent Intellectual Property.
- As manufacturers end the production of their main products, merge into other companies, and reduce employees, their future significant assets will be such technical ideas as Intellectual Property, instead of tangible products.
Granting licenses for Intellectual Property to earn royalties will be more and more of a significant source of revenue.
Intangible properties such as concepts or ideas are much broader assets than tangible products. That’s why large companies force medium-sized companies to provide them.
I wish that large companies’ formidable positions would not spread to intangible property, so I want to know results of the investigation stated in this news as soon as possible.
奥田百子
東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)
著書
- もう知らないではすまされない著作権
- ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
- 特許翻訳のテクニック
- なるほど図解著作権法のしくみ
- 国際特許出願マニュアル
- なるほど図解商標法のしくみ
- なるほど図解特許法のしくみ
- こんなにおもしろい弁理士の仕事
- だれでも弁理士になれる本
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