翻訳コラム

COLUMN

第257回「うどんタクシー」商標をめぐる争い

2020.09.03
弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子

「うどんタクシー」という登録商標があり、琴平バス株式会社(香川県)が所有しています(登録第4,789,305号)。うどん店に案内するタクシーサービスです。
これに対して、空港タクシー(香川県)が「うどんタクシー」という名前を使っており、琴平バス(株)が空港タクシーに対して、商標権侵害であると提訴し、裁判が開始しました。
裁判所では、うどんタクシーはうどん店を巡るサービスの一般名称であること、この名前を原告(琴平バス)が発案したかのような誤解を与えると判断しました。
つまり、「うどんタクシー」の商標権の効力はこの言葉の使用にはが及ばないということです。

でもなぜ「うどんタクシー」は商標登録されたのか?
と疑問に思う人が多いでしょう。
J-PlatPatで「うどんタクシー」の出願経過を見ると、何らかの拒絶理由を受けたことが掲載されています。意見書を提出して拒絶理由が覆され、登録されています。それでもサービスの内容であるから商標法26条により商標権が及ばないという判断がされると予想します。

翻訳

A registered trademark for “Udon Taxi” (registered no. 4,789,305) is owned by Kotohira Bus Co., Ltd. (Kagawa Prefecture), and is the name of a taxi service for guiding tourists around udon restaurants.
Kuko Taxi (Kagawa Prefecture) is using the name “Udon Taxi,” against which Kotohira Bus has filed a lawsuit claiming trademark infringement. The trial has started.
The court judged that Udon Taxi is a general name for a service which goes around udon restaurants, and that misunderstandings may arise such as that this name was devised by the plaintiff (Kotohira Bus).
This means that the trademark rights for “Udon Taxi” do not extend to the use of this word.

In that case, many people may wonder why a trademark for “Udon Taxi” was even registered.
The history of the application for “Udon Taxi” on J-PlatPat shows that some reason for refusal was rendered against this application, however this was overturned by filing a written argument, and the trademark was eventually registered. Even so, it is expected that a court will judge that a trademark right which represents the contents of a service does not extend to the use of this word pursuant to Article 26 of the Trademark Act.

奥田百子

東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)

著書

  • もう知らないではすまされない著作権
  • ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
  • 特許翻訳のテクニック
  • なるほど図解著作権法のしくみ
  • 国際特許出願マニュアル
  • なるほど図解商標法のしくみ
  • なるほど図解特許法のしくみ
  • こんなにおもしろい弁理士の仕事
  • だれでも弁理士になれる本
  • 改正・米国特許法のポイント